Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
コミュニティパワー発生デジタルエンジンで持続可能な村づくり
毛原の棚田ワンダービレッジプロジェクトその他
実施年度
Digi田甲子園 2022冬
主な実施地域
京都府福知山市
取組開始年度
2017年度
デジタルを活用した取組の全体概要
- 過疎化高齢化が進む中、高齢者が高齢者を支える時代を見据え、移住促進だけに頼らずに棚田百選の美しい棚田での暮らしを持続可能にするため、住民+関係人口のコミュニティを構築し、デジタルツールを用いて交流・共助・協働活動を容易に行っている。
(具体的な取組)
- クラウドファンディングでの資金調達で集落内全域のWi-Fi化と全戸にスマートスピーカーを設置。
- スマートスピーカーによる見守りや情報共有の運用を開始。
- スマートスピーカー使用の習慣化を目的に音楽・天気予報・調べ物を積極的に行う。
- 事務局が作成したカレンダー(イベント・集会・ゴミの日など)を全戸で共有。
- 事務局が作成した背景画像を全戸のスマートスピーカーに表示し地域情報を共有。
- デレビ電話機能を活用したスマートスピーカー間の日常のコミュニケーション。
- 地域通貨の発行
- 事務局負担軽減と運用拡大を目的に、紙幣タイプを福知山公立大学情報学部山本ゼミ開発のデジタルタイプに変更しスマートフォン決済可能にした。
- ほぼ無償ボランティアだった住民による食品加工所や草刈りなどの作業への報酬としてデジタル地域通貨を発行。
- 米や加工品の販売促進を狙い、参加費の一部を原資として、イベント参加者にデジタル地域通貨を発行。
- 関係人口による草刈り作業などの応援に対して、デジタル地域通貨を発行。
- 4Dマップを使った千年つづくまちづくりゲーム
- 4DforInnovationTeamが開発中のまちづくりゲームをもとに、立命館大学4D for Innovationゼミが地域を調査し、獣害対策を目的とした、毛原くらし博物館ゲーム(フォトロゲイニングゲーム)を開発。
- 潜在移住者(関係人口や都市部住民)を対象に、オンライン参加可能な毛原くらし博物館ゲームを実施。
- ウィキペディアタウン
- 関係人口と住民が共同で、毛原の魅力をウィキペディアタウンを活用して発信するための勉強会を開催しながらWikipediaページを作成。
デジタルを活用した取組による成果
アウトプットベース
- スマートスピーカーの呼びかけ機能を使うことにより、過疎化・高齢化で挨拶する機会も減少した集落においてもコミュニケーションを活発化。また、スマートスピーカーのカレンダー・壁紙・アナウンス機能により、事務局からの情報を手軽に全戸に配信。
- 地域通貨をデジタル化することによって、通貨の発行や換金等の作業による事務局の負担を軽減。また、決済やポイントアプリに慣れている利用者にとっても、地域通貨をスマートフォンで管理できるため、今後は都市部住民でも集落とかかわれる機会創出が期待。
- リアルとデジタルを組み合わせた毛原くらし博物館ゲームによって、毛原の魅力を関係人口や都市部住民にわかりやすくアピールでき、毛原ファンの増加と誘客につなげられ、関係人口の増加に期待。また、獣害対策面では、少人数集落のため会話する人の声や人の気配が薄いことから、獣が容易に里に下りてきたが、ゲームを通じて楽しみながら歩き・走り、会話する声が聞こえることで、人の領域結界づくりにつなげられる仕組みを作ることができた。
アウトカムベース
- 見守り等をテーマに具体的な実証実験を得てデジタルツールを実装したことで、デジタルツールが集落の持続可能性に貢献することへの理解が深まった。
- 未来についてマイナスイメージに支配されていたが、明るい希望を持てるようになった。
- 集落内Wi-Fi化が2戸から13戸(全戸)に普及し老若男女の全世代において、Wi-Fiに対する利便性の理解がすすみ、デジタルと人との融和意識が高まった。
- 地域外の関係人口もまちづくりへの参加が容易になった。
取組実施前後の数値比較
取組前 | 取組後 | |
---|---|---|
集落内 | ||
集落内Wi-Fi化 | 12戸中2戸 | 13戸中13戸(全戸)に普及。 |
見守り環境としてのスマートスピーカー導入 | 0戸 | 13戸(2022年移住者を含め全戸)に普及。 |
生活情報共有 | 市からの配布物での情報に依存。 | 市からの情報に加え集落内の情報も共有できるようになった。 |
集落内の仕事や交流機会 | ほぼ男性に限られていた。 | 男性に限らず多くの女性も機会を得るようになり、行事や草刈り等の共助も増加。 |
関係人口 | ||
人口数 | 2016年約200人(田植え・稲刈り体験参加者と棚田オーナー) | 2022年500人(田植え・稲刈り体験、棚田オーナー、ピザ窯体験、縁側喫茶、草刈りサポーター、2回のクラウドファンディング、毛原くらし博物館など) |
草刈り等サポーター数 | 2016年0人 | 2022年29人 |
加工品等販売金額 | 2016年0円 | 2022年679,000円 |
取組の成果をあげることが出来たポイント・工夫
- 1.高齢化小集落の困りごとを解決する手法にデジタルツールを活用するという目標が明確であったこと。
- 2.NPO法人いのちの里京都村、福知山公立大学情報学部山本ゼミ、立命館大学4D for Innovationゼミとの連携がうまくできたこと。
- 3.デジタルツール導入への住民の理解と賛同が得られたこと。
取組を進めるうえで苦労した点
- 高齢者が高齢者の生活支援を行わなければならない地域実態において、例えば見守り支援においても、デジタルツールを活用することで支える側の負担軽減と支えられる側の安心につながることから、高齢の住民に対してデジタル機器に楽しく慣れていただくことからはじめる必要があったこと。また、導入にあたっての資金繰りに苦労した。
今後、デジタルの活用に取り組もうとしている企業や自治体へのアドバイス
- 地域へのDX化をすすめるには、住民の理解を得ることが大事であり、そのために住民からの困りごとを聞き、整理しDX化で解決できる姿を見える化して示していく必要がある。
- 連携団体
- NPO法人いのちの里京都村、福知山公立大学情報学部山本ゼミ、立命館大学4D for Innovationゼミ
- 問い合わせ
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- 部署
- 毛原の棚田ワンダービレッジプロジェクト
- 電話番号
- 090-1024-0531
- メールアドレス
- k.mizuyan0409@gmail.com