Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
創業支援及びデジタル人材育成によるスタートアップエコシステムの形成
沖縄県沖縄市生産性向上
実施年度
Digi田甲子園 2022夏
取り組み事例キーワード
スタートアップエコシステム、プログラミング教育、デジタル人材、稼ぐ地域づくり
関連タグ
実施に至る経緯・動機
- 沖縄市では、モータリゼーションの発達や郊外の大型商業施設の進出などにより、商店街の空き店舗率が増加するなど、中心市街地の衰退、空洞化が課題となっていた。
- また、IoTやAI(人工知能)、ビックデータ、3Dプリンタ関連技術を活用する情報通信関連産業におけるICT人材の需要は高く、平均所得も高い(民間給与実態統計調査結果より)ことから、プログラミングスクール等の「ICT人材育成」と、クラウドワーキング(テレワーク)による「ニアショア拠点形成」を通じて、本市の課題である高い失業率や県内でも低い水準にある市民所得を改善すべく、質の高い雇用の創出及び市民所得の向上に寄与する付加価値額の高い産業の振興が必要であった。
解決する課題の具体的内容
- 本市の失業率は、7.2%(2015年)から6.0%(2020年)に改善しているものの、依然として県平均(5.5%)を上回り、特に若年者の失業率が高い状況が続いており、かつ、市民1人あたりの所得が、全国最下位である本県の中でもさらに低い水準にあることから、質の高い雇用の創出及び市民所得の向上に寄与する付加価値額の高い産業の振興が求められている。
- また、中心市街地内商店街の空き店舗率が増加するなど、中心市街地の衰退、空洞化が課題となっている。
- こうした中、中心市街地の空き店舗を活用し、商店街内にワンストップ創業支援窓口を設置することで、外部から企業、民間投資、人材を流入させ、空き店舗を減少させたほか、プログラミングスクール等を通して質の高い雇用の創出を実現した。
デジタルを活用した取組による成果
創業支援
- これまで、約2,200件の創業相談を行い、そのうち約350名の創業支援を行った。
その結果、全国1位の開業率の沖縄県下において、令和元年度の創業相談件数(465件)は最も多くなり、本事業以来、周辺商店街では、飲食店などが10軒以上増加している。
ICT人材育成
- プログラミングスクールを通して、400名以上のスクール卒業生を輩出。学んだプログラミングスキル等を活用し104名が就職。また、創業者数(フリーランスとして独立も含む)は27名以上、転職21名以上となっている。
プログラミングスクール卒業生の中には、転職・昇進等も含め所得増を実現した事例もある。
(例:受講前の年収180万円→卒業後300万円)
シェアオフィス
- MicrosoftBaseが開設され、シェアオフィスとして20社以上が入居している。商店街内への誘致実績としては、EBI Lab、岡野バルブなどのDX拠点が集積され、本事業で整備した施設を中心に商店街内にスタートアップエコシステムの更なる加速化が図られた。
コワーキングスペースについて
- 施設を活用したワーケーションを3社以上誘致した。
「デジタル田園都市国家構想推進交付金(地方創生テレワークタイプ)」を活用し、沖縄市ITワークプラザ及び沖縄市野球場を改修し、高速Wi-Fiを備えたコワーキングスペースを整備。
特に沖縄市ITワークプラザには、ゲーミングPCを設置し、eSportsイベントを開催する等、広く市民等に情報通信技術を活用できる場を提供している。
また、令和5年度より、新たに女性向けのデジタル人材育成事業として「沖縄市でじたる女子プロジェクト」を開始。
https://digital-women.maia.co.jp/okinawa/
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
- プログラミングスクールでは、低価格のオンラインプログラミング学習教材「Progate」を導入し、講義外でもクラウドで学習できる環境を整えることで、社会人やひとり親、学生でも個別の進捗に合せて学習できるよう工夫しており、令和3年度からは民間の取組として移行している。
- OJTや大学等と連携したIoT研究開発事業等も行い、スクールカリキュラムと組み合わせることで、実戦的な学習環境をスクール生などに提供している。
- 金融機関と連携した資金調達支援、投資育成講座等により、スクール生などの創業支援を行っている。
成果をあげるためのポイント
事業当初は、市が積極的に関与していたが、地域住民のキーマンが関与したことで、事業が成熟し民間主導で様々なイベントが開催されていることが要因にある。
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
企業が求める人材と就労者が求める就業先をどのように確保するのかが、課題であった。ICT人材育成と創業支援、企業誘致を一体的に行うことについて、これまでにない取組であったため、庁内関係部署を含め、調整に苦労した。また、財源の確保も課題であったが、地方創生加速化交付金等を活用させていただき、事業化に至った。
今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス
DX化が目的ではなく、DX化を切り口にすることで、より企業の注目を集めることで、地方創生が可能であると考える。また、地方公共団体だけでは継続的かつ多様な事業展開は期待できないため、民間主導のイベントが開催できる場を整備してあげることが、地方公共団体の役目だと考える。
- 連携団体
- 一般財団法人沖縄ITイノベーション戦略センター、沖縄商工会議所、琉球銀行、コザ信用金庫、沖縄銀行、沖縄振興開発金融公庫、よろず支援拠点
- 問い合わせ
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- 部署
- 沖縄市経済文化部企業誘致課 企業立地推進係
- 電話
- 098-939-1212(内線3241、3243)
- メールアドレス
- a53kigyo@city.okinawa.lg.jp