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Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。

玖珠町ジュニアICTリーダー事業(JIL)

大分県玖珠町教育・子育て

実施年度

Digi田甲子園 2022夏

取り組み事例キーワード

ICT教育、デジタル人材、郷土愛醸成

関連タグ

デジタルを活用した取組の全体概要

子どもたちが地域の可能性を認識し、持続可能な社会の創り手となることを目指し、GIGAスクールによって整備された端末(以降、GIGA端末)の効果的な活用方法や情報モラルを関連企業や自治体の職員が、希望する小中学生に研修を行ない、町教委が公式にジュニアICTリーダーとして認定する。リーダーたちのミッションとして町の魅力をまとめるホームページを作成し、玖珠町(教育委員会)の公式なものとして発信している。

  • 集合研修(11月)クラウドツールを使用した共同活用
  • 課題制作・情報モラル研修(12~2月)共同編集などHPを作る準備(いずれもオンラインによる非同期分散型の研修形式で実施)
  • HP作成研修(3月)公式なものとして一般公開

実施に至る経緯・動機

  • これまで一部の地域(都市部)のものとされていた「デジタル」が、GIGAスクール構想によって、全国的なものとなったため、都会にはないたくさんの魅力があるこの田舎でも、デジタル人材の育成ができないかと検討し、GIGA端末を活用した、郷土愛醸成のための新しい取り組みとして開始した。
  • 国社数理英などの教科は、小中学校で習ってもGIGAスクールで配られた端末の使い方だけを学ぶ機会はない。これからの学習基盤となる全国に配備されたGIGA端末の効果的かつ有機的な活用のため、児童生徒のスキルアップと教職員研修などとの相互作用によるデジタル化の飛躍的推進を狙った。
  • 玖珠町においては、大学進学や就職による若者の地元離れが大きな人口減少の要因であることから、小中学生段階での郷土教育や情操教育の充実を図り、まちづくりの当事者として、大人になっても様々な形で玖珠町へ貢献してほしいという思いがあった。

解決する課題の具体的内容

町の魅力を発信するHP作成時に、子どもたちが主体的に町の魅力について調べて討議することによって、改めて玖珠町の魅力を発見し、それを発信するまでの間、「何もないところ」という玖珠町の認識を、可能性があるまちという姿にとらえ直すことができた。また発信の方法についてもこれまで学校教育になかった、デジタルを活用した新しい形として取り組むことができた。

デジタルを活用した取組による成果

  • リーダーの多くが在籍する、くす星翔中学校では授業での活用(デジタル教科書やAIドリル)はもちろんのこと、毎日端末を持ち帰り、校務や生徒会活動など日常的にGIGA端末を積極的に活用している。2021年には、大分県のICT活用フロンティア校として指定、同年、積極的なデジタル活用の取り組みが評価され大分県教育実践者表彰を受賞した。リーダーたちは、クラウドツール(玖珠町は、Google Workspace)を使いこなし、著しくデジタル活用スキルが向上したため、このスキルを学校現場へ逆輸入し、教職員の働き方改革などに効果的な活用を児童生徒から学校側に提案している。
  • 児童生徒は、普段見慣れているふるさと玖珠町の光景が、立地や自然環境など様々な可能性やリソース(資源)があることに気がつくきっかけとなった。

本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点

  • この事業の授業(課題)はGIGA端末をフル活用し、各家庭に持ち帰った際に実施するため、学校現場に人的・物的な負担はなく、デジタルの強みである場所、時間を問わない効果的な活用ができた。
  • 学校種(小中)や学校の異なる児童生徒間でも、クラウドツールを活用することで、1つの課題に対して、違う場所にいても、共同で作成し編集を行うことができ、より質の高いデジタル教育を展開することができた。
  • デジタル人材の育成を、学校教育活動外(課外活動)で、無償で行うことにより、教職員の負担なく誰でも平等に参加できる環境作りを心がけた。
  • いずれもGIGAスクールの整備時に導入された、無料のソフトを使用していることから、一切の追加投資なく、GIGAスクール構想による整備を有効活用した、無理のない事業設計となっている。

成果をあげるためのポイント

子どもたちのデジタルの活用力は計り知れない。大人があれもこれもと手を貸さずとも、子どもたちの方がクリエイティブに情報機器を使いこなすことができる。子どもたちのデジタル活用を進めるために、活用のための方法を教えることも大事であるが、デジタルシティズンシップや情報リテラシーを学ばせ、ある程度子どもたちに任せることで、主体性を持って適切なデジタル活用を行える人材の育成をすることができた。そのような人材が、学校でジュニアICTリーダーとして活躍している。そういった意味でも、積極的にチャレンジし安心して失敗できる環境を提供できたことは、子どもたちの関心・意欲を喚起できた。

デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法

小規模自治体では、デジタル化のための専任職員を置くことができず、中途半端な取り組みしかできていなかった。本事業は人材育成的な側面を持つことから、継続性が求められており、地域に根差した事業展開を行うためには、行政職員だけでは、継続性や専門性の面で心配があった。外部人材を積極的に登用して協働で事業を進めることにより、専門知識と行政の力をベストミックスしてより質の高い事業となり、持続可能な事業にすることができた。

今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス

学校のDX化を進めるためには、子どもたちや若い教職員のやる気とベテラン教職員の経験がミックスして進んでいくもので、どちらが欠けてもうまくいかないと考えている。誰一人取り残さない、個別最適化な学びの実現には、デジタル化による校務の効率化や教職員の働き方改革などが必要であり、教育委員会事務局や学校運営協議会がそれを支えるために、学校と一丸となって取り組んでいかなければならない。

連携団体
Google for Education
問い合わせ
部署
玖珠町教育委員会GIGAスクール推進室
電話
0973-72-1164
メールアドレス
kyouiku@town.kusu.oita.jp
関連サイト
https://www.town.kusu.oita.jp/soshiki/kyoikuseisakuka/giga/4477.html