Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
実施に至る経緯・動機
- 国が提唱する「連携中枢都市圏構想」の趣旨に沿い、平成28年3月に「大分都市広域圏」の圏域を形成するとともに、「圏域全体の経済成長のけん引」、「高次の都市機能の集積・強化」及び「圏域全体の生活関連機能サービスの向上」に向けた取組を実施するため、31の基本連携項目について協定を締結した。
- この基本連携項目の1つとして、「公共施設の相互利用の促進」を掲げており、「おおいた公共施設案内・予約システム」の共同運用に至った。
解決する課題の具体的内容
- 圏域は、大分市を中心とする生活圏でもあり、圏域内で通勤・通学を行っている住民は少なくなく、サークル等の住民活動も複数の自治体の住民が参加して行われるものがあるが、その活動場所の確保が難しい。
- 多くの自治体では少子高齢化、人口減少により、税収の減収が見込まれているとともに、これまで整備してきた道路等のインフラ施設及び公共施設の老朽化に伴う改修の時期を迎えており、各自治体の財政状況はひっ迫している状況にある。
- 既に大分市、臼杵市、豊後大野市はインターネットから公共施設の予約ができるシステムの運用を行っていたが、他の圏域内の自治体は、窓口や電話での受付を行っていた。
- スマートフォンの急速な普及により、誰もが気軽にインターネットを利用するネット社会が到来し、SNSやネット通販など、生活の中でインターネットが欠かせない環境となっている。
デジタルを活用した取組による成果
主要な施設の利用者数
施設分類/利用者 | 平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | 令和1年 | 令和2年 |
---|---|---|---|---|---|
体育施設 | 2,567,857人 | 2,529,737人 | 2,644,931人 | 2,479,524人 | 2,273,398人 |
対前年 | - | -38,120人 | 115,194人 | -165,407人 | -206,126人 |
文化施設 | 3,565,888人 | 3,492,500人 | 3,532,046人 | 3,238,284人 | 2,273,398人 |
対前年 | - | -73,388人 | 39,546人 | -293,762人 | -964,886人 |
※主要な施設として、各自治体が対象施設を定め、その施設の利用者数を圏域で総計したもの
※令和1、2年の利用者数の減は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によるもの
相互利用を行う公共施設数(令和4年4月1日時点)
大分市 | 別府市 | 臼杵市 | 津久見市 | 竹田市 | 豊後大野市 | 由布市 | 日出町 |
41 | 36 | 12 | 4 | 11 | 29 | 10 | 13 |
※平成30年12月に、地方自治法第244条の3に基づき、各自治体の議会の議決を頂いた施設数(大分市はその後2施設を圏域の議会の議決を経て追加した)
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
公共施設の相互利用
圏域内の156の施設を圏域内の住民であれば利用でき、圏域内のほとんどの施設の空き状況について、インターネットから同一サイトにて確認することができることから、施設の稼働率の向上につながる。
「おおいた公共施設案内・予約システム」の共同運用
「おおいた公共施設案内・予約システム」の調達については圏域の中心市である大分市が行い、保守管理に係る費用について圏域内の自治体で負担を行うことにより、小規模自治体の業務負担及び費用負担の軽減を図るとともに、大分市ではスケールメリットを活かした質の高いサービスを提供し続けることができる。
圏域内のデジタル化の推進
圏域内の行政事務において、「おおいた公共施設案内・予約システム」の共同運用を行ったことで、圏域内での行政事務について、共同で行っていく機運の醸成につながった。コロナ禍のデジタル化の波も受け、圏域にあらたな専門部会「デジタル部会」を発足し、様々な行政手続きのデジタル化について調査研究していくこととしている。
成果をあげるためのポイント
圏域内の156の体育施設・文化施設を圏域内の住民であれば原則自由に利用できるよう各市町の議決をいただいたうえで、これらの施設の空き状況の確認や予約ができる圏域共通の予約システムを導入することで、圏域住民の利便性の向上に加え、施設稼働率向上につながる期待が圏域全市町の当事業参加につながった。システム調達は、自治体の規模が小さいほど、業務負担及び費用負担が重くなるが、共同運用をすることでスケールメリットを活かし、業務負担や費用負担の軽減を図ることができ、将来にわたり質の高い住民サービスを提供し続けることができるものと考えている。
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
本市をはじめとした、圏域内全相互利用施設に共通システムを導入するため、各施設の運用ルールに対応したシステムのカスタマイズが当初相当なボリュームとなった。これに対し、システム構築の予算内におさめるため、各施設の現行運用ルールを見直すことが一番苦労した。これには、圏域市町の各施設の担当者の協力に加え圏域市町の企画部門担当課長と2か月に1回定期的な会議を開き、圏域の各種連携事業の進捗管理など情報共有を密にし、お互いの信頼関係の構築に努めたことが、今回のシステム導入に係る各種調整に大きく貢献したものと考えている。
今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス
今までのやり方を踏襲したまま最新のシステムを導入することがDX化につながるわけではないと考えている。これまでのやり方を見つめなおし、どこの過程をDX化していくのかを考えることが大切である。業務を見つめなおす過程は業務負担が増えるように見えるが、長い目で見てみると業務量は減っていくものであるので、あの時DX化に取り組んでみて正解だったと思えるようになると思う。是非、最初の一歩を踏みこんでいただきたい。
- 連携団体
- 大分市・別府市・臼杵市・津久見市・竹田市・豊後大野市・由布市・日出町(大分都市広域圏の構成自治体全7市1町)
- 問い合わせ
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- 部署
- 大分市 企画部企画課広域連携推進室
- 電話
- 097-537-5603
- メールアドレス
- kouiki@city.oita.oita.jp