デジタルを活用した取組の全体概要

ドローン（固定翼・回転翼）を用いて圃場を空撮し、農家から申請された作付け情報と圃場の画像をパソコン内で比較することができ、現地に出向くことなく作付けの実態が確認できる。

実施に至る経緯・動機

• 本町がドローンの活用に取り組んだのは、裏作（麦）の作付けに対して、農家に支払いをする交付金の業務である。この業務を行うにあたり、担当部署では、毎年２月～３月にかけて、町職員にて現地の圃場の確認に出向き、農家から提出された申請と、圃場への作付けが合致しているか確認を行っていた。その後現地で確認した内容やデータの整理を行い、農家への交付金の支給を行っていた。
• そのため、現地での圃場確認に多くの時間を要するため、交付金の支払いに遅れが発生するなど、町として大きな課題だった。また、制度改正から、交付金の対象となる作物が拡大されるようになり、これまで以上に、確認が必要な圃場が拡大し、さらに時間を要するようになってきた。併せて農家への交付金の支給に向けた手続に、ますます時間を要してしまう懸念もでてきた。

解決する課題の具体的内容

これまで現地での確認には、町職員が作付けされた圃場に出向く必要があったが、ドローンの活用を開始してからは、現地での圃場確認は行わず、ドローンを操作する事業者（株式会社オプティム）にて、まずは町内の農地の写真撮影を行い、その後、撮影した写真データと、農地データを管理システムにセットする。その後、町職員がシステムを介して、パソコンの画面上で、ドローンが撮影した画像と農地データを見比べながら、作付状況を確認出来るようになった。

デジタルを活用した取組による成果

• 従来の方式では、町内の作付けされた圃場確認に、町職員が2～3名程度で20日間程度を要していた。その後、データの整理などで2週間程度を要していた。
• ドローンを活用してからは、ドローンでの写真撮影に3日間程度。その後、町職員よりシステムを活用してのパソコンでの作付け状況の確認作業まで併せると概ね１週間程度で作業が完了できるようになった。
  農家への交付金等の早期支払いに向けて、効果があった。

本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点

• 担当以外の町職員が作付け状況を分担して確認できるように、数台のパソコンを準備し、作付け情報の迅速に確認出来るようにした。
• 農地の状況は、作付してある農産物の生育状況により常に変化する。交付金の支払いの基礎とした作付け状況について、空撮した写真データを保存しているので、後もっての再確認などが容易に行える。

成果をあげるためのポイント

デジタル化を推進する上では、これまでの業務フロー（やり方）に、単にデジタル化に必要なシステムや機器を導入するのではなく、デジタル化することでの業務フローを見直すことが必要である。業務フローの見直しを行わずに、デジタル化を進めてしまうと、効率化につながらずに、業務が増えてしまう可能性がある。

デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法

デジタル推進の担当部署や職員が、デジタル化を推進しようとしても、なかなか進まない。各職員にいたっては、デジタル推進の担当部署からの「やらされ感」につながってしまう可能性もある。職員一人一人が、各自が行っている業務の非効率な箇所に着目し、デジタル化することで効率化できるイメージを持ってもらうことが重要だと感じた。そこで、本町では、事業者から協力を得ながら、先進的に取り組まれている自治体など導入されているデジタル技術を体験できるミニセミナーを庁舎内で職員向けに定期的に開催し、職員が最新のデジタル技術を体験し、各業務に生かすことができないか、各職員がデジタルを活用した業務をイメージしやすい環境を提供した。

今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス

デジタル推進の担当部署や職員が、デジタル化を推進しようとしても、なかなか進まない。各職員にいたっては、デジタル推進の担当部署からの「やらされ感」につながってしまう可能性もある。各職員が、今行っている業務が、デジタル化により業務効率化できるイメージをもってもらい、小さいところからでもデジタル化することで、従前のやり方を見直すことに取り組める環境を提供することが重要かと思われる。