Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
実施に至る経緯・動機
- 子どもたちの安全を確保するため、九州電力株式会社福岡支店と令和元年12月25日に締結した「安全安心まちづくりに関する包括連携協定」に基づき、IoTを活用した地域全体での子どもたちの見守り強化に関する手法を検討した。
- 令和2年度に町内の小学校、企業、店舗、電柱等に基地局(102箇所)を設置し、環境整備を行った。令和3年度に町内の小学校に通う児童全員に見守り端末機を配布すると共に、町の広報紙等で見守りネットワークについて町民に周知し、見守りアプリの登録を呼びかけた。
解決する課題の具体的内容
- 見守りネットワークに紐づけられた見守り端末機を持った児童が、地域に設置した基地局や見守りアプリの登録者付近を通過することで、位置情報が記録される。その位置情報を行方不明などの有事に限り、警察の要請を受け、町から警察に位置情報を提供することで、事件の早期解決を図る。
- また、サービスには無料と有料のサービスがあり、無料サービスでは保護者が見守り端末を持った児童の位置情報を知ることはできないが、有料サービス利用の保護者には、事前に設定した基地局の通過時に通知を受け取ることができる他、位置情報・行動履歴マップ閲覧も可能となる。
デジタルを活用した取組による成果
制度導入後、事件等の発生や利用者の満足度調査等は実施していないため、データ・数値としてお示しできる成果はないが、定期的に広報紙等で「ながら防犯」の取組と共に当該見守り事業を周知しているため、犯罪抑止に繋がっているものと考える。
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
- IoTを活用することで、店舗等においては基地局の設置、町民においては見守りネットワーク登録など、通常の企業活動・日常生活の中で、地域全体での子どもたちの見守り活動が強化できるという取組が特徴的であると考える。
- 隣接している福岡市、久山町にも同様の取組があり、他の自治体が導入・取組の強化がなされることによって、広域的な位置情報の提供が可能となる。
成果をあげるためのポイント
本町では、以前より「ながら防犯」についての取組を進めている。そのため「地域で見守る」という下地が出来ていた。それに加えて、店舗等においては基地局の設置、町民においては見守りネットワーク登録など、通常の企業活動・日常生活の中で、地域全体での子どもたちの見守り活動が、IoTを活用することで、より簡易に実施できたことが取組の成果につながったものと考える。
※ながら防犯:「仕事」「通勤・通学」「買い物」「犬の散歩」などの、日常生活行動の中に防犯の視点を取り入れて行動しながら、地域の異変・異常・危険箇所に気づき、役場や警察に伝えることで、犯罪を未然に防ぐ一連の行動
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
当然のことだが、小学生は毎年六年生が卒業し、新一年生が入学するため、児童の入れ替わりが行われる。本町の取組は、保護者が利用者登録をすることによって初めて、端末の使用者が判明できることになる。つまり、端末を配布するだけでは、せっかくの機能が生かせないことになる。そのため、利用者登録について、学校や保護者に対してどのように周知を行うかに労力を注ぐことになる。
今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス
既にご承知おきのことだと思うが、年々変化・増加している住民ニーズや社会情勢の変化に限られた職員で対応することは限界がある。人口減少や様々な要因により、行政が当然のようにこれまで行っていたことを今後も同じように実施できない場面が出てくるのではと思う。その際に、いきなり地域等に任せることは困難を伴うと思うので、まず地域と協働で取組みながら下地を作り、DX化により簡便なシステムを利用していただいて移行するということが必要なのではないか。
- 連携団体
- 九州電力株式会社、九州電力送配電株式会社
- 問い合わせ
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- 部署
- 粕屋町総務部協働のまちづくり課
- 電話
- 092-938-0173