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Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。

コロナ禍でも持続可能、ぎょしょく教育活動のDX

愛媛県愛南町教育・子育て、農林水産

実施年度

Digi田甲子園 2022夏

取り組み事例キーワード

ぎょしょく教育、関係人口創出

関連タグ

デジタルを活用した取組の全体概要

愛南町が愛南町ぎょしょく普及推進協議会と連携して、愛南町内外の小中学校の児童生徒に対して、動画やアプリケーション、インターネット中継等を活用したぎょしょく教育普及活動を実施する取組

実施に至る経緯・動機

平成17年に愛媛大学の若林良和教授が提唱したぎょしょく教育を、漁協、漁業者及び教育行政機関で組織する愛南町ぎょしょく普及推進協議会を設立し、産官学が連携を強化して、継続して実施している。ぎょしょく教育は、7つのぎょしょく(魚に触れる魚触、魚の生態や栄養を学ぶ魚色、獲る漁業を学ぶ魚職、育てる漁業を学ぶ魚殖、伝統的な魚文化を学ぶ魚飾、魚を取り巻く環境を学ぶ魚植、魚の味を知る魚食)により小中学校等の授業や行事で、産地と消費地の相互交流を図ってきましたが、令和2年度から新型コロナに対応したDXの実施にも取り組んでいる

解決する課題の具体的内容

  • 新型コロナウイス感染症対策により学校での調理実習の実施が困難状況になり、また行動制限による人流の抑制により町外でのぎょしょく教育活動も困難な状況になった。
  • 町外でのぎょしょく教育活動には、人員や時間、地理的な要件により限定的な普及活動しかできない状況だった。

デジタルを活用した取組による成果

取組のアウトプット
令和3年度
「ぎょしょく教育」普及事業 町内36回、町外8回、参加人数延べ918人
公開動画 27本
公開アプリケーション 8本
公開料理レシピ 23種類
愛南町役場ホームページ水産課関連公開ページ数 22ページ
SNS(Facebook)投稿数 211件(令和3年5月~)
SNS(Twitter)投稿数 158件(令和3年8月~)
取組のアウトカム
令和2年度 令和3年度
動画視聴 30,691件 38,129件
アプリケーションダウンロード数 - 約1,000件
料理レシピサイト視聴数 98,852件 71,826件
愛南町役場ホームページ水産課関連ページアクセス数 - 38,806件
SNS(Facebook)視聴数 - 79,456件
SNS(Twitter)視聴数 - 39,904件

学校等のネットワークは、セキュリティ強化されているためダウンロード数が計測できません。

本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点

  • 愛南町内外で実施しているぎょしょく教育の出前授業では、GIGAスクール構想により学校に一人一台導入された情報端末を使ったアプリケーションや動画、インターネット中継を積極的に活用している。
  • 水産王国愛媛県は養殖真鯛の生産が日本一であり、愛南町でも真鯛やブリ等の養殖業が盛んで、学校と養殖現場を地元ケーブルテレビにも協力していただきインターネットで中継して、現場で働く方からの生の声を聞くことができる出前授業等を実施している。
  • 魚が豊富で取扱いが多い町内鮮魚店の方などの協力により魚をおろす効率的な工程と地域独自の漁師が行う工程を実演していただき動画を撮影して、その動画の画像を使って魚を3枚におろす疑似体験ができるアプリケーションを制作した。
  • 魚を3枚におろす疑似体験ができるアプリケーションは、出前授業で子どもがひとりで何回でも指一本で疑似体験を行うことができるため食品ロスなく技術の習得ができ、さらに「本物の鯛をおろしてみたい」という興味を引き出して、魚を調理することへの意欲を引き出すことができている。
  • 環境に配慮した持続可能な漁業を推進するために、海洋プラスチックや海底に放置されている漁具の回収を疑似体験できるアプリケーションやウニッコリー(藻場の減少要因の一つであるガンガゼウニに特産品のブロッコリーを出荷規格にする際に出る端材を餌として与えて育てたウニ)の畜養を疑似体験できるアプリケーションも制作して、地域の課題解決や魅力向上に努めている。
  • 既に地域にある資源をデジタル化することは、市場規模が小さく大手企業の参入は見込めないため、アプリケーションや一部の動画は、関係者が制作している。このような取組により、必要最小限の経費によりデジタル化を行っているので、国の補助金には依存していない。また、地域資源の活用は、地域への関心、愛着、誇り、つながり、参画の意識を育てることにつながっている。
  • アプリケーションや動画は、インターネットが整備された環境であれば利用可能であるため、人員や時間、地理的な要件により出前授業の実施が困難であった地域でもぎょしょく教育を享受いただけるようになった。
  • アプリケーションや動画は、インターネットに公開しているため家庭でいつでも利用できる。特にアプリケーションは、ゲーム性があるため家族や友人知人と時間等を競って一緒に楽しむ時間を共有することもできる。
  • 児童や生徒以外の方にも、SNS等を使った多様性に対応した情報発信を積極的に行い、アプリケーションや動画、料理レシピサイト、ホームページ等から愛南町の水産業に興味を持っていただき、オンラインショップで水産物を購入していただき、また、実際に愛南町へ行ってみたいという機運を醸成している。アプリケーションの配布では、日本以外の韓国、台湾からのアクセスが多く、フランスやブラジル等の国からもアクセスがある。

成果をあげるためのポイント

ぎょしょくの普及活動は、ぎょしょくの出前授業による活動が多くを占めている。この出前授業は、小中学校で実施しているため、学校の変化に対応した活動が望まれる。新型コロナウイルス感染症の影響により既存の実施方法では、出前授業の実施が困難になったことや、一人一台の情報端末の整備により学校の環境が変化したことで、新たな実施方法を模索する中でいろいろなことに取り組んだ結果がDXだった。
児童や生徒の状況を学校の先生を通じて把握することで、学校のニーズを把握した上で新たな実施方法を検討して実践するという、デジタル特有のものではなく、これまでにアナログでも行っていたことの結果が、たまたまDXということに該当したのではないかと思う。

デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法

学校で一人一台整備された情報端末は、パソコンに比べて容量が少なく処理能力が低いため、アプリケーションの制作には、この機能制限内で児童や生徒に直感的に認識できるものを制作しなければならないという制約があった。また、学校の休み時間などでも使用していただきたかったので、アプリケーションの一連の流れが5分程度で完結することを意識した。このような制約があったため、本来なら動画を使いたい部分を静止画像にしたり、全体の工程を簡略化したモードと簡略化しないモードを設けたりすることで、一連の流れを時間により選択できるようにした。

今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス

私たちのDX化の取り組みは、前述したとおりアナログでも行っていたことが、結果的にDXというものに該当したということであるため、新たな取り組みを始めるというものではなかった。しかし、ニーズを把握して、そのニーズに対応するために、DXが必要なのかという判断ができるには、ある程度の知識が必要になる。その判断ができる人材の育成、確保が重要になると思う。

連携団体
愛南町ぎょしょく普及推進協議会(愛媛大学、愛南漁業協同組合、久良漁業協同組合)、愛媛CATV
問い合わせ
部署
愛南町役場水産課
電話
0895-72-7312
メールアドレス
suisan@town.ainan.ehime.jp
関連サイト
https://www.town.ainan.ehime.jp/kurashi/business/suisangyoko/suisanshinko/ainangyoshokufukyusuishin.html