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Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。

IoT防災スクラム~データ連携!自治体広域連携!!~

香川県高松市防災

実施年度

Digi田甲子園 2022夏

取り組み事例キーワード

データ連携基盤、オープンデータ、地域間連携

関連タグ

デジタルを活用した取組の全体概要

データ連携基盤「IoT共通プラットフォーム」とセンサーやカメラ等のICTを用いて、防災分野におけるデータを収集・利活用し、各種データを地図上に一元的に可視化することで、迅速かつ効率的な災害対応を可能にする取組

実施に至る経緯・動機

  • 高松市では、平成29年に総務省が公募した「データ利活用型スマートシティ推進事業」に選定されたことで、IoT共通プラットフォームを構築し、本格的にスマートシティの取組を開始した。
  • 特に「防災分野」においては、高松市は地理的条件に恵まれ、災害が比較的少ない反面、職員の災害対応の経験が浅く、また、災害発生時に危険な状況に晒される場面が多いという課題がある中、高松市では、ICTを用いることで、災害対応の高度化と職員の業務改善の両立を目指し、検討を進めた。

解決する課題の具体的内容

  • 高松市では、水防本部設置時に、市水防計画上の観測地点13か所に職員を派遣し、定期的に目視での状況確認を行っていたが、同13か所に水位・潮位センサー及びカメラを設置し、リアルタイムにデータを収集・分析するとともに、一元的に可視化している。現場の状況をより具体的に把握することで、河川の氾濫や高潮等に対する減災に向けた対応をより迅速かつ効率的に行うことが可能となり、市職員の業務改善にも寄与した。
  • また、避難所30か所にスマートメーターを設置し、それらから通電情報を収集することで、災害が発生した際、避難所開設に関連する状況判断に活用するほか、避難所の状況を、ICTを活用して職員が報告できる仕組みを構築している。これにより、避難所の使用可否の迅速な把握、避難勧告など住民発令の判断の迅速・的確化が実現し、早期の災害対策が可能となった。

デジタルを活用した取組による成果

  • 本事業で収集・利活用している防災分野のデータ(計14種)
    • 「リアルタイムデータ」⇒ 水位、潮位、避難所、カメラ画像、冠水状況、降雨量、降水ナウキャスト、道路交通実績、ダム情報(計9種)
    • 「地図情報」⇒ 土砂災害危険区域図、河川洪水浸水想定区域図、高潮浸水想定区域図、津波浸水想定区域図、コミュニティセンター区域図(計5種)

本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点

  • 高松市では、水位・潮位センサー及びカメラを設置し、リアルタイムにデータを収集・分析するとともに、土砂災害危険区域図等の地図情報や、香川県が提供する防災情報とも連携し、より効果的な防災活動を進めている。
  • また、行政だけでなく、産学民官の連携組織であるスマートシティたかまつ推進協議会内に「防災IoT活用WG」を設置し、防災対応について議論を深めながら取組を進めた。
  • これらのデータは、高松市内部のみの利活用だけではなく、オープンデータとして、広く市民に公開している。地図上で防災に関する情報が視覚的に一目で把握できるため、市民の自主的な防災活動にも効果的かつ有用であるといえる。
  • 災害の発生については市町で区切られるものではなく、防災の取組については、広域で展開すべきものとの共通認識のもと、近隣市町の綾川町及び観音寺市と、高松市のIoT共通プラットフォームを共同利用する協定を締結し、令和2年度より防災分野でIoT共通プラットフォームの共同利用を開始している(各市町が負担金を拠出)
    綾川町、観音寺市の各地点に設置したセンサーにより水位・潮位データをそれぞれ収集するほか、気象や道路通行実績情報など、防災・減災に必要なデータも新たに収集し、高松市の防災ダッシュボード上に一元的に表示することで、広域で迅速に情報を共有する仕組を構築した。

成果をあげるためのポイント

市の抱える課題をきちんと整理した上で、その課題に適したソリューションを選定できたことが大きなポイントだと考える。様々な主体が多種多様なソリューションを展開している中で、ソリューションの導入を目的(手段の目的化)とするのではなく、自地域が抱える課題は何かをまず整理・明確化することが重要であると考える。また、他地域との連携については、積極的なコミュニケーションを通じて、異なる地域の中にもある共通の課題とその解決策を共有することで、近隣地域を巻き込んだ成果をあげることが可能となった。

デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法

従来の実施方法でも達成できていた事柄(取組)をあえてデジタル化しようとすると、少なからず反発はあり、各関係者から合意を得るということが最大の壁であった。また合意を得るのみならず、具体的に何をデジタル化することが、地域住民の利便性向上・職員の負担軽減につながるのかといった、ある程度先を見据えた取組計画を立てることも重要である。各関係者との合意・具体的なデジタル化の検討に際しては、各関係者とのコミュニケーションを通じて、解決したい課題を明確化し、それに応じた適切なデジタル化を検討した。

今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス

まずは、取組を進めようとしている企業様・自治体様のほうで、どのような課題があり、どのような目的を達成するために、どのような事項をデジタル化(DX化)するかを明確かつ具体的にする必要があると思う。そして、それらの事項を達成するために、何かツールやソリューションの導入を検討するのであれば、導入が目的化(手段の目的化)するのではなく、目的達成のために適したものを、きちんと見定めた上で導入を検討する必要があると思う。

連携団体
綾川町、観音寺市、スマートシティたかまつ推進協議会
問い合わせ
部署
高松市 総務局 デジタル推進部 デジタル戦略課
電話
087-839-2172
メールアドレス
digital_sct@city.takamatsu.lg.jp
関連サイト
https://www.city.takamatsu.kagawa.jp/kurashi/shinotorikumi/machidukuri/smartcity/index.html