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Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。

阿波おどり未来につなぐプロジェクト(新たな時代を見据えた阿波おどり開催による関係人口の拡大)

徳島県徳島市観光・文化・娯楽

実施年度

Digi田甲子園 2022夏

取り組み事例キーワード

顔認証、デジタルチケット、オンライン健康管理、関係人口創出、新型コロナウイルス感染症対策

関連タグ

デジタルを活用した取組の全体概要

本市の伝統芸能「阿波おどり」において、ふるさと納税やクラウドファンディング(以下「CF」という。)を活用するとともに、多くの観客や踊り子の整理・誘導を効率的に行うため、顔認証技術やオンライン健康管理技術を活用して入場管理や参加者の健康チェックを行っている取組。

実施に至る経緯・動機

  • 毎年お盆に開催している阿波おどりは期間中に100万人以上の観光客が訪れるなど、徳島が世界に誇る伝統芸能であるが、新型コロナウイルス感染症の影響により2020阿波おどりが戦後初の中止となった。
  • 新型コロナの収束が見通せない中、感染症対策を徹底しながら阿波おどりを開催する方策について検証するイベントとして、2020年秋には観光庁の支援事業である「阿波おどりネクストモデル」を開催し、2021年夏にはその検証結果も踏まえた「阿波おどりニューノーマルモデル」を開催した。
  • コロナ禍における阿波おどりの課題は、観客、踊り子、スタッフの接触機会を減らし、いかに効率的に来場者の整理・誘導を行うかであり、具体的には、入場チケットをもぎる際の観客とスタッフの接触を減らすこと、また、踊り子の体調管理と事務局への報告を効率的に行うことであった。
  • さらに、従前から阿波おどりへの来場者数減少が危惧されており、祭りの存続のためには全国的な阿波おどりファンの拡大を図るとともに、その関係を維持・発展させていくための仕組みづくりも課題となっていた。
  • これらの課題解決に向けて、入場チケットを従来の「紙チケット」から「デジタルチケット」に切り替え、さらに、スタッフとの接触を不要とするため、タブレットに顔をかざせば本人確認ができる顔認証技術を搭載したチケットの運用について実験を行った(ぴあ(株)、playground(株)との連携)。
  • また、2020年の阿波おどりネクストモデルでは紙で踊り子の体調管理を行ったが、運営側にも参加者側にも大きな負担を伴ったため、2021年の阿波おどりニューノーマルモデルでは、グループ健康アプリ「OND’U」を活用し、参加する踊り子の体調管理・報告がオンラインで行えるシステムの導入について実験を行った(パナソニック(株)との連携事業)。
  • また、2021年は阿波おどりを軸とした関係人口の増加を図るため、インターネット上で阿波おどりを応援できるふるさと納税やCFの仕組みを活用して全国からの支援を募る((株)マクアケとの連携)とともに、全国のファンとSNSでつながり合えるよう阿波おどりアンバサダーの仕組みを構築した。
  • さらに、2021年の阿波おどりでは、ユーチューブを使ったオンライン配信を行い、会場に足を運ばなくても阿波おどりに触れられる機会を設けた。

解決する課題の具体的内容

  • デジタル技術の導入などにより感染症対策を徹底したことで、全国の祭りが中止を余儀なくされる中でも、徳島市の阿波おどりは2020年の中止のみにとどめることができた(ただし、2020年秋には検証イベントを開催)。
  • 2020年、2021年いずれの阿波おどりにおいても、感染症対策を徹底したことでクラスターの発生などを防止することに成功した。
  • ふるさと納税やCF、阿波おどりアンバサダーなどの取組により、阿波おどりを軸とする全国的な関係人口の拡大が図られた。
  • コロナ禍でもオンラインを活用した情報発信を行うなど、全国で大規模イベントや祭りが再開するための足掛かりを作ることに貢献した。

デジタルを活用した取組による成果

取組のアウトプット
2020年 2021年
デジタルチケット利用者数 2,500人 1,232人(デジタル割合55.4%)

2021年は紙チケット併用

取組のアウトカム
2020年 2021年
総来場者数 2,675人 2,827人
2021阿波おどりユーチューブ再生回数 - 93,042回

2021年は屋内公演のみ有観客。

総合的なアウトカム(関係人口の拡大)
寄附件数 寄付金額
ふるさと納税(2021年) 1,021件 23,555千円
CF(2021年) 104人 2,801千円
登録者数
阿波おどりアンバサダー(2022年5月1日現在) 159人

本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点

  • 今回のデジタル技術の活用はコロナ禍といった特殊事情を考慮する中で生まれた取組ではあるが、コロナ前から担い手の減少や開催経費の問題により祭りが中止になるなど、地方の祭りの存続は全国的な課題となっていた。
  • ふるさと納税やCFなど、徳島に来なくても阿波おどりを支えられる仕組みを構築するとともに、アンバサダーとして持続的につながり合えるオンラインの場を作るなど、阿波おどりを軸とした関係人口の増加につなげたことで、人口減少社会における地方の祭りのロールモデルを示した。
  • また、デジタル技術を活用することで、チケットをもぎるスタッフが不要になったり参加者とのやり取りがスムーズになったりするなど、運営が効率化されるとともに、観客にとって安心・安全な祭りとしていくことが可能となる。
  • 阿波おどりという日本を代表する祭りにおいてCFの取組やデジタル技術の検証を行うことで、全国の他の祭りやイベントでの横展開が期待できる。

成果をあげるためのポイント

阿波おどりを未来へつなげていくために、感染症を理由に中止するのではなく、デジタル技術の活用等により、いかに感染機会を減らすことができるか、粘り強く模索した点が成果を上げることができたポイントであったと考える。
また、運用にあたって、事業者と密に連携を図ることでスムーズに導入できたこともポイントの一つであったと考える。実際に顔を合わせて協議することができない中、メールでのやり取りだけでなく、web会議などで情報を共有することで、上手く連携が図れたと考える。

デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法

デジタル化による「道具」は、整えることができても、関係する方が使いこなせることができないと意味がない。今回スマートフォンを活用した取り組みもあったが、そういうものに不慣れな方も多くいるため、わかりやすいマニュアル作成や説明機会を設けることなどを、運営側だけではなく、事業者と一緒に取り組んだ。祭り当日も、トラブル発生に備え、運営側だけではなく、事業者にも待機してもらうなど、協力して取り組んだ。

今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス

自治体単独で、DX化に取り組むことは、非常に難しいと思う。ニーズに対応できる技術やノウハウを持っている事業者の協力を仰ぎ、現場に導入することになるが、その祭には、お互いいろいろな意見を出し合い、議論を深め、お互いの役割を尊重したうえで、良好な関係を築き目的を達成していくことが大切だと感じた。
お金をかけたらできることは増えるだろうが、運用上どこまでが必要で、それ以上は必要ないといった判断も、自治体側だけで判断するのではなく、技術やノウハウを持った事業者と協議を重ねて判断することが大切であると考える。

連携団体
ぴあ株式会社、playground株式会社、パナソニック株式会社、株式会社マクアケ、阿波おどり団体(阿波おどり振興協会、徳島県阿波踊り協会など)
問い合わせ
部署
徳島市経済部阿波おどり観光推進室
電話
088-621-5233
メールアドレス
awaodori@city-tokushima.i-tokushima.jp
関連サイト
https://www.city.tokushima.tokushima.jp/kankou/awaodori/index.html