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Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。

「アナログ×デジタル」で高齢者簡単予約とコロナワクチン迅速処理の実現

広島県三原市誰一人

実施年度

Digi田甲子園 2022夏

取り組み事例キーワード

予約システム、AI-OCR、RPA、職員負担軽減、新型コロナウイルス感染症対策

関連タグ

デジタルを活用した取組の全体概要

  • 三原市が60歳以上の市民(約38,000人)に対し,円滑に接種予約してもらうことを目的に,市であらかじめ集団接種の日程を指定した通知(仮予約通知)を送付した。
  • 仮予約通知を受け取った対象者は,①集団接種を受ける,②病院で接種する等,選択肢を選び,はがきで返信する。
  • その返信はがきの読み込み及びデータ集計に「AI-OCR」と「RPA」の技術を組み合わせて,業務の効率化に成功した。

実施に至る経緯・動機

  • ワクチン接種の一回目で,65歳以上の市民(約32,000人)のワクチン予約は,電話×IT(インターネット)での予約受付からスタートした。受付開始後は,担当課の電話は鳴りやまないばかりか,他の課の電話も鳴り続ける状態,ITは使えない高齢者が多く,市役所窓口に多くの市民が並んで待つ状況が発生し,たくさんの苦情と大きな不満を残し,一回目の予約受付は終了した。
  • そこで高齢者が安心して申し込めるアナログの方法と,多くの処理が発生する行政側の手続き簡素化の検討を開始した。
  • 連日連夜,部長を含めたチームメンバーの協議は続き,そこから選択したのは対象者全員に集団接種可能日を準備し,接種できる日付を確保した上で,本人が個別接種などを選べる仮予約方式だった。
  • この方法によると高齢者は手紙で通知を受け取り,個別と集団のどちらを受けるかを選択し,はがきで希望を回答することができる。一方, 30,000通を超えるはがきが返送され,その内容を確認し,集団接種枠を確定させていかなければならない行政側では,事務作業が煩雑化することが予想される。
  • そこで考えたのが,返送されたはがきをAI-OCRで読み込み,RPAで集計し台帳作成する,というハイブリッド対応で,迅速確実に処理を進める方法だった。
  • これにより,その後の予約に関する苦情はなくなり,60歳以上の市民の約95%がワクチン接種を速やかに実施できた。

解決する課題の具体的内容

約35,000通の返信はがきの効率的な読み込み及びデータ集計

デジタルを活用した取組による成果

  • 事務補助員等約4名×1か月程度の事務量を想定したが,時間外に稼働するRPA等の技術により,その事務はなくなり,正確な接種予約リストが作成できた。
  • 結果として,①接種者本人が予約する手間を省くことで,手軽に接種ができたこと,②事務の効率化を行い,接種に向けた広報にリソースを割けたことにより,60歳以上の市民の約95%が速やかに1回目のワクチン接種を行うことができた。(令和4年5月23日時点として,2回目接種率93.3%)
    【参考】
  • デジタルを活用した本取組は令和4年度のワクチン接種(4回目・オミクロン株対応)にも継続し、活用しており、返信はがきの集計および予約リストの作成等の事務の省力化や対象者におけるワクチン接種率の向上に寄与している。

本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点

  • 三原市では,デジタルファースト宣言により,行政のデジタル化を進め,誰一人取り残されない政策につなげていくこととしている。
  • 本取組については,市民のデジタル活用について個人差があるという前提に立ち,誰一人取り残さないという視点により,あえて予約方法をアナログ化(仮予約通知)し,市民に対し円滑な予約方法を展開するとともに,そこから発生が予想される事務をデジタル技術により省力化・効率化しており,アナログ×デジタルの効果的な融合による事業実施が実現した。

成果をあげるためのポイント

三原市では、デジタルファースト宣言により、行政のデジタル化を進め、誰一人取り残されない政策につなげていくこととしている。
本取組については、市民のデジタル活用について個人差があるという前提に立ち、誰一人取り残さないという視点により、あえて予約方法をアナログ化(仮予約通知)した。
デジタル化の取組を進めていく上で、行政側のことだけを考えるのではなく、市民に寄り添う視点を持ちながら取り組んでいくことが成果を上げるポイントの1つであると考える。

デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法

高齢者の接種予約ははがき方式となるが、約30,000通の返信はがきを処理する上で次の課題で上がった。

  • 膨大な返信はがきを処理する上で事務作業が煩雑化する恐れがあり、事務の省力化を図る必要があること。
  • 省力化を図りながらも集団接種実施日において余剰ワクチンを発生させないため、集団接種の予約リストを正確に作成する必要があること。

日々の業務に追われながら時間のない中、いかに効果的かつ効率的に実施していくかを内部や関係課と協議をし、結論を早期に出す必要があった。
全庁的な協力体制の中、情報部門との連携でRPAの構築や運用などアドバイスやデータの処理など実施協力を得ることができた。
1つの課だけでは、デジタル化を進めていく上で、知識不足や連携が難しいなどの点が多く、組織の横断的な協力を得られるかどうかが、事業を成功に導く鍵であると考える。

今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス

本市もDX化に取組途上でおり、他団体に対しアドバイス等ができる立場にはないが、デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法に記載したとおり、全庁的に対応していくことが重要だと考える。

問い合わせ
部署
三原市保健福祉部保健福祉課
電話
0848-67-6205
メールアドレス
sunsea@city.mihara.hiroshima.jp
関連サイト
https://www.city.mihara.hiroshima.jp/soshiki/5/145460.html