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Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。

阿井地区集落営農組織等連携の取組み

島根県奥出雲町農林水産

実施年度

Digi田甲子園 2022夏

取り組み事例キーワード

スマート農業、ドローン活用、事業者負担軽減、担い手確保

関連タグ

デジタルを活用した取組の全体概要

奥出雲町の阿井地区において、ドローンなど新技術を活用しながら、集落営農組織等の連携を促進し、持続可能な農業経営を目指すもの。

実施に至る経緯・動機

  • 奥出雲町では、1300年以上の歴史をもつ「たたら製鉄」(=日本古来の製鉄法)の鉄穴流し跡地を棚田に再生し、水稲栽培が盛んに行われている。
  • 面積の80%を林野で占める豪雪地帯であり、標高300~500mにある水田は、 昼夜の温度差とミネラル豊富な雪解け水により、米・食味分析鑑定コンクールで金賞を受賞するブランド米(仁多米)として販売している。
  • しかしながら、少子高齢化、米価の下落など、農業を取り巻く環境は、年々厳しさを増し、対策として、集落営農組織や農事組合法人などを設立し、農作業の共同化を進めているが、このままでは将来的に農業経営を続けていくことが困難な状況になることが予測されていた。
  • そのような状況を解決するため、奥出雲町阿井地区では、持続可能な営農体制づくりを目指し、同じような課題を抱える集落営農組織や農事組合法人、集落協定が連携し、課題解決に向けた検討を行う「阿井地区集落営農組織等連絡検討委員会」を平成26年に設立され、集落連携ビジョンを策定された。

    第一次阿井地区集落連携ビジョン
    • 1. 専用機械の共同利用
    • 2. 品種別作付けの団地化
    • 3. 地区での資材一括購入と一括出荷
    • 4. オペレーター人材の掘り出し
    • 5. 地区全体の地区貢献活動

解決する課題の具体的内容

  • 集落連携ビジョンを基に様々な取組を実施され、平成29年には、阿井地区内で今後の営農のあり方アンケート調査を実施し、数ある農作業の中で、作業に最も人員が必要であり、連携すべき作業として回答が多かった、水稲防除(農薬散布)作業の改善に取り組むこととし、平成30年にドローン2機の購入とオペレーター8名の育成が行われた。
  • ドローン防除を導入することにより、作業負担の軽減やコストの削減を行いながら将来的には稲の育成診断などにもドローンを活用していくことを計画されている。また、ドローンのオペレーター育成によりこれまで農業に参加することが少なかった地域の若手の農業参加を促進し、ドローン以外の農業用機械のオペレーターとしての育成や将来の農業経営の主体となる人材を育成することを目的とされ、集落連携ビジョンで掲げられた機械の共同利用、オペレーター人材の掘り出しを行いながら、将来の担い手確保による持続可能な農業経営を目指している。

デジタルを活用した取組による成果

  • ドローン防除による作業負担の軽減などにより、地区内の連携体制の充実が図られ、3つの集落協定が新規加入し、農業連携の強化が図られた(8組織 ⇒ 11組織による連携)
  • 新技術導入による若手の農業参画
    オペレーター15名体制
  • 地区内水稲作付面積181haのうち毎年約120haの農薬散布実績

本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点

個人や企業単独でのドローン導入ではなく、地区の集落営農組織等が連携し、農業の共同化を行う法人を設立している。法人化により、将来の設備更新のための資金確保や組織的な農業経営基盤を確立しながら、長期的な取組みができるような体制づくりが行われている。

成果をあげるためのポイント

直近の複数ある課題に対し、最初から全ての課題に対応する仕組みを考えるのではなく、アンケート等での意見を参考に、まずは比較的容易かつすぐに効果が期待できるドローン防除導入に取り組んだことで高い成果をあげることができた。また、若手を中心とした取り組みが行えたことにより、将来の農業の担い手育成が促進され、今後さらなる取り組みを行えるだけの体制が整えられたことで持続可能な農業経営が期待できるようになった。

デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法

ドローン防除を導入するにあたり、例えば農作業の限られた時間の中ですぐに機器を利用できるものであったり、天候に大きく影響されない機器であるよう調整するなど、農業の行う上での厳しい条件があるなかでも利用できるよう機器に反映させること、また補助金を活用するため多くの申請資料を作成することが困難であったが、関係機関やノウハウを持った方に協力してもらいながらドローン防除を実用化するところまで取り組むことができた。

今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス

DX化に取り組む上で、少人数だと検討が進まず導入が困難なものでも、関係機関やノウハウを持った方など多くの人を巻き込みながら進めることで実現化が近づくものだと思う。また、大規模なものを導入することも大事だが、まずは小規模なものでも導入することで、少しでも利便性や効率化を感じてもらうことで、次へのステップのための体制であったり環境ができ、様々な課題への対応も柔軟に行うことが期待できるのではないかと考える。

連携団体
阿井地区集落営農組織等連携検討委員会(集落営農組織等11団体)、合同会社あいの郷、島根県、公益財団法人しまね農業振興公社、島根県農業協同組合、奥出雲町
問い合わせ
部署
奥出雲町総務課
電話
0854-54-2505
メールアドレス
jouhou@town.okuizumo.shimane.jp