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Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。

高齢者による高齢者のためのスマホ教室

島根県松江市誰一人

実施年度

Digi田甲子園 2022夏

取り組み事例キーワード

スマホ教室、高齢者に向けたデジタル活用支援、デジタルデバイド対策

関連タグ

デジタルを活用した取組の全体概要

松江市シルバー人材センター(以下「センター」という。)及び松江市が、市内高齢者に対して、センター登録のシルバー会員による「高齢者による高齢者のためのスマホ教室」を実施する取組。

実施に至る経緯・動機

スマートフォンなどのデジタル機器の普及により、社会生活の中でデジタルを活用したサービスが増える中、デジタル化の恩恵を多くの方が享受できることを目的としている。

解決する課題の具体的内容

  • 松江市では、平成14年3月末に19.47%であった高齢化率が20年後となる令和4年3月末で30.20%と約1.6倍となり、人口減少に加え65歳以上の人口増が課題となっている。
  • また、デジタル技術、特にスマートフォンを活用したサービスが広がっており、高齢者へのデジタルデバイド対策が必要となっている。
  • このような中センターでは、令和3年度に総務省のデジタル活用支援推進事業補助金を活用して松江市と連携を図り、「高齢者による高齢者のためのスマホ教室」を開催し、基本操作に加えオンライン行政手続き、また悪質商法の被害にあわないための安全安心な利用方法等の講座を実施。
  • 高齢者自らがマンツーマンでの講師となることで参加者は安心して受講し、デジタル化の恩恵を享受できる方が増えている。

デジタルを活用した取組による成果

令和3年度の実績
参加者 全て 男性 女性 未回答
参加人数 404人
(1回あたり10.4人)
142人
(35.2%)
259人
(64.1%)
3人
(0.7%)
年代 60代 70代 80代 90代 未回答
参加人数 43人
(10.6%)
206人
(51.0%)
94人
(23.3%)
3人
(0.74%)
58人(14.4%)
アンケート結果 わかりやすかった 講師の対応良かった もっとスマホの使い方が
知りたい
回答率 84.4% 92.10% 97.10% 94.40%

本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点

  • 本取組は、取組名称が示す通り「高齢者による高齢者のためのスマホ教室」と題し、センター登録のシルバー会員自らが講師を務め、「高齢の私でもスマホを使ってこんなことしているよ、あなたも一緒にやってみませんか」と参加者と同じ目線に立った講座を実施しており、参加者はハードル低くスマホ操作に親しむことができている。
  • アンケート自由回答でも「ショップの人は難しい言葉で高齢者にはわかりやすく教えてくださらないのでいやだったが、皆さん丁寧で安心して楽しく講習を受けることができました」、「店頭で聞くより気軽に聞けて良かった」といった声が挙がるなど、同世代からの丁寧な説明で安心している様子がうかがえる。
  • 加えて、「年をとってもどんどん挑戦していくことの大切さを改めて思った」、「今まで、分からなくて若い者にしてもらっていましたが、自分でできてよかったです」、「通話が主だったが、少しずつ幅を広げていきたい」といった前向きな回答も多くみられ、スマホを身近なものとして今後も活用していく機運醸成にもつながっている。
  • 本取組では総務省の補助金を活用して実施するとともに、公民館を利用して無料にて実施しており、また参加者も友人と一緒に受講し、かつ講師はマンツーマンでの対応をも図っていることから、引き続き受講したいとの声も挙がっている。

成果をあげるためのポイント

応募した「高齢者による高齢者のためのスマホ教室」の取り組みについては、松江市シルバー人材センターが主催し、本市が協力して、令和3年度においては総務省の補助金を活用しながら実施している。本市としては令和4年3月に「松江市みんなにやさしいデジタル市役所計画」を策定して、庁内DXの推進により、市民サービスの向上や業務効率化を進めることとしており、庁内各課の取組をデジタル戦略課が伴走して実現に向けて進んでいる。一方で、デジタル技術に不慣れな方も当然おられ、市のサービス以外でも、チャットや動画などデジタル技術の恩恵を受けておられない方も多く、特に高齢化率が年々上昇する本市においては高齢者向けのデジタルデバイド対策は必須の取組であると思う。そんな中で「高齢者による高齢者のためのスマホ教室」の取組は、参加者にとって安心して学べる機会になっており、デジタルデバイド対策を進めるにあたって効果のある取組になっていると思う。

デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法

成果をあげるためのポイントでも記載したが、本市では庁内DX推進に向けて「松江市みんなにやさしいデジタル市役所計画」を策定しており、本計画に基づく庁内各課のデジタル化事業をデジタル戦略課で伴走支援しながら実現に向けて取り組んでいる。また、本計画に計上していない事業についても構想の段階からデジタル戦略課で相談を受ける体制を作っており、「どうやったらできるか?」という視点で事業所管課と一緒になって進めている。しかしながら、デジタル化を進めるにあたり、専門的知識を有する人材に乏しいことから、ベンダーとの技術面での協議や発注にかかる仕様書作成で、苦労する、難しいといった点が挙げられる。そのため、職員の人材育成はもとより、CIO補佐官の任用などによる体制強化を図っている。

今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス

アドバイスができるほどの実績を積んでいるわけではないのでおこがましいが、市民サービスの向上や業務の効率化につなげるデジタル化にあたっては「どうやったらできるか?」という視点が大切かと思う。もちろん情報セキュリティポリシーをはじめ様々なルールとの整合性も図ることも必要だが、これまでの仕事の仕方を再度見つめなおして現状の課題を洗い出し、何を解決すべきか整理したうえで、どうやったらできるかをしっかり議論することから始まると思う。

連携団体
松江市、公益社団法人松江市シルバー人材センター
問い合わせ
部署
松江市政策部デジタル戦略課(DX推進係)
電話
0852-55-5514
メールアドレス
dx@city.matsue.lg.jp