Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
智頭Miraizeプロジェクト
鳥取県智頭町観光・文化・娯楽、防災
実施年度
Digi田甲子園 2022夏
取り組み事例キーワード
コネクテッドカー、マイナンバーカード、安心・安全確保、介護予防
実施に至る経緯・動機
- 本町の地理的特徴として平地が少なく、深い4つの谷に分かれその中に88の集落が散在しており、町の中心部まで片道20㎞の地域もある。高齢化率は43.18%と高く、公共交通機関の利便性も不十分であることから、行政機能が集約されている公共施設への交通手段確保が住民にとって長年の懸案事項であった。
- そこで、遠距離でも行政サービスの提供が可能な手段の確保及び、次世代高速大容量通信によるSociety 5.0時代を見据えたデジタルガジェットのプラットフォームとしてコネクテッドカーの導入に至った。
解決する課題の具体的内容
行政手続き(マイナンバー申請等)の出張提供
集落公民館へコネクテッドカーを横付けし、簡易型受付スペースを開設。住民の本人確認や申請書類の作成等を役場ネットワーク等と接続し、その場で業務処理を行った。集落公民館を会場とすることで、自宅からの移動距離が極めて短縮され、利便性の向上につながった。
介護予防事業(ロコモ、フレイル)の導入
町内各地区で実施されている「森のミニデイ」の会場へコネクテッドカーを横付けし、ロコモ、フレイルシステムを活用。参加者の認知機能・運動機能をその場で見える化する。また、智頭病院リハビリ室とオンライン接続し、遠隔での健康体操指導や健康相談を実現。コロナ禍においても病院や役場福祉部門とのつながりを確保することで、住民の健康意識の醸成につながった。
防災現地対策本部としての利用
防災訓練会場へコネクテッドカーを横付けし、消防団による訓練状況をオンラインで確認する環境を本番想定で実証。水害、火災、地震、捜索等災害発生時における現地対策本部の拠点として町対策本部と接続することで、現場の状況を迅速かつ正確に共有することができる。
デジタルを活用した取組による成果
出張マイナンバーカード申請者数 | 6人 |
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ロコモ、フレイルシステム使用者数 | 20人 |
e-スポーツ体験者数 | 25人 |
イベント動画配信 | 1回/828人視聴 |
※令和4年4月11日時点
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
- コネクテッドカー車両内部の架装については自由度の高さを基本とし、行政手続き、医師等との面談、人員輸送等用途によってレイアウトを変更することが可能な仕様としている。
- また、サイドオーニングを搭載しており、屋外活動における簡易テント的な活用ができる。
- なお、通信はドコモのキャリア5G対応となっており、日本全国ドコモが繋がる所であれば、どこでも同様の環境を構築することができる。
- 車両と通信機器がセパラティブであるためコネクテッドカーとその他車両とをサテライト接続しネットワーク網の拡充を図ることができる。
成果をあげるためのポイント
現在本町が抱えている地域課題を自分ゴトとしてとらえ、コネクテッドカーを活用して今後まちや地域をどうしていきたいのか、またその実現に向けどう既存事業を展開していくのかを各課の若手職員を集めて審議し、各課連携のもと、事業を実践したことが成果の大きなポイントと言える。
また、キャリア通信環境を活用することにより、どの地域でもネットワーク環境が構築され、行政サービスを提供できたこと、さらには各種イベント等に積極的に参加して車両PRを行ったことなど、ターゲットを明確にして魅力発信に努めたことも大きな要因と言える。
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
高齢者のデジタルデバイドをどう解消していくかが大きな課題となっていた。
楽しみながらIT機器に触れ、ITへの興味関心を持っていただき、住民の利便性向上を始め、生きがいづくりや、地域交流を深めていただくことを目的としながらも、伴走で事業をサポートするためのマンパワーが不足しているため、定期的な事業実施・運営をしていくことが苦労した点である。
また、町が行っている各種取り組みの中で、コネクテッドカーの運用にあたっては専属の職員が在籍しているわけではなく、各所属での運用に委ねられていることから、利用実績としてはまだ少ない状況となっている。町職員による運用に限定せず、今後は住民が主体となり様々な事業を企画実施する組織(智頭町百人委員会)各部会等と連携し、住民視点での様々な意見や活用アイデアを取り入れ、既存事業のサービス拡大を含めた更なる住民の利便性向上に努めていきたいと考えている。
今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス
事業の簡略化・効率化はもちろんのことであるが、DX化を進めるうえで、今後まち(会社)をどうしていきたいのか、その実現に資する利便性と持続可能性の高い事業となるのかなどをしっかり検討し、できることから取り組んでいくというスタンスでよいと思う。(Win×Winの関係性の見える化)
スモールスタートから徐々に拡大し、問題・課題点が上がった時点でマイナーチェンジを繰り返し、自分たちなりのDX化を推進することが自分たち(住民)にとっても利便性の高いものにつながると考える。
- 連携団体
- 株式会社コロンブス、NTTドコモ鳥取支店、株式会社マジックプラス、株式会社クレコ・ラボ
- 問い合わせ
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- 部署
- 智頭町 企画課
- 電話
- 0858-75-4112
- メールアドレス
- kikaku@town.chizu.tottori.jp