Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
オンデマンド交通サービス支援システム
奈良県吉野町交通・物流
実施年度
Digi田甲子園 2022夏
取り組み事例キーワード
配車予約、公共交通ネットワーク整備、新型コロナウイルス感染症対策
実施に至る経緯・動機
- 路線バスが撤退した事を機に町が路線定期運行型によるコミュニティバスを運行させてきた。しかしながら、高齢化率が50%を超える地域であり、従来の公共交通システムの見直しが必要であった。
- そのような状況の中、利用者の大半を占める高齢者等にとって利便性の高いオンデマンド交通システムを構築した。また、予約制・登録制により不特定多数の利用を避ける事が出来、公共交通では困難であった感染症対策を行う事が可能となる。
解決する課題の具体的内容
民間路線バスが撤退し、これまでは路線定期運行型のコミュニティバスを運行していたが、バス停までの距離があり、コース・時間が限定されるコミュニティバスは交通弱者にあたる高齢者等にとっては不便であった。また路線バス撤退による観光客の交通手段確保が急務である。
デジタルを活用した取組による成果
2022年 | 2023年 | 2024年 | |
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延べ利用者数 | 18,000人 | 19,200人 | 20,400人 |
運転免許自主返納等に対するコミュニティバス利用者促進事業申請者 | 10人 | 15人 | 20人 |
高齢者の事故発生件数 | 0件 | 0件 | 0件 |
町外利用登録者 | 100人 | 200人 | 300人 |
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
- 新型コロナウイルス感染症拡大防止の中で、システムでの予約状況を確認し密にならないように設定を細かく管理し感染対策に注力している。
- また、吉野町独自の取り組みとして、利用者の大半を占める高齢者等の見守りも含め、福祉的な側面からも町民の暮らしを支えることができるように、社会福祉協議会に予約センターを設置している。 外出する事で介護予防等にも効果があるとされている事から安心安全に外出してもらい町内経済効果にも期待できる。
成果をあげるためのポイント
デマンド配車システムを導入することで、これまでの路線定期運行のみの形態から公共交通の仕組みを大きく変えることとなったため、住民への周知に力を入れた。特に高齢者にとっては、広報の誌面での文章等だけでは伝わりにくいため、ホームページ、SNS以外に、デマンドバスの予約方法や乗車方法などについてわかりやすく紹介する動画を作成し、町内のケーブルテレビで一定期間放送した。町民からは動画で説明してもらえたのでわかりやすかったというお声もいただいた。
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
本町のように高齢化率の高い中山間地域においては、利用対象者はほぼ高齢者であるため、「デマンドバス」や「ネット予約」など、横文字の混ざった言葉は「難しい」「よくわからない」こととして捉えられ、「今までどおりで良い」と反発されることもあった。「実際にやってみるとそれほど難しくない」ということをわかってもらうために、地域に出向いて概要や操作などを説明する場を設けたり、スマホ教室を開催して操作が身近なものとなるよう啓発に力を入れた。
今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス
本町でのデジタル化に対する取り組みも始まったばかりであるが、令和4年9月には吉野町においてデジタル化の推進を行い、新たな変革の波を起こすことにより、吉野町の個性を活かしながら、吉野町を活性化し、持続可能な地域社会を築くため、「吉野町デジタル変革条例」を制定し、令和5年3月には条例も基づき「吉野町におけるデジタル変革に関する全体方針」を策定した。このように具体的な方針を示す事も重要であると考える。
- 連携団体
- 順風路株式会社、社会福祉法人吉野町社会福祉協議会、バス事業者、タクシー事業者
- 問い合わせ
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- 部署
- 吉野町 協働のまち推進課
- 電話
- 0746-32-3081
- メールアドレス
- kyoudou_s@town.yoshino.lg.jp