Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
実施に至る経緯・動機
新型コロナウイルス感染症の影響により地方が再評価されるなど、都市部から地方への流れが浸透し、都市生活者から市役所へ移住の問い合わせが増えている。しかし、人里離れた場所で農業しながら古民家カフェを300万円程度で改修し開業したい、など田舎暮らしやローカルビジネスに対する認識のずれを感じていた。都会生活を知る「先輩移住者」でもある市内事業者等に直接インタビュー等をできるイベント実施をすることで、そのギャップを埋め、宇陀市での生活に関心を持ってもらい、つながりを持って帰ってもらうようなイベントを企画。
解決する課題の具体的内容
「ポツンと一軒家で交通の便が良く、生活インフラも整った古民家希望、購入300万円もしくは賃貸月3万円。カフェ・農業をしながら生計を立てたい」というような問い合わせをよく受ける。理想のみをもって田舎暮らしをスタートすることがないよう、メタバース空間を活用して、田舎暮らしや起業について具体的に知ってもらうことで認識のずれを解消したい。
デジタルを活用した取組による成果
- 令和4年3月24日に昼の部・夜の部でイベントを実施。それぞれ20余名の参加があった。イベント実施後、参加者同士がSNSで事業者等とつながる等の成果を得た。
- 参加者からは「先進的な取り組みに前向きであることから、若い世代を受け入れる準備がある自治体であるように感じた」「身なりを整えることなく参加できた」「定期開催をしてほしい」などの声があった。
- 令和5年2月23日木曜祝日に、全国初!?ChatGPTとメタバースを用いた移住イベント「第2回 先輩移住者QQQ(きゅきゅきゅ)のQ(きゅー)」を開催した。
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
- ウェブ会議システムを使ったイベントでも自宅にいながら、対面のようなコミュニケーションが取れるが、メタバースを用いるとより「相互性」が増す。つまり、1対多人数ではなく、多人数 対 多人数で、聞きたい人に聞きたい内容を直接聞くことができる。
- 市内で事業展開している人等にとっても、通常のオンラインイベントとは違い、一人一人を認識したうえでコミュニケーションが取ることができ、事業の幅が広がる。
- イベントでは、上記メタバースの特長を生かすため、自己紹介や自由行動の時間を十分設けるよう工夫。自己紹介の時間を設けたことで事前情報を得ることができるため、ジビエ、林業、カフェなど、参加者が聞きたい内容を誰にするべきかわかりやすくした。
- 最後の15分は事業者自身も自由行動をしてもらうことで、事業者同士の交流も図った。
成果をあげるためのポイント
- 常日頃からの地味なDX。差し込み印刷、マクロ、ショートカットなどを使い、担当業務の省力化を実現していたからこそ、新規事業に挑むことができた。
- 情報の滝に打たれること。新聞、書籍、ネット記事、オンラインイベントなど、たくさんの情報を収集していた。世間の注目がどこにあるかを意識することで、事業のニュース性を高めて、より広くPRすることに成功した。
- 新規事業を提案しやすい職場環境と任せてくれる上席の度量。新技術活用を気兼ねなく提案し、「やってみなはれ」と後押ししてくれたからこそ実現した。
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
年度末の忙しさを知らず、短期間でイベントを準備したことである。職場の人に助けてもらいながら、その年度で初めて残業をして乗り越えた。普段から残業をして忙殺されていたら、追加の仕事をしたいと思わなかった。新規事業の準備期間中は、「Done is better than perfect」の精神で、すぐに完成品を作り、職場や委託先にフィードバックを受けていた。アジャイル開発の秘訣を知った。
今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス
外部人材登用や新技術の導入を以ってDXに取り組むことが多いと思うが、安易な期待は遅かれ早かれ失望に帰着する。既存の人材や技術であっても、個性・特徴を活かせば今以上の生産性を発揮してくれる。Digi田甲子園やニュース性の高い取り組みはキラキラしているが、手段が目的化しないように取り組むべきである。生産性が上がり、職場環境が良くなればキラキラ事業にも取り組む余地が生まれる。「面白そうだからやってみない?」と気軽に提案できる環境づくりこそ大切だと考える。
- 連携団体
- 伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)、市内事業者
- 問い合わせ
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- 部署
- 宇陀市政策推進部政策推進課
- 電話
- 0745-82-3910
- メールアドレス
- s-suishin@city.uda.lg.jp