Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
デジタルを活用した取組の全体概要
見守りカメラ
- 小学校の通学路や学校周辺を中心に1,475台を設置(2017・2018年度)
(28小学校区に各50台程度設置) - プライバシー保護の観点から犯罪捜査に限り画像を活用
見守りサービス
- BLEを用いた見守りタグにより、位置情報が記録されるサービス
- 見守りカメラに同梱された検知器が、見守りタグを検知
- 公共施設、公用車、郵便車両にも検知器を設置
- スマートフォンアプリ「かこがわアプリ」に検知機能を導入
加古川市版Decidimを活用した加古川市スマートシティ構想の策定
- 加古川市スマートシティ構想策定(2021年3月策定)時に、市民の自由なアイデアを収集するため、導入
- ① 構想の各目標に対する意見・アイデアを収集
- ② 収集したアイデア・意見を参考に作成した構想案について意見を収集
- ③ パブリックコメント
実施に至る経緯・動機
見守りカメラ・見守りサービス
人口約26万人の当市は「子育て世代に選ばれるまち」を目指してきました。しかし、2011年頃から人口減少局面に入り、若い世代の転出超過が続いた。その要因として、加古川市が兵庫県ワースト4位の高い刑法犯認知件数を記録したことが挙げられる。このような状況から、安全・安心の確保がテーマになった。これまでから市民ニーズのあった、子どもの登下校時の安全確保等や月に十数件発生する認知症の方の行方不明事案への取組をあわせて検討した。
加古川市版Decidmを活用した加古川市スマートシティ構想の策定
「加古川市スマートシティ構想」の策定にあたり、市民の意見を可能な限り反映するため、(一社)コード・フォー・ジャパンと協働で、様々なステークホルダーに参画いただき構想案について議論を深める場として、加古川市版Decidimを全国で初めてオンライン上に立ち上げた。
解決する課題の具体的内容
見守りカメラ・見守りサービス
人口1,000人あたり刑法犯認知件数は、見守りカメラ設置前の平成29年度と比較して約50%減少。
見守りサービス
- 子どもの登下校時の安全を確保し、保護者の安心感の向上
- 小学1年生の保護者へのアンケート(n=275)
- 約6割の方が「大変良かった」「良かった」と回答
- 「いざというときの安心感」、「サイズが小さく携帯しやすい」などが良い点と評価されている。
- 認知症の方の行方不明事案発生時に早期発見できる仕組みを構築したことにより、家族の安心感の向上
- 認知症高齢者等のご家族へのアンケート(n=143)
- 約65%の方が「大変良かった」「良かった」と回答
加古川市版Decidim
【市民の意見】
誰かにレスポンスしてもらえるのは発信しがいがあり、コメントや「いいね」がつくことで、「聞いてもらえている」という感覚ができたとの声をいただいています。
【職員の意見】
まちを良くしたいと考える市民の生の声を聞くことができ、モチベーション向上につながったとの声もあり、行政と市民が課題を共有し、協働しながらまちづくりをすすめるきっかけになるものと考えます。
デジタルを活用した取組による成果
見守りカメラの設置により、加古川市の人口1,000人あたり刑法犯認知件数は、見守りカメラ設置前の平成29年と比較して約50%減少している。
刑法犯認知件数の状況
区分 | 加古川市 | 兵庫県 |
---|---|---|
平成29年12月末 | 2,926件 | 50,821件 |
平成30年12月末 | 2,407件(前年比△17.8%) | 44,233件(前年比△13.0%) |
令和元年12月末 | 2,025件(前年比△15.9%) | 40,397件(前年比△ 8.7%) |
令和2年12月末 | 1,684件(前年比△16.8%) | 34,246件(前年比△15.2%) |
令和3年12月末 | 1,433件(前年比△14.9%) | 30,003件(前年比△12.4%) |
令和4年12月末 | 1,699件(前年比18.6%) | 33,018件(前年比10.0%) |
Decidim(2023.3.31現在)
ユーザー数(アカウント) | 1,732 |
---|---|
トピック数 | 28件 |
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
見守りカメラ・見守りサービス
導入にあたっては、市民にアンケート調査を行い、オープンミーティングを開催するなど、見守りカメラの設置の必要性・設置場所、個人情報やプライバシーの管理などを丁寧に市民に説明し、カメラを設置してきました。また、カメラの画像利用については、「加古川市見守りカメラの設置及び管理に関する条例」を新規制定し、利用目的を犯罪捜査などに限定し、肖像権やプライバシーに配慮するため、居住スペース等を「プライバシーマスク」処理して黒くすることとしている。
加古川市版Decidmを活用した加古川市スマートシティ構想の策定
- Decidimの活用にあたっては、デジタル・デバイドの問題を解消するため、オフラインでのワークショップを開催し、オンラインとしてのDecidimと同時並行で運用し、多くの意見が集まるよう工夫している。
- G20 Global Smart Cities Allianceが提唱されている「スマートシティ推進の5原則」による推進
- ① 透明性とプライバシー保護
- ② 安全・安心・回復性
- ③ 相互運用性とオープン性
- ④ 公平性、社会的包摂、社会的影響
- ⑤ 運用面と財政面の持続可能性
成果をあげるためのポイント
見守りカメラ・見守りサービスの導入にあたっては、市民にアンケート調査を行い、オープンミーティングを開催するなど、見守りカメラの設置の必要性・設置場所、個人情報やプライバシーの管理などを丁寧に市民に説明したうえで進めてきたことがポイントであると考えている。
また、カメラの画像利用については、「加古川市見守りカメラの設置及び管理に関する条例」を新規制定し、利用目的を犯罪捜査などに限定し、肖像権やプライバシーに配慮するため、居住スペース等を「プライバシーマスク」処理して黒くするなど、市民に受け入れてもらえる制度を作っていることもポイントであると考えている。
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
市民ニーズを正確に把握することに苦労している。デジタル化を実施することが目的ではなく、市民の安全・安心等に対するニーズを把握し、それらのニーズを満たすための技術を導入することが重要であると考えている。
本市では、加古川市版Decidimを活用し、オンラインで市民から意見やアイデアを募集している。また、デジタル・デバイドの問題を解消するため、オフラインでのワークショップを開催し、オンラインとしてのDecidimと同時並行で運用し、多くの意見が集まるよう工夫している。
今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス
社会全体・地域全体にテクノロジーを導入することを目的にスマートシティを推進するのではなく、市民目線でどういったメリットを生み出し、地域課題を解決できるサービスをどのように実装できるかを念頭に置いて事業を進める必要がある。
市民目線に立った施策を進めるには、市民ニーズや地域課題を把握し、それらのニーズや課題を解決するための手段としてデジタル技術を活用するという意識が重要であると考えている。
そのためには、市民との対話を生み出すための仕組み作りが必要だと考えている。
- 連携団体
- 加古川ICTまちづくり協議会((株)日建設計総合研究所、(株)日建設計、(株)日本電気株式会社、綜合警備保障(株)、(株)フューチャーリンクネットワーク、(株)システムリサーチ)、(一社)コード・フォー・ジャパン
- 問い合わせ
-
- 部署
- 加古川市企画部政策企画課
- 電話
- 079-427-9373
- メールアドレス
- smartcity@city.kakogawa.lg.jp