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Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。

日野町版デジタル「EBPM」の実現

滋賀県日野町誰一人

実施年度

Digi田甲子園 2022夏

取り組み事例キーワード

予約システム、デジタルデバイド対策、職員負担軽減

関連タグ

デジタルを活用した取組の全体概要

  • 「KKO(勘‧経験‧思い込み)」ではなく、デジタル技術を活⽤した「エビデンス」に基づいた政策形成‧EBPMプロセスを⽬指し、開発。
  • デジタル技術(ワクチン予約システム)を⽤いることで、効果的にフィードバック(予約動向のリアルタイムデータ)を得て、それを元に機動的に施策の変更(システムの修正)に活かす取組み。これにより、住⺠ニーズに即したスムーズな予約が実現した。
  • 日野町と株式会社ソーシャル・エックス(以下、協力企業)共同で、以下のシステムを開発
    • ワクチン接種予約Webシステム(開発期間:約1.5ヶ月)
    • ワクチン接種予約IVRシステム(開発期間:約1.5ヶ月)
    • 確定申告相談予約Webシステム(開発期間:約1ヶ月)

EBPMとは、エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングの略称。
政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで客観的根拠(エビデンス)に基づくものとし、政策効果の測定に重要な統計等のデータを活用した上で、国民への行政への信頼確保を行うこと。

実施に至る経緯・動機

  • エビデンスに基づいた政策形成や住⺠ニーズに即した対応が難しい現状、ワクチン接種予約が全国的にトラブル続出、スムーズな予約を実現したいという中、協力企業からの提案があり、共同での開発を開始。
  • 協力企業からの提案内容は、システム開発やランニングコストの費用を、日野町が負担せずに、町民・役場の双方に寄り添った、ワクチン接種予約システムを一緒に開発したいとの内容であり、開発することに至った。(協力企業は、新規事業への開発投資の一環として、実施)

解決する課題の具体的内容

解決する課題の具体的内容
  • 日野町において、新型コロナワクチン接種予約は、役場OB等による電話受付により、年齢ごとに予約開始を区切る形でスタート。概ね順調に進んだが、高齢者以外の予約については、電話予約とともにWeb予約を併用させ、スムーズに行うことが求められたが、他自治体では既存予約システムの不具合や使い勝手の悪さが指摘されていた。
  • 行政職員は住民に寄り添い、デジタル技術で解決できそうな課題は把握している一方、職員が専門的な知識を持たず、日々課題の内容が大きく変容するなかで、従来型の行政側がまず詳細な仕様を決定し、事業者がこれを設計・構築していくという従来型の開発手法では、課題に的確に対応したシステム構築は困難となっていた。
プロジェクト成功のポイント
  • 技術者と行政職員が、課題認識や最終目標を共有しつつも詳細な仕様を定めることなく、毎週1回定例的にWeb会議を実施し、「作りながら考え」「考えながら作る」という「アジャイル開発」により、変化するワクチン接種の運用要件に迅速に対応。デジタルに不慣れな町民に寄り添ったシステムを、短期間で現場の状況にあわせた予約システムを開発することができた。
  • 開発できたワクチン予約システムを町職員の提案により、税務相談予約システムとして転用することとし、これも「アジャイル開発」により実現することが出来た。

デジタルを活用した取組による成果

  • エビデンスに基づく適切な現状把握と対処、協⼒企業との連携による「アジャイル開発」により、スムーズな予約環境が実現できた。
  • デジタル一辺倒ではなく、個々に寄り添った受け⽫も準備できた。
ワクチン接種(第1回目~第3回目)
Webシステムでの予約件数 20,875
IVRシステムでの予約件数 1,230件
確定申告相談予約
Webシステムでの予約数 83件(従来型の受付と併用)

本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点

デジタル技術活⽤による「エビデンスの把握」

HP上で、ワクチンメーターを設置することにより、予約動向のリアルタイムデータの確認が可能になった。

協⼒企業との臨機応変な「アジャイル開発」

週次にてWebMTGを実施し、「作りながら考え」「考えながら作る」というアジャイル開発により、変化するワクチン接種の運用要件に迅速に対応。短期間で開発することができた。

デジタルに慣れない層にも配慮した「デジタルデバイド」対策

「町民にとって、利用しやすいシステムの実現」という目的を共有し、町民から吸い上げた声をもとに、役場側の意見と、協力会社側でのシステム観点の意見の議論・調整を行い、デジタルに不慣れな町民を含め、全ての住民へ対応した柔軟なシステムが完成できた。特に、ワクチン接種では、IVRシステムの活用により、Webでの申請に不慣れな町民へ電話での自動音声応答対応が実現できた。

成果をあげるためのポイント

デジタル技術導入におけるEBPMの活用により、早期の運用開始と細やかな改善、安価な導入が実現できた。組織内のリーダーシップやさまざまな分野で専門性の高い外部協力体制が不可欠と感じた。これまで以上に効果検証への注力が必要であり、取組の成果は長期的な評価になるものと考える。多岐にわたる行政サービス分野での多様な活用について、検討を進める必要性がある。

デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法

施策をコンクールに応募することは経験がなく、取組を評価する新しい手法として組織にとっても良い経験となった。従来の考え方を改革し、新しいことに取り組む機運を組織全体で高めることが重要かつ困難なことと感じた。共創にあたっては専門性の高い外部協力者との対等な関係性を確保するため、職員の知識や対応力が求められるとともに、展望をしっかりと持つことが求められる。

今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス

さまざまな分野で自治体との共創を推進いただけたらと思う。なお、総合的な提案は自治体側の受け入れに調整が必要な場合があるため、現実的で限定的な課題に対する方策を提案いただき、後に分野を横断的に展開できるものを提案いただけると良いと考える。

連携団体
株式会社ソーシャル・エックス
問い合わせ
部署
日野町 企画振興課
電話
0748-52-6557
メールアドレス
jyouhou@town.shiga-hino.lg.jp
関連サイト
https://town.shiga-hino.lg.jp