デジ田 メニューブック DIGIDEN MENUBOOK デジ田 メニューブック DIGIDEN MENUBOOK

Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。

予約・乗車システムを活用したデマンドバスによる地域生活圏のモビリティの充実

静岡県小山町交通・物流

実施年度

Digi田甲子園 2022夏

取り組み事例キーワード

配車予約、公共交通ネットワーク整備、住民利便性向上

関連タグ

デジタルを活用した取組の全体概要

小山町が、地域内の住民等に対して、オンデマンドの予約・乗車システムを活用した専用アプリ等にて地域公共交通の利便性向上及び地域活性化を目指す取組。

実施に至る経緯・動機

平成26年10月から定時定路線型のコミュニティバスを導入してきたが、往々にして利用者のいない空バスの運行が生じるようになった。そこで、住民の多様な公共交通ニーズを再整理し、令和2年4月から従来の定時運行路線を一部残しながら、隣接市のスーパーを含む域内約200か所の新設バス停区間を利用者の要望に応じて自在に運行するデマンドバスを導入した。また、運行エリアを町内全域とすることに加え、隣接市の病院や大型商業施設等まで拡充し、令和4年現在では約300か所となっている。なお、車両は14人乗り(運転士含む)のワゴン車3台が運行中である。

解決する課題の具体的内容

  • 朝・夕は学生の利用が多く、時間や目的地が決まっているのに対し、日中は高齢者の利用が多く、時間や目的地が様々であったことから、朝・夕は学校の通学・部活動終了時間に合わせた定時運行バスとし、日中はデマンドバスとした。
  • 運行の無駄を省くため、利用者が選択する乗降ポイント及び乗車人数の情報から、システム独自のアルゴリズムで最適な運行ルートをドライバーに即時通知するツールを導入した。
  • 利便性向上のため、24時間どこからでもオンライン予約が可能となるアプリ運用としつつ、デジタルデバイド対策として、日中の電話予約を受け付けるコールセンターも設置した。

デジタルを活用した取組による成果

取組のアウトプット
内容 令和2年度 令和3年度 令和4年度
デマンドバスの利用者 2,867人 10,577人 14,241人
デマンドバスの運行回数 2,144回 7,631回 9,367回
デマンドバスのアプリ予約割合 32% 34% 45%
取組によるコミュニティバス利用者 16,516人 22,969人 26,372人(定時+デマンド)
取組のアウトカム
内容 令和2年度 令和3年度 令和4年度
満足度 19% 34.4% 40%

快適な公共交通の整備に取り組んでいると思う町民の割合

本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点

  • 本取組は、システム開発、運行(運転)管理及びコールセンター事業者との相互連携を通じ、デマンドバス運用の仕組みを1から構築したものである
  • システム管理画面では、運行状況が随時確認できるため、「乗り合いを確保しつつ、一方で待たせ過ぎない」運行改善を適宜、分刻みで行い、利用者に表示する出発時間や到着時間設定を最適化している。
  • コールセンターにおいては、オペレーターがシステム管理画面から電話予約者情報を入力し、ドライバーへの運行ルート通知の即時反映を行っている。
  • そのため、乗車希望時間30分前までの迅速な予約受付が可能となっている。なお、観光客など町外の方でも利用できる仕様としている。
  • 広く住民の生活圏をカバーするため、町内の学校やシニアクラブ等を通じ延べ400人以上の方からの意見を集約し、事業に反映させた
  • また、乗客の乗降データの分析結果や、常時Webフォーム等から受け付けている乗客アンケート結果も運用改善の参考としている。
  • バス停設置の考え方について、公共施設や病院、スーパー、駅、商業施設、福祉施設といった利用者が多いと予想される拠点に設置した上で、域内に100メートルメッシュをかけ、住宅地から概ね100~200メートルに1か所バス停があるよう設置。なお、区からの要望等に応じ、増・移設もしている。
  • デマンドバスが代替交通として機能することで、特定地域の住民要望により運行していた路線バスを廃止し、運行経費の低減につながった。
  • 新型コロナウィルスワクチンの集団接種会場や選挙会場への移動手段として運賃無料で運行をする、また免許返納時に回数券を配布するといった施策連動も行っており、地域住民の暮らし全体の利便性の向上に寄与している。

成果をあげるためのポイント

利用者ニーズをはじめ、広く地域住民等からの意見をしっかりと集約できた点。また、より充実した運行になるようバス停を増やすことや設置場所の最適化、アプリ改良に継続的に取り組んでいる点。ほか特長として、多様なニーズに応えるため、行政区分を跨いだ隣接市への運行(病院、スーパー等)はご好評頂いている。

デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法

成果等を上げるにあたり、事業者を含む関係者との調整に多くの労力が必要となる点。丁寧な議論をすることで、多くの方にデマンドバス導入による地域公共交通の利便性向上・活性化及び予約・運行システムの有効性にご理解を頂けたように感じる。

今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス

あまり構え過ぎず、かと言って手段と目的がすり替わらないよう事業の意義を整理しておくことが必要である。事業者等関係者と協働し、新たにサービスを構築できることを楽しむことも大事だと考える。

連携団体
MONET Technologies(株)、富士急モビリティ(株)、富士急グループ
問い合わせ
部署
小山町企画政策課
電話
0550-76-6133
メールアドレス
kikaku@fuji-oyama.jp
関連サイト
https://oyama-town.note.jp/n/n5c937b3ac3bf
https://www.fuji-oyama.jp/xWxwJUZ6_202002282127285.html?vt=sp