Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
デジタルコンテンツを活用した関ケ原古戦場の魅力創出
岐阜県関ケ原町観光・文化・娯楽
実施に至る経緯・動機
- 関ケ原町では、岐阜県と連携し、2015年に関ケ原古戦場グランドデザイン(以下「GD」という。)を策定し、2020年を目標に、岐阜関ケ原古戦場記念館(県施設)や関ケ原町歴史民俗学習館などのハード整備をはじめ、史跡の修景や案内サインの整備などの受入環境を進めるとともに、武将イベントの定番化や土産物の開発、史跡ガイドの養成などのソフト事業にも取り組んできた。また、海外古戦場とも連携し、2016年に開催した「世界古戦場サミット」を皮切りに、アメリカ・ゲティスバーグ及びベルギー・ワーテルローともに連携協定を締結し、以来交流を深めている。
- こうした様々な誘客事業に関連して、町ではデジタル技術を活用した新たな観光コンテンツを造成し、受入環境の整備や観光を契機とした関係人口の増加に取り組んだ。
解決する課題の具体的内容
- 関ケ原古戦場GD策定時の観光客への調査等によると、「関ケ原の戦い」については知識があるものの、「そのブランド力が活かされていない」とか「史跡の歴史的価値が十分に活かされていない」などという課題が浮彫りになった。また、関ケ原町の人口も、観光入込客数とともに、年々減少傾向が続いていた。
- このため、関ケ原古戦場GDに基づき、県と町が一体となってハード・ソフト両面にわたる観光コンテンツを造成してきたが、町においてデジタル技術を活用した取組として、2019年から、観光協会が「関ケ原ファンクラブ」を立ち上げ、ファンクラブのプラットフォームを用いたデジタルイベントを開催したり、関ケ原の観光情報などを提供している。また、約6年間をかけて、約165箇所に及ぶ史跡解説○サインの整備を実施したが、各史跡においては、海外訪日客向けに、QRコードによる多言語(5か国語)音声ガイドに対応するとともに、町内主要地域において、無料Wi-Fiを整備した。
デジタルを活用した取組による成果
取組のアウトプット
(関連事業)
- 施設整備:岐阜関ケ原古戦場記念館(県有施設)、関ケ原町歴史民俗学習館(2020年10月)関ケ原駅前観光交流館(2015年10月)
- 史跡整備:国指定史跡を含む11箇所に及ぶ史跡について、景観復元や眺望確保などの整備を実施
- 誘導・解説サインの整備:史跡等に設置する解説サインや誘導サインポール等を165箇所設置 など (デジタルコンテンツ)
- 関ケ原ファンクラブの開設
関ケ原のファンやサポーターの募集をWeb上で展開。町内の店舗・施設などを巡りながらデジタルポイント(石高・軍資金)を獲得し、景品と交換できたり、称号を獲得できる仕組みを構築 - QRコードによる多言語音声ガイド化とWi-Fi環境の整備
- 各史跡に設置した案内版にQRコードの読み込みにより5か国語で解説が流れる音声ガイド機能を整備(33箇所)2020年度
- また、駅前観光交流館、石田三成陣跡、徳川家康陣跡に無料Wi-Fiを整備。
取組のアウトカム
2021年 | 2020年 | 2019年 | |
---|---|---|---|
ファンクラブ会員数 | 3,204人 | 1,511人 | 226人 |
総合的なアウトカム
2020年 | 2019年 | 2018年 | |
---|---|---|---|
西濃圏域観光消費額(単位:百万円) | 18,615 | 23,972 | 24,117 |
関ケ原町観光入込客数(単位:万人) | 53.3 | 87.9 | 82.1 |
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
- 本町では、関ケ原古戦場の魅力づくりとして、岐阜県と連携して取組を進めてきたが、地元としてデジタル技術を活用した観光コンテンツも多角的に展開している。
- また、関ケ原古戦場のブランド力を活かし、関ケ原に関心のあるファン層への取込みをデジタル技術を活用して、SNSと連動して全国的に展開している。さらには、地元の商品などを販売するネットショップの開設のほか、移住・定住やふるさと納税に関するPR動画を制作し配信するなど、観光を契機とした関係人口創出のための取組を進めている。
- 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、観光入込客数などは減少しているものの、関ケ原ファンクラブの会員は順調に推移しており、スマートフォンを活用したポイントラリーを開催するなど、デジタルの利点を活かした事業に取り組んだ。
成果をあげるためのポイント
関ケ原町だけでなく、岐阜県と共同で古戦場全体の観光振興に係る計画「関ケ原古戦場グランドデザイン」を策定し、町だけでなく、岐阜県や関ケ原観光協会が連携して事業を進めたことで、様々なイベント等で制作したデジタルコンテンツの周知や普及を行うことが出来た。
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、観光入り込み客数が減少している中での事業実施であったため、取組の成果が数値としてはそれほど上がってきていない。新型コロナウイルス感染症の収束がようやく見えてきているので、観光需要の回復に期待したいと考えている。
今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス
観光面では、観光アプリを作って終わりという事例が非常に多く見られる。観光面におけるDX化は目的ではなく手段であるため、目指すべきゴールを描いてから取組を進めることが必要であると考えている。
- 連携団体
- 岐阜県・(一社)関ケ原観光協会
- 問い合わせ
-
- 部署
- 地域振興課
- 電話
- 0584-43-1112