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Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。

1日あればできる!メタバースとアバターを活用した、ゼロから始める「みんなにやさしい」行政DX

東京都町田市誰一人

実施年度

Digi田甲子園 2022夏

取り組み事例キーワード

メタバース、職員採用

関連タグ

デジタルを活用した取組の全体概要

  • メタバースを活用した職員採用PR動画
  • メタバースを活用した市民向けポータルサイト
  • メタバースを活用した市民との双方向コミュニケーション

実施に至る経緯・動機

  • 取組の背景について
    • 町田市の政策提言組織である「まちだ未来づくり研究所」において、2020年度から東京都市大学と「町田市未来都市研究2050に関する共同研究」を行い、研究成果冊子「Future Machida2050」において、今後のデジタル化の進展により、スマートシティ化が進むとともに、従来の行政区域やサービス提供主体を超えた、公共サービス自由化の未来シナリオの1つとして「登録者1000万世界都市Machida」が提示された。
      (参考:Future Machida 2050)
      https://www.city.machida.tokyo.jp/shisei/miraidukurikenkyujo/katudounaiyou/2050kyoudoukenkyu/2021nendokenkyuseikahokoku.html
    • 本シナリオでは、町田市は「行政法人」として、デジタル社会における生活基盤(≒メタバース的存在)上で、付加価値の高い行政サービスを、国内に留まらず、世界各地へ提供することで、登録者1000万人からサービス収入を得ている状態が予想されている。本提言を受け、情報政策部門において、メタバース活用に関する調査研究・概念実証を2022年度から開始した。調査研究、概念実証のコンセプトとしては、「いますぐ・安く・簡単に使える」既存のサービスを組み合わせ、アジャイルに実装する方針とした。
  • メタバースを活用した職員採用PR動画
    • 町田市では、職員採用試験において、オンラインで受験できるSPI試験とWeb面接を導入している。オンライン実施のため、来庁の手間がなく利便性が高いため、幅広く受験者を募ることができる。
    • 採用試験の受験者層は、20代前半がボリューム層であるため、この層にオンラインで職員採用試験情報を認知してもらえる効果的な手法が必要であったため、20代前半に認知度が高いバーチャルYouTuber(以下、vTuber)動画を、メタバースを活用して制作することとした。
  • メタバースを活用した市民向けポータルサイト
    市民向けポータルサイトの整備を検討していたところ、機能要件に合致し、かつ「いますぐ・安く・簡単に使える」メタバースプラットフォームが存在したため、着手後1時間以内にコンセプトモデルの実装を完了した。

解決する課題の具体的内容

  • メタバースを活用した職員採用PR動画
    20代前半に認知度が高いvTuber動画を制作することで、受験者層に、新規性と先進性をもってアピールすることができた。
  • メタバースを活用した市民向けポータルサイト
    スマートフォンのWebブラウザから利用できるサービスを採用し、専用機器や独自アプリを導入することなく、だれでも、すぐにアクセスできるメタバースポータルサイトを提供することで、スマートシティの実現に先鞭をつけた。
  • メタバースを活用した市民との双方向コミュニケーション
    スマートフォンのWebブラウザから利用できる無料のメタバースサービスを利用し、仮想空間上で市民との双方向コミュニケーションを行うことで、従来のWeb会議では伝え切れなかった、非言語コミュニケーションを伴う新しいデジタルコミュニケーション手法を概念実証する。具体的な市民参加型の事業として、職員採用セミナー等を実施予定。

デジタルを活用した取組による成果

  • メタバースを活用した職員採用PR動画
    • YouTube動画再生数 ※2023年5月2日 現在
      【第1回】2022年4月22日 公開 4,425回再生
      【第2回】2022年5月13日 公開 1,723回再生
      【第3回】2022年9月1日 公開 1,150回再生
      【第4回】2022年10月13日 公開 340回再生
    • 職員採用試験応募人数:1,119人
    • うち、LINEによる応募人数:596人
    • オンライン筆記試験(SPI)受験人数:838人
    • Web面接受験人数:273人
    • メディア掲載実績
      • 2022年5月5日 読売新聞
      • 2022年5月6日 毎日新聞
      • 2022年5月13日 BS11「報道ライブ インサイドOUT」等
      (メタバースを活用した市民向けポータルサイト)
      無料のメタバースプラットフォームを活用することで、要した費用は0円
  • メタバースを活用した市民向けポータルサイト(メタバース)
    • アクセス件数:753件
  • メタバースを活用した市民との双方向コミュニケーション
    • 市のデジタル化施策に関する有識者会議である、「町田市デジタル化推進委員会」を完全オンラインで開催した。
      委員と事務局はアバターで参加し、事務局の説明はアバターとAI音声にて実施した。
      会議模様は、YouTubeとメタバース(MetaLife)にてライブ配信を実施した。
      https://www.city.machida.tokyo.jp/shisei/gyousei/keiei/jouhouka/mdpm.html
    • 市民の声を行政経営・行政サービスの向上に活用するため「町田市市民参加型事業評価」を実施し、会議模様は、YouTubeとメタバース(Door)にてライブ配信を実施した。
      https://www.city.machida.tokyo.jp/shisei/gyousei/keiei/machidashiwake/2022jigyohyokajissi.html

本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点

  • メタバースを活用した職員採用PR動画
    部署横断的な職員有志により、オリジナルのアバター、メタバース空間上の市役所及び観光地、音楽、効果音、映像を自主制作した。
  • 無料または低価格かつ生産性の高いツールやサービスを最大限利用し、自主制作した。要した費用は、ソフトウェア代金約3万円。
  • YouTubeのSEOを実施し、Google等の検索サイトで「町田市 メタバース」をキーワード検索した際に上位に表示されるようにした。
  • メタバースポータルサイト
    Webブラウザ上からマウス操作で簡単にメタバース空間を簡単に構築できるサービスを採用したため、ポータルサイトの作成に要した時間は30分程度。
YouTube動画資料URL
https://www.youtube.com/watch?v=DZzSQUYB10c
https://www.youtube.com/watch?v=cM5yIzZHvU8
メタバースポータルURL
https://door.ntt/B7Qmp9r/machidoor

成果をあげるためのポイント

  • 特異なスキルを持ったメンバー:動画制作やメタバースなど、趣味の分野で様々なデジタルスキルを持つメンバーがいたことで、多角的なアプローチや専門知識を発揮することができた。
  • チャレンジしやすい組織風土:当市は新しいアイデアや取り組みへの積極的な姿勢が評価される組織であり、チャレンジ精神が成果を生み出す源泉となった。
  • デジタル化が比較的進んでいた:当市はデジタル技術の活用を全庁的に推進する組織横断的プロジェクトチームを組んでいるため、スピード感をもってアジャイルに取り組むことができた。
  • すべて職員が自前で導入:無料または低価格のツールやサービスを職員が最大限活用することで、圧倒的なコストパフォーマンスを実現した。
    また、低コストかつ自前で導入しているがために、既に導入した方式に固執することなく、常に最新のツールやサービスを組み合わせて、トレンドに合わせた実装を迅速に実現できた。

デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法

技術トレンドのキャッチアップ:AI・アバター・メタバースなどの、トレンド技術を活用した新しいツールは日々大量に生まれるため、これらの情報をキャッチアップし、「お買い得」なツールを選定し続けることが大変であった。低コストかつ自前で導入しているがために、既に導入した方式に固執することなく、常に最新のツールやサービスを組み合わせて、トレンドに合わせた実装を迅速に実現できた。一方で、最新の技術動向や新しいツールのキャッチアップ、選定、試験、導入を常にやり続ける必要があるため、これらのプロセスを習慣化するまでは、かなり苦労した。

今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス

DXは、社内だけでなく外部の専門家や企業とのコラボレーションが非常に重要であると考える。一方で、外部の専門家や企業とのコラボレーションは、仕事上の関係だけで成り立つものだけではないと考える。
実際に、今回の取組を行うにあたっては、メタバースやAIを趣味とする職員が企画の中心となった。この職員は、メタバースクリエイターやvTuber事務所経営者、世界中で流行している動画配信サービスの開発者、LinuxOSの開発者、オンライン配信イベント主催者といった「イノベーション・ネイティブ」な人々との個人的な交流があり、トレンド技術の体験やこれらを活用した企画を日ごろから実施していたため、本企画の最速最短での実装が可能であった。
このように、普段から幅広く「イノベーション・ネイティブ」な人々と交流している職員の知見をフル活用することで、今回の取組が実現した。人材を社内で育成するなど、社外に求めるではなく社内で探すことから始めるアプローチも有効であると考える。

問い合わせ
部署
町田市政策経営部デジタル戦略室
電話
042-724-4432
メールアドレス
seikaku070@city.machida.tokyo.jp
関連サイト
https://www.city.machida.tokyo.jp/shisei/shiyakusyo/gyomu/kikaku/digitalstrategy.html