Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
BIツールを活用したワクチン接種状況の可視化による情報発信の強化
埼玉県さいたま市医療・介護
実施に至る経緯・動機
令和3年度当初から新型コロナウィルス感染症対策として始まったワクチン接種の取組を加速化するには、行政による働きかけだけでなく、ワクチン接種の当事者である市民とワクチン接種状況を共有し、社会全体でワクチン接種率を向上させる機運を醸成していく必要があると考えた。
解決する課題の具体的内容
- グラフなどを使用してワクチン接種状況を分かりやすく伝える。
- 実態に即したワクチン接種状況をリアルタイム(毎開庁日)に公表することで市民がワクチン接種の進捗状況を実感できるようにする。
- 市民が当事者意識を持ちやすいよう、年代別・居住区別などの詳細な情報の公開を行う。
デジタルを活用した取組による成果
ワクチンメーターの掲載を開始した令和3年5月から令和4年4月末までのページ(ワクチン接種の案内)のアクセス件数は同期間の市ウェブサイト全体のアクセス件数の約12%を占めている。
全体 | ワクチン接種の案内 | 割合 |
---|---|---|
51,883,761 | 6,325,007 | 2.19% |
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
- ワクチン接種率をリアルタイムに公表するため、BIツールを活用してVRS(ワクチン接種記録システム)のデータを効率的に集計するようにした。
- VRSの情報と住民基本台帳データを組み合わせて年代別・居住区別に細分化した情報をグラフ等で可視化した。
- 4回目接種の開始や接種対象年齢の引き下げなど、ワクチン接種の制度変更に合わせてタイムリーにグラフなどのビジュアルを変更している。
- セルフサービスBIツールの利点を生かし、予約の空きがある接種会場を検索できる「さいたま市コロナワクチンマップ」を開始するなど、そのときどきの課題に合わせ、市民サービスを展開している。
成果をあげるためのポイント
本市では業務で蓄積した情報や各種統計などの様々なデータを、幅広い分野において、施策の評価や検証、企画立案、業務改善などに活用する仕組みを「さいたまシティスタット」と位置付け、EBPMを推進しているが、構想当初は、庁内のあらゆるデータを一つに集めたビッグデータを構築した上で、可視化・分析などの活用を行うというものであった。
しかし、当初構想したようなビッグデータ構築が難航し、データ活用が進展しなかったことから、庁内における課題やニーズを掘り起こし、そこに対応したデータに絞って可視化、分析を行い、分析結果を共有するという手法へ方針転換したことで、令和2年度よりセルフBIツールを導入し、全庁の職員が独自にデータ分析できる環境を整備し、夏のDigi田甲子園で取り上げた事例のような成果を上げることができている。
本市においては、構想当初の手法にとらわれず、成果・効果につながる手法への変更を決断できたことがポイントであったと考える。
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
本市にとって、データ活用の推進に関して苦労した点や特に困難だった点は、当初構想したビッグデータ構築が難航し、データ活用が進展していないという問題に向き合い、どのような手法が成果等につながる手法となりうるかを見出すことであったと考える。
これを乗り越えるにあたっては、視察等で複数の先進自治体の取組みを調べ、本市に当てはめて検討した上で、どのような形で成果を出すかという道筋を含めた改善策の提案を行った。
今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス
将来的な構想としてあるべき姿を描くことは非常に重要であると考えるが、当初の構想、特に手法にとらわれすぎることで取り組みが進展しない場合もあるように考える。将来的なあるべき姿を踏まえながらも、現実的な成果につながる地に足のついた手法を取り入れること、その前提として、現状に向き合うことも重要であると考える。
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- さいたま市都市戦略本部デジタル改革推進部データ・統計担当
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