Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
「来訪者の状況に応じたレコメンドサービス」によるまちの賑わい創出
栃木県宇都宮市観光・文化・娯楽
実施年度
Digi田甲子園 2022夏
取り組み事例キーワード
レコメンドサービス、チャットbot、スマホアプリ活用、アプリインストール不要
実施に至る経緯・動機
- 事業所数や小売販売額の減少などの経済活力指標が減少傾向にあり、恒常的な賑わい創出や経済活力向上に向けた取組の推進が必要となっている。
- 特に、今後、JR宇都宮駅東口のまちびらきとLRTの開業により、インバウンドを含めた観光、コンベンションなどを通じて市内外や広域から多くの集客が見込まれることから、来訪者の中心市街地への誘客や購買行動の活発化、回遊性の向上に向けた取組が必要となっている。
- このような中、「Uスマート推進協議会」が令和2年3月に策定した「宇都宮スマートシティモデル推進計画」における「スマート・ホスピタリティ」分野の取組として、以下の実証実験を実施した。
- 令和元年度:観光客向け周遊促進サービスに係る実証実験の実施
- 令和2年度 :属性情報を活用した提案型スマホアプリサービス提供による回遊促進効果を検証する実証実験の実施
- 令和3年度 :LINEをベースとした会話型コンシェルジュサービスによる回遊性の向上効果を検証する実証実験の実施
(令和3年度実施体制:日本電気(株)(事業統括者)、(株)下野新聞社、宇都宮市)
解決する課題の具体的内容
- 来訪者の回遊性を向上させるためにはスマホアプリが有用であるが、来訪者がスマホアプリをダウンロードすることはハードルが高いため、既存アプリの活用などダウンロードを必要としない方法が必要である。
- WEBでは提供していない地域密着コアコンテンツの配信や、チャットbotの活用による来訪者の状況、ニーズにマッチしたWEBから得られない情報提供が必要である。
デジタルを活用した取組による成果
- LINEの活用や宇都宮餃子会「来らっせ」との連携による利用者獲得促進等の効果を確認
多くの来訪者がインストール済のLINEの活用、「来らっせ」における整理券発行機能により、全ての定量的KPIで目標を達成
KPI | 目標 | 実績 | 達成率 |
---|---|---|---|
アプリ利用者数 | 10,000人 | 13,175人 | 131.8% |
コンテンツ閲覧数 | 3,000人 | 3,672人 | 122.4% |
クーポン獲得数 | 210人 | 224人 | 106.7% |
クーポン来店数 | 105人 | 157人以上 | 149.5% |
- サービスの一部実装を実現
会話型観光案内や「来らっせ」における整理券発行サービスを実証実験終了後も継続的に提供 - お友達登録数124,886人(2023年4月26日時点)/増加率947.9%(2021年3月末時点13,175人)
- 令和4年度の取組
1. 店舗情報を追加(登録店舗数313店舗)
2. 地元イベントとのタイアップ(イベントPRやチケット販売。FIBA 3×3World Tour Utsunomiya 2022、2022 JAPAN CUP CYCLE ROAD RACEなど)
3. JR宇都宮駅西口風除室に設置した多機能型デジタルサイネージとの連携事業
4. デジタルスタンプラリーやミッションゲームを活用した回遊促進事業(300人以上が参加)
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
- チャットbotを活用した「来訪者の状況に応じた日本初 レコメンドサービス」の提供
本取組で提供するチャットbotサービスは、「来訪回数」、「来訪人数」、「交通手段」といった来訪者の細かい状況に応じて回遊先を案内するレコメンドサービスで、こうした状況ごとに対応し、観光客向けに情報提供する機能は日本初の取組 - 「LINE」をベースとすることでアプリケーションのダウンロードを不要とし、簡単に利用できるサービスの提供
今回提供するチャットbotサービスは、LINE上でサービス提供を行うため、利用にあたって特別なアプリのインストールが不要で、すぐにサービスを利用可能
成果をあげるためのポイント
- 「来訪者の状況に応じたレコメンドサービス」によるまちの賑わい創出については、以下が成功のポイントになったと感じている。
1. 協同組合宇都宮餃子会との連携
→ 宇都宮には『餃子』を目的に来訪する多くの観光客がいる。餃子を目的に来た人もいれば、別の目的のついでに餃子を食べて帰る人もたくさんいる街が宇都宮である。私たちは開発の段階でこの『餃子』好きをターゲットにしたことで、コンセプトが明確になり、宇都宮餃子会にもこの事業に賛同いただけた。大型連休のピーク時には100組以上の行列を作る人気店・宇都宮餃子直営店「来らっせ本店」には整理券システムを導入し、ここでお友達獲得につながる流れを構築できたことが一番のポイントである。
2. 定期的にイベントを開催
→ 一方的な情報発信だけでなく、デジタルスタンプラリーなどの参加型イベントを実施することで、さらにお友達を増やしていった。
3. 様々なステークホルダーとの連携とデータ活用
→ コレメッケ宇都宮は様々なステークホルダーと連携し、事業を展開している。獲得したデータはイベントごとに分析しており、このデータを活用することで次の戦略を立てることができる。協力してもらった事業者にはできる限りこのデータを還元している。こうすることで多くの方から事業に関する興味関心を集めることができるので、コレメッケ宇都宮の利用と理解の促進につながる。
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
- 各主体で各々目的が異なるため、共通ビジョンがなく実施に足踏みが見られたこともあった。
→ 関係団体への丁寧な説明、官民が連携して議論を実施していくことで互いに理解を深め、実施につなげることができた。 - 内部においては、これまでのやり方の変更をしたくない、変えるための作業の負担を理由にデジタル化やDXに消極的な部局もあった。
→ 管理職を対象として受講必須のDX研修を実施したり、まずは、積極的な部局から進め、事例を作っていった。
今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス
業務を単純にデジタル化することが目的ではないことに留意し、これまでの制度や方法などの前例にとらわれず、進めていくことが大切だと感じている。
- 連携団体
- Uスマート推進協議会※(実施体制:日本電気(株)、(株)下野新聞社、宇都宮市)
- 問い合わせ
-
- 部署
- 宇都宮市 総合政策部 デジタル政策課
- 電話
- 028-632-2279