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Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。

『やまがたAI部』(産学官連携による高校生のためのAI教育)

山形県山形市教育・子育て

実施年度

Digi田甲子園 2022夏

取り組み事例キーワード

デジタル人材、ICT教育、若者の地元定着

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デジタルを活用した取組の全体概要

  • 本取組は、県内企業、教育機関、自治体が連携して県内の高校生にAIを学ぶ機会を提供するための「デジタル人材育成プロジェクト」である。賛同する県内企業、教育機関、自治体により運営のためのコンソーシアムを設立し、高校生に対して次のプログラムを提供する。
    • AIプログラミング教育(講義や実習等の講座を20数回程度)
    • 企業訪問(県内のものづくり企業やプロスポーツ団体等を訪問し、現場を体感し、AI導入や活用のアイディア提案を行うもの)
    • やまがたAI甲子園(後援:デジタル庁/東北経済産業局)
      やまがたAI部での活動をもとに、設定した課題にAIを活用し成果を競い、発表する場
  • コンソーシアムの趣旨に賛同する団体は、財政的な支援を行うほか、上記プログラム実施のためのコーチ等や「やまがたAI甲子園」運営のための人材・人員の提供や、全体的な運営に参加する。
  • 参加校については、コンソーシアム参加団体が連携自治体に所在する学校に趣旨を説明し参加を募り、3年間で県内高校の約1/3の21校が参加となっている。今後、県内全高校参加に向け、連携自治体に所在する高校を優先し、普通科、専門学科、総合学科のバランスを考慮し順次参加校を増やすとともに、大分県、東京都、熊本県など他県で参加を希望する高校にも順次活動を広げる。

実施に至る経緯・動機

  • 高等教育においては、各種探究活動や情報教育の推進が求められていたが、デジタル教育を行う環境整備が遅れていた。また、県内では、デジタル化や若者定着のための施策の実施・推進が必要となっていた。このような中、山形県内高校を対象にAI学習を通した教育支援活動を展開するため、産学官等の有志が連携し、2020年8月に「やまがたAI部運営コンソーシアム設立準備委員会」を立ち上げ、同年10月に同コンソーシアムの設立に至った。

解決する課題の具体的内容

  • 大都市部と比較し、地方はデジタル人材が不足しているほか、デジタル活用も進んでいない。このままでは、さらにデジタル格差が進む恐れがある。
  • 高校生に地域の産業が知られていないことから、定着に至っていない。
  • 地域の企業において、デジタル活用が進んでおらず、デジタル人材を育成し定着する環境も整っていない。

デジタルを活用した取組による成果

取組のアウトプット
事業内容 2019年度 2020年度 2021年度
オンライン座学 - 22回 5回
オンデマンド配信21回
実地活動(企業見学)実施回数 - 4回 7回
AI甲子園の開催 1回
(2020年3月7日)
1回
(2021年3月26日)
-
取組のアウトカム
実施内容 2020年度 2021年度
AI人材の育成数 60人(参加高校11校) 99人(参加高校13校)
総合的なアウトカム
参加校 2022年度に24校の参加を目指す(将来的に県内高校の9割)
中間目標
若年層AI人口割合 東北1位
女性AI人材率 東北1位
女性データサイエンティスト率 東北1位
起業率 全国平均以上
テレワーク率 東北1位
時短勤務女性の平均時給 東北1位
世帯収入 東北1位
将来目標
いずれも全国一位を目指す

本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点

  • 地域のものづくり企業/IT企業と共に活動
    • 単に、高校生にAI学習の教材を提供するのではなく、企業の社員をコーチとして各種相談ができる体制を整備している。
    • 県内企業からもコーチを出すことや企業訪問を取り入れることで、高校生の県内の企業への関心を高めている。
    • 企業訪問時に、AI導入・活用の具体的なアイディア提案の場を設定することで、単なる見学ではなく、仕事の内容をより深く知る活動としている。
    • 上記のことにより、“実践的な力を身に着けること”、“地域の企業・団体と共に活動すること”が可能となる取組としている。
  • 社会課題/産業/スポーツを題材にした実践的・探究的な活動
    • 学校単位でそれぞれが解決したい問題を課題として設定し、その課題に対してAIを用いて解決する方法を各々探究することで、AIプログラミング教育×探究活動を実施している。
    • 昨年度のやまがたAI甲子園の実績(「スギ花粉散布予想AI」「失業者数予測AI」「豪雨予想AI」「農産物選別AI」等。)から、具体的な課題の解決につながることが期待される。
  • 複数の学校がオンラインと実地活動のハイブリッドで連携
    • コロナ感染症の拡大を防止するため、オンデマンドによる講座やWeb会議ツールを用いたオンラインコミュニケーションを基本としつつも、現場を体験できるよう実地活動も取り入れている。

成果をあげるためのポイント

産学官連携した事業であることが成果を上げている一つの要因だと考える。これからのデジタル化社会において、デジタル人材の不足が懸念され、また若者の流出や出生数の減少などを受け人口減少が進んでいる中、一企業一自治体だけではなく、地域を巻き込んで、地域の将来を見据えた課題解決の取組であることで、多くの関係団体の参加を呼び込み、事業が拡大している。参加高校数も年々増えており、地域で活躍するデジタル人材の育成に向けて取り組んでいる。

デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法

「デジタル技術導入によりどの程度作業効率、作業量にメリットがあるのかが見えづらい」や「デジタル技術導入期には通常業務に加え、導入作業が伴い業務が増える」などデジタル化を進めるにあたっては様々なハードルがあると考える。本市では甲子園応募取組以外にもデジタル技術を導入しているが、その中のひとつとして保育園選定作業にAI活用したシステムを導入している。企業と協力して実証事業から始めて、その導入前後の作業量や作業状況の検証の結果、実装に結びついた事業である。こうした事例紹介(他自治体例含む)や行政DX研修などを実施し職員の意識変容を図っている。

今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス

地域課題の解決にあたって一団体でできる事業には限界がある。多くの企業や大学、自治体などの団体と連携をとり、様々なアイデアや意見、運営方法、財政支援などをいただくことで、より良い取り組みが実現できるのだと本事業を通して感じている。またDXのセミナーなどでも言われているが、DX推進でより重要な点は、”X”であり、”D”は”X”を進めるなかでの課題解決のための手段でしかない。単にデジタル技術導入を目指すのではなく、”何のために”デジタル技術を導入するのかを意識することが大切だと考える。

連携団体
鶴岡市、酒田市、東根市、新庄市、寒河江市、上山市、村山市、
長井市、天童市、尾花沢市、河北町、大江町、山形県
県内企業65社、山形大学、東北芸術工科大学、東北公益文科大学
問い合わせ
部署
山形市企画調整部情報企画課ICT推進係
電話
023-641-1212(内線876、877)
メールアドレス
jyouhou@city.yamagata-yamagata.lg.jp
関連サイト
https://www.city.yamagata-yamagata.lg.jp/shiseijoho/it/1007056/index.html