Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
コミュニティを核とした持続可能な地域社会の構築
宮城県石巻市交通・物流
実施年度
Digi田甲子園 2022夏
取り組み事例キーワード
地域MaaS、公共交通ネットワーク整備、グリーンスローモビリティ、高齢者に向けたデジタル活用支援、コミュニケーションロボット
実施に至る経緯・動機
東日本大震災により甚大な被害を受けた本市が、未曾有の大震災からの復興とその後の更なる飛躍を果たすために、震災に起因する人口減少・少子高齢化の加速化や復興公営住宅における高齢独居世帯の増加、半島沿岸部の移動手段等といった課題解決に向けて早急に取り組んでいく必要があるため。
解決する課題の具体的内容
- 地域交通情報アプリケーション(ローカル版 MaaS)の構築
既存の公共交通と住民主体の共助のモビリティであるコミュニティカーシェアリングを繋ぐ、IoT/ICT 技術を活用した地域交通情報アプリケーション(ローカル版 MaaS)を構築し、移動手段に係る課題解決を図ることで、住み慣れた地域で暮らし続けることができるまちづくりを推進する。 - グリーンスローモビリティの活用
ハイブリッドリユース事業によって生産された電気自動車を活用し、グリーンスローモビリティでのカーシェアリングを行うことにより、高齢者等の外出機会の創出による孤立防止及びコミュニティの活性化を図る。 - ハイブリッドリユース事業
- 使われなくなったハイブリッド自動車を域内外から回収し、市内の自動車整備事業者等によって電気自動車等としてリユースする。リユースにあたっては、ステークホルダーと連携の下、市内事業者が電気自動車等として再製品化を行うことにより、市内における新産業の創出及び地域経済の活性化を図る。
- ハイブリッドリユース事業によって生産された電気自動車は、グリーンスローモビリティとして、新市街地や半島沿岸部における高齢者等の移動手段として活用する。
- コミュニケーションロボットによる高齢者支援
- スマートフォン等の代わりに、会話形式で相手の状況に応じた支援が可能なコミュニケーションロボットを利用者の自宅等へ設置し、地域交通情報アプリケーション(ローカル版 MaaS)の利用を支援することで、高齢者のデジタルデバイドの解消を図る。
- また、コミュニケーションロボットを通じて高齢者に地域行事への参加を促す等により外出機会を創出する。
デジタルを活用した取組による成果
取組のアウトプット
令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | |
---|---|---|---|
グリーンスローモビリティ導入台数 | 1台 | 0台 | 1台 |
地域交通情報アプリケーションの構築状況 | 活用方法検討 | 活用方法検討 | 未導入 |
取組のアウトカム
令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | |
---|---|---|---|
グリーンスローモビリティ利用者数 | 12人 | 152人 | 259人 (令和4年度延べ利用者数の実績値) |
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
- 本取組では、地域交通情報アプリケーション(ローカル版 MaaS)を活用した住民主体のカーシェアリングの運用を通して、住民共助の推進が図られるとともに、新たな移動手段が確保され外出しやすい環境ができることにより、消費の拡大が図られる。
- また、コミュニケーションロボットの活用により、高齢者のデジタルデバイドが解消され、地域交通情報アプリケーション(ローカル版 MaaS)の利用が促進される。さらに、新市街地の復興公営住宅に住む高齢者の相談支援の充実及び外出機会の創出により、高齢者の孤立防止やコミュニティ活動の活性化が図られることで、元気な高齢者が増え、医療費の抑制及び消費の拡大が図られる。
- 高齢者等の外出時の移動手段として、グリーンスローモビリティを活用するとともに、地域交通情報アプリケーション(ローカル版 MaaS)を活用することにより、交通利便性の向上とともに環境負荷の低減が図られる。ハイブリッドリユース事業によって生産された電気自動車を活用することにより、環境に配慮した新産業の活性化が図られる。
- 本事業は、地域交通情報アプリケーション(ローカル版 MaaS)、コミュニケーションロボット、グリーンスローモビリティが相互に作用し合うことによって各取組の効果を相乗的に高め、全体の最適化が図られている。
成果をあげるためのポイント
グリーンスローモビリティ導入台数について、目標台数に届かなかったが、利用者数が令和3年度より延べ利用者数として100名以上増加させることができた。地区のカーシェア会で電動カートを活用する際に、ボランティアドライバーの方に積極的に協力いただいたことが大きな要因であると考えられる。そのため、地域のからの理解や協力を得ることが重要なポイントになる。
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
事業実施にあたり、地域交通アプリケーションとコミュニケーションロボットを連携させ、電動カートの配車予約等が簡易に実施できる仕組みづくりを目指したが、東北地方特有の訛りや高齢者の会話スピードにコミュニケーションロボットの音声認識機能が対応しきれず、想定していた用途で活用することができなかった。また、コミュニケーションロボットの公式クラウドサービスも今年9月末で終了することが決定しており、今後の機能的発展を見込むことができず、他分野での活用も厳しい状況となっている。
- 連携団体
- 豊田通商株式会社、株式会社講談社、一般社団法人日本カーシェアリング協会、市内自動車整備事業者
- 問い合わせ
-
- 部署
- 石巻市復興企画部SDGs移住定住推進課
- 電話
- 0225-95-1111(内線4223,4224,4225)
- メールアドレス
- issdgs@city.ishinomaki.lg.jp