パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化会議後の
山際新しい資本主義実現担当大臣記者会見要旨
(パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化会議部分・抜粋)


令和3年12月27日(月)15:14~15:27
於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室

※下記の冒頭発言及び質疑応答はパートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化会議に関する部分のみ。

1.冒頭発言

 本日、転嫁円滑化のための会議を開催いたしまして、事業者団体の皆さまにお集まりいただき、労務費などの上昇分の価格転嫁の円滑化について、これからの取組方針などについてご説明いただいたところです。事業者団体相互でも、役に立つところがあったと思います。
 岸田内閣の目指す新しい資本主義では、株主だけではなく、多様なステークホルダーの利益を考慮する必要がありますが、従業員と並び、取引先は、重要な価値創造のパートナーです。成長と分配の好循環を実現するため、地域経済の雇用を支える中小企業が適切に価格転嫁を行い、適正な利益を得られるように、環境整備を行うことが大切です。
 政府といたしましては、本日出席の事業者団体を含めて、各事業所管大臣から各団体に対して、取引先とのパートナーシップ構築、取引慣行や商慣行の是正などについて、会員企業に周知されるよう、要請をいたします。加えて、「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」を決定いたしまして、1月から3月を転嫁対策に向けた「集中取組期間」と定めるほか、公正取引委員会と中小企業庁が事業所管省庁と連携して、問題となる事例を幅広く把握し、対応する「価格転嫁円滑化スキーム」を創設すること、下請代金法や独占禁止法の執行強化などにより、立入調査や要請を行い、価格転嫁を行いやすくする環境を整備することといたします。
 本日、持ち回りで閣議了解の手続きが終了すれば発効いたします。これらにより、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分を適切に転嫁できる環境を整備してまいります。
 取引は民と民との関係でございまして、新しい資本主義は、「官民連携」でなければ実現できない。産業界をリードしている皆さんのご協力をお願いしたいと考えております。
 それともう一点、オミクロン株への対応ですが、無料検査の拡充について御報告をいたします。先般、12月23日の総理の講演でございますけど、オミクロン株の封じ込め対策が必要な地域については、不安がある全ての方を対象に無料検査を実施できることといたしました。これを踏まえまして、これまで市中感染等が確認されてきた東京都、京都府、大阪府、福岡県、沖縄県ではすでに無料検査を開始しております。また、オミクロン株については、ウイルスの性状に関する情報は限られておりまして、未知のリスクには慎重な上にも慎重に対応すべきことから、今般、市中感染等が確認されている都道府県の隣接県においても、無料検査を実施できることといたしました。
 今後とも、オミクロン株の感染状況や都道府県の意向を踏まえて適切に対応してまいります。
 以上です。

2.質疑応答

質問)
 価格転嫁の会議の方についてお聞きします。施策パッケージ、今ご紹介もあったものですけども、今回集めるに当たって閣議了解という形を取って、実効性を持たせた意図等改めて大臣からお願いします。

回答)
 今日、別紙かなんかでどれくらいの団体が集まったかというのはご案内だと思いますが、今日お集まりいただいた団体だけ見て頂いても、事業所管官庁がいくつかあります。ですから、当然その一つの官庁では見きれないものですから、その事業所管をしている各省、大臣がですね、それぞれの所管の事業者たちに対して要請をしていただかなくてはいけないところですので、なので全体の閣議了解という形といたしました。

質問)
 話題変わりましてオミクロン株の方をお聞きします。隣接県についても無料検査を可能とするということですが、これ手続的には新たな通知等が必要なものなのでしょうか。

回答)
 これ、通知そのものは関係ないのですけども、立て付けとして、各都道府県の知事さんが無料検査を行いたいということを言ってきたところから順次ですね、これを行うということにしているわけですけれど、今までは、市中感染が認められた県に限ってこれを認めるということにしてきたのですけども、当然人が移動しますので、その隣接県も含めて、もし知事さんがそれを希望するのであれば、無料検査をしていただけるように認めるということ、の決定をしたということです。

質問)
 認めたタイミングというか、そういうところはいつなのでしょうか。

回答)
 今日ですね。今日からやっていただければいいと思います。

質問)
 自治体に対しては、そういった運用できるというような連絡というのをしているということでしょうか。

回答)
 今これ記者会見しておりますので、これから知らせることになりますが、正直申し上げて47しか都道府県ありませんので、そのうちもう既に、この対象になっている県もありますし、お伝えするのはいつもコミュニケーションとっていますので、一瞬でそれはできることというふうに思っております。また既に首都圏の3県からこの検査をやりたいというようなことをご要望も頂いておりますので、早速それをやっていただけるようにという、そういう処置をしたということです。

質問)
 パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化会議なのですけども、これが賃上げにつながるというのは、これまで何年間日本の賃金が上がらなかった理由の一つに、こういう構造があって、特に買いたたきが常態化していたという認識なのか、それとも今回そこに書かれているのは色々原材料価格が今上がっていく中で、起きうるだろうというようなことで、一次的な対応というか今後賃上げにつなげていくために、阻害するものを排除する考え方なのか、そこを教えていただければ。

回答)
 正直申し上げて両方だと思っております。日本の経済構造、産業構造に起因する、特に製造業はですね、元請けがいて、下請け孫請け曾孫請けと、こういう構造になっていることがうまく機能してきたというのも事実なのですが、一方で、その間にですね、やはり適正な価格の転嫁というものが行われにくい、そういう産業構造になってきたということは間違えが無いわけですね。それもありまして、長い課題として、これは自民党の中でも下請けに関してというのは議論を続けてきて、それなりにですね、たとえば自主行動計画を作って頂くだとか、ガイドラインを作って頂いて、それをみんなで遵守しようという機運を高めて頂くだとか、あるいはそのパートナーシップ宣言をやっていただくだとか、様々効果が出始めていることは間違えないわけです。ただ一方でですね、やはり厳しい状況におかれますと、そういう努力を前向きにやってくださる企業と、一方でそれをしない企業が出てくるわけですね。そうすると、新しい資本主義で言っているようにマルチステークホルダー主義として、このサプライチェーン全体の底上げをしていくということに賛同してやってくださる企業とそうでない企業とで差が出てまいります。これはある意味不公平なことになりますから、今回もより規制を厳しくするということを言っているわけではなくて、下請代金法であるとかですね、あるいは独占禁止法であるとか、そもそも買いたたきそのものは下請代金法で禁止されているわけですから、それを行わないように、みんなで注意をしっかりしよう、ということを改めて申し上げることをしたわけですね。先ほど冒頭申し上げたように、民・民でやるべきものですから、我々としては、それを要請するということにしておりますが、実際に産業界の皆さんと一緒になってやらないとこれできないものなので、それでこのタイミングで、ということです。で、後者の方のですね、かなりエネルギー価格が高騰している、原材料価格が高騰している、賃上げをすることによって労務費も上がる、というような中ですから、みんなで努力をしないと成し遂げられないもので、この年内の最後のタイミングでみなさんにお願いをしたということです。

質問)
 もう一点あるのですけども、今、これ企業間の取引の適正化、つまり実際には賃上げ分を含めると上がっていくことが想定されるのですね。そうすると消費者物価も当然、そうじゃなくても原材料価格も上がってきているので、上がって行くであろうと。一つはその、最終消費財を作っているところが本当に価格を転嫁するかどうかということと、それをどう考えるかということと、色々なものの値段が上がっていって、賃上げが追いついていかない場合にですね、マインドが下がってしまうという事になると思うのですけど、そのあたりはどういう風に考えていらっしゃるのでしょうか。

回答)
 岸田政権全体としては、順番を間違えてはいけないということをいつも申し上げているわけでして、やはり成長が先に来て分配が後に来るという方向で頑張りたいと思っております。ですから、今回の経済対策の中にも、成長のための対策というものを相当経済対策で入れたわけですよね。それと、ある意味ですね、マクロ経済政策としてみたときには、我々としては、実質2%、名目3%、GDPを成長させるということを目標に掲げて経済財政運営というものをこれまでも行ってきたし、これからも行っていくわけですね。ですからその中で、おっしゃっているような、賃金が上がるよりも物価の方の上昇の方が激しくなるようなことにならないように、バランスを取りながらやっていくということになると思うのです。それは、だからこそ全体として私たちがやらないといけないことであって、事業所管官庁だけに任せるのでは無くて、政府全体としてマクロ経済運営の視点から、こういうことをお願いしているということなのです。なので、もう一回繰り返しになりますけども、経済対策で成長の部分をまず順番を間違えずにしっかりやるということをもって、今言った賃上げを超えた物価上昇にならないように、バランスを見ながらやっていくということになると思います。



(以上)