No.15 天明六年の調査で、幕府役人が初めて択捉島・ウルップ島に上陸・周回。択捉島でロシア人に接触。

概要

 田沼意次は、ロシアの南下を警告する工藤平助の『赤蝦夷風説考』に触発され、蝦夷地の調査を指令し、1785年(文明5年)から1786(文明6年)にかけて江戸幕府による調査が行われた。特に、1786年(文明6年)の調査では、最上徳内は、択捉島でロシア人に会い、ロシア情勢や千島列島に関する情報を聴取するとともに、エトロフ島及びウルップ島を周回した。

関連する文書

文書名 所蔵機関(請求番号など)(注) 概要
『蝦夷拾遺』 国立公文書館
(178-0232)
天明の蝦夷地調査の成果について佐藤玄六郎が記した書。写本の一つが国立公文書館の内閣文庫に保管されており、画像データが同公文書館のデジタルアーカイブに掲載されている。
『蝦夷国風俗人情之沙汰』 東京国立博物館
(QA-598)
江戸幕府による天明期の蝦夷地調査に参加した最上徳内が、アイヌの風俗や生活などのほか、松前藩の政策、北方地域の地理や沿革などを記した書。国書データベースに北海道大学附属図書館が所蔵するもの(請求番号:旧記192)のデジタル画像がある。『日本庶民生活史料集成 第4巻』に翻刻が掲載されている。
『蝦夷草紙』 国立公文書館
(178-0209)
最上徳内が1790年(寛政2年)に執筆した蝦夷地方の地誌。画像データが同公文書館のデジタルアーカイブに掲載されている。
『蝦夷地一件』 京都大学文学研究科
([1-2]日本史:つ9/12
[3-5]: 日本史:つ9/13)
1784年(天明4年)から1790年(寛政2年)までの、江戸幕府における蝦夷地に関する公文書を集成したもの。デジタル画像データは、京都大学貴重資料デジタルアーカイブで公開されている。北海道庁が編さんした『新北海道史』第7巻 (史料 1)に翻刻が掲載されている(国立国会図書館デジタルコレクションにデジタル画像あり)。
『天明丙午御試交易之始末』 北海道大学附属図書館
雑誌 (北大北方資料室)
江戸幕府は天明の蝦夷地調査にあわせて、飛騨屋が請け負っていたアッケシ、キイタップ、クナシリの3つの場所の交易を停止し、代わりに自らが選んだ商人に請け負わせ交易を実施した(御試交易)。本書は、この「御試交易」に参加した幕吏の記録である。 活字翻刻が、「松前藩と松前」15号、海保嶺夫編「幕政史料と蝦夷地」(昭和55)などに掲載されている。
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