No.6 この頃、ラッコやアザラシの皮、鷲羽などが松前氏などを通じて日本本土にもたらされ上等品として珍重される。

概要

 中世から近世にかけての蝦夷地からの交易品は、昆布、鮭、熊・鹿・アザラシ、ラッコなどの毛皮、鷹羽(真羽)などがある。この中でも上等品は、ラッコやアザラシの皮、鷲羽で珍重されていた。これらは北方四島を含む北海道東部や千島列島の産物であり、安藤氏や蠣崎氏(のちの松前氏)はアイヌとの交易によりこれらの産品を入手していた。

関連する文書

文書名 所蔵機関(請求番号など)(注) 概要
『後鑑』 国立公文書館(148-0064) 1837年(天保8年)~1853年(嘉永6年)にかけて江戸幕府により編纂された室町幕府15代の歴史書。原典は失われたが、国立公文書館(内閣文庫)や東京大学史料編纂所が写本を所蔵している。
その1423年(応永30年)の項(2コマ)に、足利義量の将軍就任の祝いに、安藤陸奥守が、「海虎皮」(ラッコ皮)30枚を送ったとの記述がある。
『福山秘府』 北海道大学附属図書館
(旧記 0540)
松前広長が1776年(安永5年)から1780年(安永9年)にかけて松前藩主道広(みちひろ)の命を受けて編纂した松前藩関係史料の集成。戦前に北海道庁が編さんした『新撰北海道史』 第5卷に翻刻が掲載されている(国立国会図書館デジタルコレクションにデジタル画像あり)。蠣崎慶広(※書状の写しでは「松前志摩守」となっている)は、豊臣秀吉にラッコ皮3枚を献上した旨の書状の写しがある(56コマ)。また、1616元和元年(1615年)に長さ七尺のラッコ皮を献上した旨の記録がある(79コマ)。
『新羅之記録』 函館市中央図書館
(K08マツ6004)
1646年(正保3年)に、松前景広が、幕命によって編纂された松前家系図に記述を補って作成した記録。函館市中央図書館のデジタル資料館に写本の画像が掲載されている。同書によれば、1610年(慶長15年)に、松前慶広が駿河城でラッコの皮を対馬藩家老柳川豊前守に送った旨の記録がある(『森羅之記録 下』の29コマ)
チースリク編『北方探検記 : 元和年間に於ける外国人の蝦夷報告書』 国立国会図書館
(211-cA58h-O)
本書は、一七世紀初めにキリスト教伝道のために蝦夷に渡ったイエズス会宣教師アンジェリスとカルワーリュの報告書を、ポルトガル語の原文から翻訳したものである。ラッコ皮の産地及び流通経路について記載がある。国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧可能
  • 複数の機関が所蔵している場合、複数の版が存在する場合は、主なもの、アクセスしやすいものを紹介しています。