国家公務員 CAREER GUIDE

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「過労死」という言葉をなくしたい。
すべては、働く人のために。

「公務員は男女の差なく仕事ができるよ。」小学生の頃、母から言われた言葉です。高卒で民間企業に就職、夜間大学卒業後に公務員になった母のこの言葉が、私が公務員に興味をもった最初のきっかけだと思います。中学2年の時に母が他界し、人生の指針を失ったような気持ちで過ごす日々の中、母の同僚たちが作ってくれた追悼文集が私に転機を与えてくれました。そこには、労政事務所で労働者からの相談を親身に、丁寧に、聞いていたという母の姿がありました。それを機に「労働」というものに興味を持ちはじめ、大学では社会法のゼミを専攻。当時「過労死」に関する最高裁判決がニュースで大きく取り上げられており、特に関心を持って研究しました。過労死について深く学ぶうち、「人は誰もが生きていくため、幸せになるために働くのに、その労働によって身体や心を壊し、ましてや命を落とすようなことがあってはならない。働く人の幸せは、その家族の幸せ、そして社会全体の幸せにつながっている。」そんな思いがどんどん強くなっていくのを感じていました。働く人のいのちや健康を守る労働法。それに息を吹き込む仕事。私にとって「労働基準監督官」という職業は魅力的でした。ただ、女性が生涯続けていける仕事だろうか?という不安も。そんなとき、母の旧友のつてで、一人の女性労働基準監督官に会って話しを聞くことができたんです。仕事をしながら二人の子供を育てあげたその人は答えてくれました。「私にもできたから大丈夫!」と。力強いその一言に背中を押され、私は労働基準監督官になることを決意しました。

語学力を生かした仕事をしたいと思っていたこともあり、ILO(国際労働機関)条約に関わる仕事ができたことは、自分にとって大きな実りがありました。ILO条約に関連する国内法においてどのような進展があり、またどれだけ履行しているのかを取りまとめ、報告書を作成、ILOへ提出することが私の役目です。報告書の作成では労働基準監督官として務めた経験や本省での業務経験が大いに支えとなりました。志高く業務にあたる同僚たちの姿を思い浮かべることができたからです。報告書では、事業所などに立ち入って実際に労働環境の調査を行う「臨検監督」の件数が年々増加していること、女性労働基準監督官の割合が増加傾向にあることなどを特に力を入れて取り上げました。そしてそれがILO総会の文書に記載されることになったのです。日本の労働基準監督官の活躍ぶりを、国際機関に届けられたことはとても嬉しかったですね。さらに、ILOがアジアの途上国の労働環境改善のために行っているプロジェクトの視察に同行させていただいたことも印象に残っています。途上国で過酷な労働条件で働く人々を目の当たりにし、日本の労働基準行政の発展経験が、途上国の労働環境の改善に大いに役立つのではないかと思いました。日本独自の経験を国際的な立場で発信していくことの重要性を改めて実感した瞬間でした。こうした点を見据えながら、労働基準監督官という立場で今後は日本の労働環境だけでなく国際的な労働基準の向上にも貢献していきたいと考えています。

土田 容子

TSUCHIDA Youko

厚生労働省
労働基準局
平成17年入省【労働基準監督官採用試験】
平成28年12月1日時点

プライベートでは2児の育児中。子供を育てることとやりがいのある仕事をふつうに両立できる世の中にしていきたいと語る。そのために、長時間労働が前提の働き方を改善し、「過労死」という言葉は過去のものにしたい。今の自分と同じように子供を育てながら、働く人のための仕事をしていた母の思いを胸に、約5,200万人の労働者とその家族の幸せを守るため、日々奮闘している。