IKUMEN PASSPORT 2018
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育児休業は制度として確立していますし、ある程度の収入も保障されるようになりました。職場に迷惑をかけるなどと気にして取得を見送るのではなく、むしろ積極的に取得することによって、それでも回っていく職場の有り方に変えることを目指してほしいと思います。フランスでは、ひとりが複数のセクションの仕事を担えるように訓練して、お互いをカバーし合える体制づくりをしており、それによってワーク・ライフ・バランスを実現しているようです。公務員であるみなさんだからこそ、本気でワーク・ライフ・バランスの実現を目指して、民間のお手本になってほしいですね。 意味でも、父親が育児を経験し、地域に参加していくことが大切なのです。 実は育児に真剣に取り組むと、仕事だけでは気づけないことがいろいろと見えてきます。例えば、30年後、40年後の世界はどうなっているのか、偏差値教育は正しいのか、日本人にはどうして英語が苦手な人が多いのか、食品添加物はアレルギーに影響しないのか、などなどです。このようなことは、育児を通して考え、見えるようになっていくものです。ぜひそれらを地域づくりや公務員としての職務に生かしてほしいと思います。最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。 仕事を精一杯こなしながら、同時に育児にも全力で取り組む、などということはできません。そこはバランスを考えることが大事だと思います。子どもが幼いときほど、母親任せにせず、できるだけ一緒にいてあげることが必要です。可能な限り育児に取り組んでこそ、逆に働く意義を再認識できますし、子どもや妻の笑顔を見ることで父親としての喜びと自信も生まれ、あなた自身のメンタルヘルスが高まります。できたら、すべての父親に、最低1カ月でもいいから、本気になって育児に取り組んでみてほしいと思います。そこで得られるものは、言葉にならないほど大きいはずです。 なお、育児休業の間に自分のための勉強もしようと考える人もいますが、これは残念ながら幻想といえます。子どもが起きている間は、全力で子どもにつき合ってあげないといけません。育児に手抜きはないからです。それに家事に休みはありません。それを知るだけでも、意味があると思います。34
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