内閣官房ツイッター
キーワード検索


【平成19年度「国連持続可能な開発のための教育の10年」円卓会議(第2回)議事要旨】

  1. 日 時:平成20年3月26日(水)10:00〜12:00
  2. 場 所:環境省 第一会議室(22階)
  3. 参加者:
    阿部治、及川幸彦、寺尾明人、小澤紀美子、小林功英、佐藤真久、柴尾智子、関正雄、多田孝志、田中治彦、手島利夫、名執芳博、森透(13名、敬称略)

    内閣官房、外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省(7府省)

  4. 議 題:
    • (1)普及啓発・地域における実践に関する取組について
    • (2)意見交換
  5. 議 事:
    • (1)開会
    • (2)普及啓発・地域における実践に関する取組について
    • 資料3に基づき、気仙沼市における取組について発表。
      環境教育からESDへと発展させる時の課題は何か。
      現在、それぞれの学校でコミュニティ・防災・食育・国際理解などにそれぞれの特徴に応じて環境以外のテーマにも取り組んでいるが、ESDとして脱皮するには時間がかかる。
      具体的な成果は何か。
      子どもが関心を持つことで、教師がやる気を持って取り組むことができる。また家庭や地域にいる周りの大人達を動かすことにもつながる。
      資料2及び資料4に基づき、日本経団連自然保護宣言、日本経団連自然保護協議会15年の活動、損保ジャパン「市民のための環境公開講座」、損保ジャパン「CSOラーニング制度」について発表。
      CSOラーニング制度で学生の選考はどのようにしているか。
      選考では環境に詳しい若者だけでなく、経験はないが興味はあるという人にもインターンシップの機会を与えるように配慮している。
      卒業後、社会人となって、木を植える人として育っているか。
      2000年が制度スタートでまだそれほど時間が経っていないが、卒業生は同窓会組織を自主的に作って活動している。時間とともに社会人として各方面で影響力を発揮できる人材が増えてくるので、今後を楽しみにしている。
      資料2に基づき、ユネスコ信託基金やパートナーシップ事業、学習指導要領におけるESDの取組、資料5に基づき、持続発展教育(ESD)の普及促進のためのユネスコ・スクール活用、ESDにおける日本ユネスコ国内委員会の役割について発表。
      資料6に基づき、環境省による地域のESD推進施策「国連持続可能な開発のための教育の10年促進事業」について発表。
      具体的な成果は何か。参加者の声はどうか。
      事業をきっかけにして、多様な主体の連携が進んでいる。互いのリソースを持ち寄り、地域資源を生かす取組をしている。時間はかかるが少しずつ取組が進められている。
      検討員として事業に関わっている。例えば、発表資料にあった西宮市ではウォークラリーに600名が参加し、環境だけでなく福祉などの視点に触れることができた。須玉町では環境だけでなく、社会的な視点も加え、経済的にも成り立つ仕組みを構築しようとしている。すべて新しい取組というわけではなく、従来の取組を発展させようとしている。
      個々の取組はよいものだが、それで本当に持続可能な社会を実現できるのか。持続不可能な社会をどのように食い止めるのか。危機意識を共有することが大事なのでは。
      ESDをSDの実現にどうつなげていくか。すべての主体の取組に共通の課題である。今後、円卓会議でもぜひ話し合っていきたい。

    • (3) 意見交換
    • トップダウン・ボトムアップ・協働がキーワードである。そのためには学校での取組が重要であり、「学習指導要領」の教科だけでなく総則に「持続可能な社会の構築」という言葉を入れるべき。ESD-Jとしても要望してきたし、ESD議連でも同趣旨の要望が大臣宛に出されている。政府あげて取り組んでいくには、内閣官房の機能強化・予算措置が必要である。また、円卓会議の位置付けもしっかりとしたものにしてほしい。     サミット本番の総理のスピーチへのESDの盛り込みや、2014年にポストESDを議論する国際会議を日本で開催することもお願いしたい。
      円卓会議は情報共有・意見交換の場であるが、単なる懇談会に終わるので はなく、次のステップに向けての前向きな議論をしていきたい。
      手島氏と同様の認識。ESDは新しいことをやるのではなく、これまでの教育の統合であると考えている。教育の結果として意識・ライフスタイルをどのように変えていくか。持続可能な社会は変わっていくものである。教育に関わった人々の行動の変化、その集積によって社会がどう変わったのか。希望のある未来ビジョンを描くためには普及啓発が重要である。
      自主的なボランティア活動等を通じて、自分なりに考え行動する学生が増えている。しかし、こうした活動に対して大学からの支援があまりない。文科省から大学に働きかけてほしい。産業界には学生の自主的な活動がもっと就職につながることを期待している。自治体には学生が開催するイベントの後援をお願いしたい。このように、社会全体で学生の挑戦を支援する仕組みが欲しい。学校に関しては、教員免許の更新の際にESDに関する研修を取り入れてほしい。ESDの「持続発展教育」という訳は、あたかも特殊な教育であると連想させてしまう。すべての教育がESDにつながっていることを示すことが必要。
      評価は成果だけでなく、進捗を生み出す評価というものもある。ESDを通じた目標達成と評価をどのようにリンクさせていくか。次回か次々回にでも情報共有させていただきたい。
      どのような規模で普及するか。できるだけ多くの人に伝える場合は、例えばフォトメッセージコンテストでは38カ国約3,200点の作品が集まり、各国で発表していく予定である。「万人のための教育」に関連して各国で200万人が同時に教育を受けるというイベントを行う予定である。すべてが新しい取組というわけではない。ESDの普及を考える時、NPOが周知されていった90年代の議論を思い出す。阪神大震災でのボランティア活動からNPO法制定に繋がった。マスメディアに取り上げられ、NPO活動が根付くことで社会がよくなるというメッセージが広まった。ESDにも同じように展開できるとよいのではないか。ESDによりSDに向けての方策におけるEの位置づけ、ESD自体の持続性、SDとの関連性が問われている。円卓会議では目標やそれに向けたロードマップを議論してもよいのでは。
      科研費を活用してマニュアルを作っている。また、学会では50本の発表の内5本がESDをテーマとするものだった。海外の動向も今後報告していきたい。現在、日中韓でESDをテーマにした教材づくりに取り組んでいる。ESDの教材については、内容に加えて学習方法の議論もあるとよい。
      途上国の抱えている問題を考えるととても解決できないと考えてしまうが、教材やWSを通じて、自分のこととして捉える、自分が世界に影響を与えるという効力感が必要である。地域を掘り下げて理解することを通じて、世界につながっていくことが期待されている。次回以降発表させていただければと思う。
      各主体による点の取組は進んでいる。それを面として日本国中で展開していく必要がある。そのためには、学校教育のあり方、文部科学省の方針が重要である。今回の指導要領改訂で中学校の理科・社会科については、「持続可能な社会の構築」という文言が盛り込まれたが、教科だけでなく全体の中に位置づけることが必要である。どういう視点で、教科ごとに関連づけていけるか。
      リオ・サミットから10年経過したヨハネスブルグ・サミットにおいて、まだ現場レベルで取組が進んでいないとの認識から、RCE認定を通じて現場でのネットワークや世界的なネットワークを構築している。ESD広めていくために、認定して終わりではなく、毎年の進捗状況の報告や自己評価システムを作ることを考えている。本年7月に第3回RCE国際会議が予定されている。
      高等教育機関における取組については、地域における取組と絡めて、次回以降発表していただきたい。
      参加した人がどのように変容したか。学校での取組は重要だが、先生は忙しくてなかなか対応できない現状がある。子どもがやる気になれば先生も変わる。いきいきと取り組んでもらえるような仕組みが必要である。
      そういう意味では、この円卓会議もいきいきとやらなくてはいけない。先ほどリオ・サミットの話があったが、持続可能な開発の理念は、72年のストックホルム会議から始まっており、環境教育の取組は重層的に行われている。普及啓発は、空間・領域・対象の広がりを考えて進めて行くことが必要である。未来のビジョンを思い描きながら、行動に結びつけて行くことが大事である。円卓会議では、懇談に終わらず、何らかの成果をまとめていければと思う。

    • (4) 閉会
    •   次回以降については、年度が変わることもあり、関係省庁間で調整するが、できるだけ早い時期に1度開催することを考えており、日程調整させていただきたいと考えている。
      (以上)

ページのトップへ戻る