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国土強靱化:私のひとこと special.27

気象災害と私たちにできること
『レジリエンス』×『コミュニティ』

(国土強靱化ワークショップ(第5回))

平成30年度第5回のワークショップは、防災・減災への関心を高め、取組を広げていくため、「気象災害と私たちにできること」をテーマとして、平成31年1月26日福岡市にて開催しました。
 今回のワークショップは、防災・減災に関心を持っている方を対象に、甚大な気象災害をはじめ、いざと言う時、人々が助け合えるコミュニティをつくるためには?をともに考え、気づきと活動、交流を広げていただこうとするものです。女性・男性、学生から高齢者の方など多様な方々が参加しました。


国土強靱化ワークショップ【第5回福岡会場】参加者の集合写真

話題提供 ~ 気象災害と私たちのできること生活やコミュニティに生かせるヒントをいただく

気象予報士の半井小絵氏から、「気象災害と私たちのできること」と題して、甚大な気象災害について、支えあうアイデアの方向性となるお話をいただきました。

まず、気象予報士になるきっかけとなった昭和9年の室戸台風のお話です。半井氏のご祖母が経験し、お友達41名を亡くしたそうです。女児を助けて自らは亡くなった女性教師像が京都知恩院にあり、四国から近畿地方に大被害をもたらしました。
 日本初の明治16年の気象警報は、全国で3か所(鹿児島、東京、青森)の高さ12mの棒の先に印を掲げるだけだったそうです。今は、テレビ、ラジオ、インターネット等で気象情報等をチェックできるが、その内容を理解しておくことが大切と指摘されました。「避難準備情報」を「避難準備・高齢者等避難開始」に変えるなど工夫されてきてますが、避難「勧告」と避難「指示」の違いがまだ一般の人には周知されていない。重大な危険性が迫った時の土砂災害警戒「情報」と竜巻注意「情報」のお話から、それぞれの「警報」、「注意報」、「情報」の内容をしっかり把握しておくことが大切と話されました。

つづいて、半井氏が撮影した、平成29年九州北部豪雨での、基礎や柱だけ残されたり倒壊した住宅の写真を投影し、水の威力についてお話されました。九州北部では平成24年にも豪雨が起こった。自治体の防災担当にヒアリングすると、前回(平成24年)の教訓を生かせた自治体と、生かせなかった自治体があった。生かせた自治体は、前回と同じ所で雨が降ったため、そこの早期避難を実施できた。しかし、ある市では、前回は山間部で大雨が降り土砂災害に注意したが、市街地での豪雨だった。過去の経験を生かすことは大切だが、違う場合もあることも考える必要があるとの指摘でした。また、避難情報について、避難指示でいいか避難勧告でいいか、出し遅れたらどうするかなど、市町長、防災担当者は悩まれるそうです。市町村合併で市域が広くなり実況を把握できなかったり、市民への問い合わせ等に忙殺されたりする事態もある。そこで、地域の防災に詳しい方々の、率先した避難判断と対応が大切と指摘されました。

水の恐ろしさのお話が続きました。1m×1mの地面に1mmの雨でも、1リットルになり、面積・雨量が増えると莫大な水量となる。例として、東京の妙正寺川が、2005年杉並豪雨では、1時間112mm、総雨量263mmの雨で、あっという間にどこが川か橋か道路か、分からなくなった。このとき関東は目立った雲がない状況だが大気の状態が不安定だった。全く雲のない所で、数時間後の被害をもたらす雨雲は今の予報精度では難しいそうです。
 福岡でも平成11年には博多の地下街、平成15年に地下鉄が浸水したそうです。都会では、低い所では水に溺れてしまうこともある。天候の急変などに注意が必要であり、普段から、雨雲レーダーによる気象情報を見るくせを付けておくことが大切と話されました。
 続いて、豪雨に関わる大気の状態の安定、不安定についての解説がありました。下層に暖かい空気、上空に冷たい空気がある場合は、上の重い空気が下に、下の暖かい空気が上に上がろうとする。たくさん雨雲の基の水蒸気を含んでいる暖かい空気が上空に上がるときに、雲が発生・発達する。そして、地球温暖化では、海水温が高ければ不安定度が高くなり、雪が少なくなるのではなく大雪になる可能性もあるとのことです。

また、自分の地域、地域のリスクを知ることが大切であると指摘されました。大河川のそばでは、勢いの強い水が来るので早期避難が大切だが、川から離れている場合、家の2階や近くの高いマンションに逃げるなど垂直避難が大切となる。2009年に兵庫県佐用町の防災意識の高い一家が、膝まで浸水した状況で避難所に行こうとし、濁った水のため見えなかった用水路に全員が流された。また、小河川は降った雨で急にあふれ、大河川は半日ぐらいの時差で増水するなど、さまざまな違いがあるとのことです。
 そして、災害や交通事故には遭わない、でも宝くじは当たるかもしれないと思う正常性バイアスに気を付ける必要があると指摘されました。危ないなと思ったら悪い方向に考え、雨雲レーダーをチェックするなど、早め早めの行動が大切と指摘されました。
 まとめとして、命を助けるには、状況を的確に把握して早め早めの避難や、垂直避難などの「早期避難」が必要と指摘されました。このため、内容を理解したうえで情報を活用すること、自分の地域に潜むリスクを事前に知ること、そして、自分ごととして考えておくことが大切として話を結ばれました。

参加者対話 ~話題提供を聞いて感想や気づきを話し合おう

4つのグループ(班)にわかれて、話題提供のまとめをふまえて、感想や気づきをグループで話し合いました。
 まず、「個人シート」に関心を持った話題提供と、それについての自分の気づきや心配を書き出しました。そして、テーブルの皆さんで、自分ごととして災害への備えと支えあいについて、気づきを話し合いました。
 そして、グループごとの話し合いの結果を発表し、共有しました。
 1班では、地域の情報や、避難に関する情報の中身を正しく知っておくことが大切だとの気づきが話し合われました。
 2班では、過去浸水しなかったから大丈夫などの考えが通用しなくなってきてるなど、地域のリスクを改めて知ることの大事さが話し合われました。また、ハザードマップなどをみて避難する道路に危険な場所がないか確認するなど、情報の拾い方(分析)が大切ではないかなどが話し合われました。
 3班では、情報について用語の定義の理解が大きな課題であることや、留学生の参加者もいたこともあり外国人への対応の必要性など情報提供の大切さなどが話し合われました。また、避難場所については、遠い場所では高齢者をおぶっていけないなど、自分ごととして実際の避難の心配が考えられました。
 4班では、豪雨被害があったとしても、都市部の場合回復が早いため、災害の恐ろしさを忘れてしまうのではないかなど、情報を伝えていくことの大切さが話し合われました。

アイデア検討~支え合うアイデアを、楽しく出し合おう!

参加者が、災害への備えと支えあいのアイデアを出し合い、交流を広げながら、深堀りするための「良案」を抽出するワークです。

(アイデアスケッチ)
 まず、参加者対話で考えた、自分ごととしての災害への備えと支えあいのためのアイデアについて、一人一人がアイデアをA3版のアイデアシートに書き込んでいきました。
 地域の活動に防災活動を組み込んでいくアイデア。マップとして地域に住んでいる人の情報をまとめるアイデア。警報が出たら連絡を取ったり助け合ったりするマニュアルや決まり事を事前に地域で作っておくアイデア。いろいろな情報を把握できるアプリを使えるようにする勉強会のアイデアなど、半井氏の話題提供からの気づきから発展したアイデアを、参加者一人一人がA4のシートに書き出していきました。

そして、各グループ(班)で、参加者同士がアイデアを紹介し、意見交換を行いました。自分のアイデアを説明するとともに、相手の話を聞き、話し合い、発想を広げていきました。情報をどのように伝えたり伝わるようにするのか、そして正常性バイアスを超えて自分ごととして防災に取り組んでいくにはどうするのか。地域のコミュニティが希薄化しているとの問題意識の中で、楽しく防災に取り組むことのできる考えが共有化され、それぞれのアイデアに反映されました。

(発表)

どのようなアイデアが話し合われたかを、各グルーブ(班)が発表しました。
 1班では、様々な観点からの支えあいのアイデアが発表されました。「地区別防災協議会づくり」、「隣近所での日常的コミュニケーションづくり(災害弱者といわれるような人について情報共有をしていこう)」、「地域のお祭りや運動会、美化作業に防災活動をプラスする『ながら』防災」、「地域特性を実感するまち歩き」と「防災まち歩きによる地域のハザードマップ作成」などのアイデアが発表されました。
 2班では、「家庭内での避難ルールづくりや子供の防災教育」、「日ごろから知り合いとなっておく」、「正常性バイアスの破壊」、「地域の声掛けと家庭内での防災対策」、「家族ご近所の防災マニュアルづくり」など、日ごろからの家庭や地域での取組のアイデアが発表されました。

3班では、「外国人などへ住民登録時に防災のパンフレットを渡したり防災情報を伝える」、「高齢者もスマートフォンを持つ人も多いことをふまえた気象情報のアプリの活用の勉強会」、「気象予報士や防災士を地区で常雇することによって地区での備えを強化する」、「リアルタイムの情報が書き込める防災SNS」、「避難情報の世界標準化」などのアイデアが出されました。
 4班では、「1年に1回、防災について考える日を祝日にする」、「年に1回は非常食を食べるなどのイベントを行う」、「降水量の数値と水量の関係が実感できる実験会」、「高速道路での災害時の渋滞を緩和する」、「人がたくさん通る所での災害写真の常設展示」などのアイデアが発表されました。

(良案抽出)
 各グループごとに、一人一人のアイデアシートを広げます。
 そして、一人一人がテーブルを回りながら、他の人のアイデアシートをみて、「これは良い」「深堀してみたい」と思ったものに、印をつけていきました。それぞれ自分とは異なる気づきや視点からのアイデアを熱心に見ていきました。話題提供者の半井氏、有識者の宇野沢氏も興味深く一つ一つのアイデアシートを見ていただきました。

 そして、それぞれのアイデアシートの中でも、つけられた丸の数が多かった、「ながら防災」、「非常食を食べる日」「防災の日を祝日に」「雨量計測イベント(降水量の数値と水量の関係が実感できる実験会)」の4つの「良案」が選ばれました。

アイデアまとめ~支え合いのアイデアをまとめ、そのための取組を考えよう!

「良案」4案毎に新しいグループをつくり、それぞれのグループで、アイデアを展開し、また深堀りしながら、参加者が模造紙にアイデアをまとめていきました。
 「ながら防災」のグループは、遊びながら楽しみながらなど、防災に肩ひじを張らずに取り組んでいくための様々な取組のアイデアを展開していきました。「非常食を食べる日」のグループは、防災のための特別な日として行うさまざまな取組のアイデアをまとめて「防災の日を祝日に」のテーマに拡大していきました。「住民登録時の防災教育」のグループも、外国人ばかりではなく、様々な人を広く対象とした取組のアイデアに展開していきました。「雨量計測イベント」のグループは、楽しくわかりやすく「流しそうめん」による取組に展開し、「流して食べて逃げる会」へとアイデアを深堀りしていきました。

発表・交流 ~アイデアを共有し、交流を広げよう!

各グループで深堀りされたアイデアが発表・共有されました。
■ながら防災
 防災に頭でっかちにならずに、遊び「ながら」、楽しみ「ながら」、取り組んでいこうというアイデアです。住民の意識が「守られる側」から「守る側」へとしていくきっかけともしたいとの思いも込められました。
 日頃からの取組として、隣近所や地域を知り、他の団体とも近づきになる。例えば、小学校で運動会と一緒に防災の取組をすることにより、PTAや子ども会、老人会など地域団体同士のつながりも作っていく。これにより、協力しやすい関係づくりや、発電機や消火栓がある場所などの確認につなげる。
 避難ルートでのマラソン大会、成人式での消防団活動周知、給食で非常食体験、入学時のオリエンテーションで避難ルートを伝えるなどの様々な機会をとらえた取組のアイデアが発表されました。

 ■防災の日を祝日に
 東日本大震災(3月11日)など大災害が発生した日や、地域での災害が起きた日を地区ごとに指定して、祝日とするアイデアです。災害を風化させない、防災意識を高めるなどのために考えられました。
 休日にすれば、家庭や地域で、防災について「話してみよう」「やってみよう」という気になる。地域それぞれの災害の日を休日にすることによって、家庭やご近所や、地域の中で防災についてお話をしてみたり集まる機会とする。そして、その日は、楽しく防災、減災を考えたり気づくきっかけ、そして日ごろからの協力体制をつくる。そのため、主婦やお年寄りの活躍も考えながら、非常食の食事やレシピづくりのコンテスト、家庭や地域で防災・減災の話し合いや、かまどベンチやマンホールトイレを体験する企画などの取組のアイデアが発表されました。

■住民登録時の防災教育
 新しく住まれた、あるいは他の都市から来るなど新しく住民になる機会をとらえて、顔の見える関係づくりと地区の詳細な防災情報の提供、そして実践してみる!を目指して展開されたアイデアです。「顔の見える関係づくり」を中心に、「情報提供」「日常の備え」などをキーワードとして、様々なアイデアがまとめられたものです。
 日頃からの取組として、外国人や新しく住まれる人に「地区」の詳細な災害情報を伝える情報発信ツールを作成する。これは、細かい単位で防災情報や災害履歴をまとめた防災マップなどが考えられたそうです。また、地区内在住の防災士や専門人材による自治会等での定期講習の実施、町内会長等が主体となって住民情報更新を行うこと、まち歩きツアーなどの実施のアイデアが発表されました。

■流して食べて逃げる会
 水の恐ろしさを知り避難を目指す場所やその安全性を考えるため、自治会や学校の授業などで、水害をシミュレーションするイベントのアイデアです。天気予報の理解や、雨量を実感することができるとともに、防災訓練の一環として、また非常食の更新など様々な効果を狙ったものです。
 日頃からの取組として、地域の川に見立てた「流しそうめん」の実施が提案されました。
 川の流れや障害物(流木)を再現したり、水の速さや竹の幅を変えたり、楽しみながらも水の恐ろしさを知る仕掛けを作る。また、非常食となるそうめんの更新にもつなげていく。そしてガスコンロを使うなど、災害で電気などが使えないときの条件で調理をするなど訓練も兼ねる。楽しく防災に触れることのできる、様々な取組が提案されました。そして、隣近所を知ることや継続すること、雨雲レーダーをきちんと見るなどの取組も示されました。

交流

ワークショップの最後に、参加者が輪になって、ワークショップに参加しての「私の一言」を発表しました。
 「家族で防災について話す。できることからやる」、「自分の家の近くだけではなくて、見落としがちな職場、学校の周りと、そこまでの経路上のハザードマップ、避難場所も確認」など、自分ごととする考え。
 「防災は、地域の力の試金石」、「災害と防災を知る、伝える、伝道師になりたい」「いろんなアイデアを持ち帰って、楽しく、新しい視点で防災を伝えていきたい」など、地域に広げていこうという思い。
 そして「来て良かった」、「半井さんの話で、天気予報を見るのが楽しみ」など、出会いやワークショップによる気づきが発表されました。

クロージング

話題提供者の半井氏から、それぞれのアイデア発表が具体的に実現できそうな案であり、参加したくなるものであったこと、そして、皆さんが考えられたということが本当に大切なことであり、地域のリーダーとして活躍していただきたいとのお話がありました。続いて、有識者の宇野沢氏より、今日の出会いを大切にし、ネットワークを広げていただきたいこと、そして、災害について自分ごととして身近なことに根差して考えていってほしいとのお話がありました。
 参加者の一人一人が、自分ごととして災害時に備えるための取組を考えていただくことにより、ご近所~地域で、平時の防災・減災の取組を考え、広げていただくきっかけとなる貴重な機会となりました。

#つながり #コミュニティ

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