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国土強靱化:私のひとこと special.21

いざという時も支えあえる、つながりの育み方
レジリエンス×人のつながり

(国土強靱化ワークショップ(第8回))

平成30年2月10日、大阪会場において、本年度8回目の開催となる平成29年度国土強靱化ワークショップを行いました。
 大阪会場でのワークショップは、「いざという時も支えあえる、つながりの育み方」レジリエンス×人のつながりをテーマとし、日頃から防災・減災に関する取組を行っていたり、関心をお持ちの多様な方々に参加いただきました。


国土強靱化ワークショップ【大阪会場】参加者の集合写真

話題提供: いざという時も、支えあえるつながりを育んでいくためには?

話題提供として、株式会社Studio-L代表取締役でコミュニティデザイナーの山崎亮氏から、「いざという時も、支えあえるつながりを育んでいくためには?」と題して、お話しいただきました。ハードルが高いと思われがちな防災・減災について、人々が、自分ごととして楽しく参加し、主体的に取り組んで行くための、ヒントと気づきとなるお話をいただきました。

ひとつ目は、鳥取県の智頭町の総合計画づくりのお話でした。総合計画を改訂する際に行った住民参加のワークショップでは、住民一人一人が、これまで、そしてこれからの自分の人生と、智頭町が実施している施策との突き合わせを行うことにより、行政が行う施策に関する「自分ごと」としての議論や取組につながった話題でした。
 ワークショップでは、長い「巻紙」のような紙を一人一人に用意し、全体の人生の全期間として、各期間に該当する部分に本人のこれまでの人生の履歴を書き出したそうです。そして、今の自分の年齢の所に線を引いて、線から先は未来の人生の計画を書きます。次に、智頭町が実施している施策を、対象者の人生の年代に書き出した「巻紙」と突き合わせ、自分のライフステージ(人生の段階)と、町の行政計画や施策がわかるようにしました。目で実際に、現在そして自分が思い描く未来と、町の10年計画や施策を照らし合わせるわけです。これにより、自分ごととして、町の施策を考えてもらい、建設的な意見や取組につながる機会となったとのことでした。

さらに、智頭町のもう一つのワークでは、24時間の理想とする使い方が似ている人たちとチームをつくり、一緒に何をやるかを話してもらったそうです。そうすることで、気が合う仲間のチームが作られ、実際にまちづくりの活動が始まりました。行政は総合計画の中に、それをサポートするという項目を位置付けて、町民が実際に活動するのを行政がサポートできるようにしました。
 そのほか、住民が自分に関わる様々なことを自分ごととして考えやすいよう、地図のサイズを統一した「智頭の地図帳」づくりなど、自分ごととしての取組につなげていくためのヒントや気づきに満ちたお話でした。
 ふたつ目は、北海道根室市のお寺で、コミュニティ活性化のためにお寺を活用しようとする活動の話題でした。
 お寺に、もともと宗派が違うなど、普通なら来ない人などを集めてワークショップを行いました。ワークショップでは、お寺は敷居が高いということで、皆さんにとって敷居が低い入りやすい施設はなにかを考えてもらいました。みんな一致で「カフェ」が入りやすいということで、寺を活用して、カフェにすることになりました。
 お寺の朝と夕方のお勤めの間、そして夜の空いた時間で、お堂を使って、おしゃれな畳の和風カフェにしていく。ワークショップでは、人生90年時代にやりたいことを出し合い、カフェのイベントなどを考えていきました。ヨガをやりたい、セラピー手芸をやりたい、また、人生90年時代を考える映画を上映したい、など多数のテーマが出て、それぞれチームを作り取組を考え、実行していきました。
 ある参加者の方は、はじめはご主人を亡くされたばかりで、ふさぎがちで意見も出なかったのですが、映画上映のためのスピーカーがなくみんなが困っていたら、ご主人の趣味であった音響機器の提供を申し出、それからとても熱心に活動をするようになったそうです。その方は、「あの時私の人生が変わった」と言ってくれたそうです。
 地域の人たちが、ハードルが高く取り組めないことでも、身近なやりたいことをテーマとして、仲間を作り、仲間と一緒にやりたいと思えると、ハードルを乗り越えられるのではないか。「防災・減災」についても一緒に何かをやりたいとなると、より多くの方々が自分ごととして取り組み、継続していくための、ハードルを越えたり、下げていくことが出来るのではないかとの、ヒントと気づきに満ちたお話をいただきました。

参加者対話:つながりを育むために大事なことは?

山崎氏からの話題提供を受けて、「つながりを育むために大事なことは?」について印象に残ったことなど、グループごとに対話を行いました。
 1班では、防災の土台になるコミュニティについて、地図、ラテアート、寺などを使って遊んでいるように見えながら人と人とのつながりをつくっている、デザインしているように見え、まちづくりへの見方が変わったという話が出ました。また、最近、隣人とあいさつしていない、日本、大丈夫?という話になりました。

2班では、山崎さんからお聞きしたお話はどちらも地方部で、ここは大都会なので、もっとふれあいが少ない、という話が出ました。また、智頭町の地図帳はすごくいい、という意見が出て、大阪市が作ったハザードマップは見てもよくわからない。わからないから、各戸に配布してもらってもすぐ捨てられてしまう。さらに、都市部では住んでいる所と、普段昼間にいる所が離れている。会社では帰宅困難者の対策はよく考えているけど、本当にそれだけでいいのか、会社と近所の町内会は連携が取れているかなどのお話になりました。
 3班では、山崎さんのお話を伺って、自分事にするということ、仲間をつくるっということが大事だという意見が出ました。それで仲間をつくって自分事にしていって、いろんな人と人が集まっていく空間をつくる中で多様性があるいろんな人を包括しながらつくれるようなコミュニティがすごく大事で、これが防災、減災につながっていくという話、また、アウトドアが結構防災に役立つという話の中で、防災は強制感、怖いっていうイメージから入って、強制的にやらされているような感じがするから、やっぱり楽しくおしゃれにやったら防災も楽しくなるのではという話になりました。
 4班は、山崎さんは、何も考えてないように始めて、実はきっちり仕立てて話しているという話があり、ぜひ山崎さんに、うちにも来てもらって、防災中心のコミュニティをやってくれたら、どんなふうになるのだろう、やはり、難しいものをいかに身近にするか、動機付け、興味を持ってくれる仕掛けをどうするか、で、動きだすまでは大変だけども、動きだしたら住民主体で進んでいくだろうという話になりました。

スケッチブレスト: つながるアイデアを楽しいスケッチで広げよう!

各人の今の状況を、エンパシーマップを使いながら、自分が今いるつながりの中で、防災をどんなふうに感じているのかを話し合いました。エンパシーマップは、テーマについて、自分が見えるもの、今考えていること、言っていること、していること、気になっていること、欲していること、恐れていることなど、現在の状態を一枚の紙に書き出していくものです。
 このマップに記入することで、自分がいまどんな状態か、自分が考えていること、欲していることは何かが明確になりました。例えば、現在していることとして、各班では、物資の備蓄や防災グッズの購入、非常食の研究、地域の歴史の調査など、個人での取組が多く、つながりを持つ取組が少ないことがわかりました。

ポスター作成:いざという時にも支えあえるつながりを、ポスターに描こう!

コミュニティに防災を取り入れるために、ハードルを下げる工夫を3点出し、その工夫のためのアイデアを考えて行きました。1枚の紙にひとつずつ書き、どんどん紙を増やしてアイデアを出していくというワークです。缶詰パーティや防災婚活など、防災と人とのつながりが融合したアイデアが数多く出ました。

発表:普段もいざという時も活きるつながり、育む工夫を発表!

ポスター発表の後、グループごとに「普段もいざという時も活きるつながり、育む工夫」について、発表し共有化しました。
 1班は、あなたの力を防災にお貸しくださいという、防災雑誌を発刊しようという案にまとまりました。
 各地域にいる防災士さんの顔が見えてこないし、誰か分からない、また、災害時には若い人に手伝ってほしいけど、学生さんは普段からコミュニティに入ってもらえないし、学生側も実際そのコミュニティに入っていいのかどうか分からないという不安を解消するために、防災雑誌を作ることにしました。この雑誌は裏表があり、表は全年齢向けの、ちょっと硬い感じで、裏面は、ちょっとおしゃれな感じにして、若い人とか女性とかでも入っていきやすいような見た目にするというアイデアでした。簡単にできる防災の非常食とかいう、料理のコラムや災害時に役立つ人材募集など、情報雑誌として誰にでも手に取りやすい内容を載せてはどうかということです。

2班は、「缶詰on theおにぎりパーティ」というアイデアでした。これは、昼はみんなで缶詰を使って、おにぎりを使って、集まってみんなでパーティをして、わいわいとやるというもので、夜はこの缶詰を使って、ちょっと一杯できるような、缶詰バーをするというアイデアです。
 ハードルを下げるために、そもそも防災と言っていないというところ、始めはパックご飯と缶詰など、非常に手軽にできること、これに合わせて、この缶詰を具材にするとおいしいぞコンテスト、缶詰コレクターなど、やりだすといろんな人を巻き込めるというアイデアです。
 これで災害時にも炊き出しがスムーズに行くし、おいしかったら、缶詰をいっぱい買いだめておいて非常時に備えておくことができ、また、おにぎりを作り慣れておくと災害時も配りやすいということ、また缶詰自体もいろいろな種類が増えると非常時に飽きずに食べられるということもあるそうです。

次の班は、防災ピクニックというアイデアでした。普段は仲良しご近所の家族、数組が、缶詰や防災グッズを持って途中で避難コースもみんなで通り、家族みんなの避難場所を決めながら歩き、最終的には、山の上に行って宴会をする。いざというときには、そのままの格好で逃げればいいということです。ポイントは子どもと一緒に、子どもに教えてもらうと、それから商店街イベントと絡めて準備する。で、それが宴会になって、お父さんも一杯飲めるというアイデアです。
 もう一つ、防災マラソンっていう案も出て、いざというときに逃げなければならないので、体力をつけるため、絵に描いたように、あのときのコースで行けば助かると、ご近所が結果として仲良くなれる、いつもバラバラだった家族がこの新しい缶詰ができ、山の上でしか食べてはいけないということにしておけば、また何回も訓練ができる、いうことで結果として楽しみながら防災を意識せずに、結果として防災につながるという提案でした。

最後の班は、防災B級グルメ、やっぱり食べることが人間の基本なので、食べることであれば、普段引きこもってる人もその匂いに誘われて出てくるという、匂いで誘うようなイベントを年1回、2回やるというアイデアです。
 B級グルメのグランプリを目指して、最終、全国大会まで行くため、地区予選、団地の集会所、公民館などから始まって、次に市長杯、知事杯をいただいて、それから全国大会と、総理大臣杯などと進むしくみです。ポイントとしては、これは非常食であるためポットラックして、材料は持ち寄って作るという点、チームを作ってみんなで作るという点です。
 ご近所でつながるきっかけにするため、高齢者、外国人、また普段から集まってるような人たちが、一つのチームをつくることによって、一緒にこのB級グルメを作るプロセスを通じて仲良くなって、もしものときのために、こういう顔見知りの関係がご近所に生まれるのを期待したいということです。

各班の発表のあと、防災のハードルを下げるため、それぞれが持ち帰りたいと思った工夫を、1人1個、A4の紙に書きました。そのあと、全員が輪になって読み上げました。

「普段から」、「楽しむ」、「仲間とつながる」、「食べる」、など、それぞれ特徴のあるキーワードが出ていました。

最後に、ハードルがどれぐらい下がったか、という高さを体で表しました。皆さんのハードルがかなり下がったようでした。

話題提供の際に山崎氏が話されていた、「いざという時も支えあえる、つながりの育み方」に取り組むための、ハードルを下げるアイデアを発見できたワークショップとなりました。

#つながり #コミュニティ

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