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「国と地方の協議の場」議事要旨



日 時:平成16年9月14日(火) 16:30〜17:40

場 所:官邸2階小ホール

出席者:

<政府>内閣官房長官細 田 博 之
総務大臣麻 生 太 郎
財務大臣谷 垣 禎 一
経済財政政策担当大臣竹 中 平 蔵
文部科学大臣河 村 建 夫
厚生労働大臣坂 口  力
農林水産大臣亀 井 善 之
経済産業大臣中 川 昭 一
国土交通大臣石 原 伸 晃
環境大臣小 池 百合子
沖縄及び北方対策担当大臣茂 木 敏 充
 
<地方六団体>全国知事会会長梶 原  拓
全国都道府県議会議長会会長上 田 信 雅
全国市長会会長山 出  保
全国市議会議長会会長片 山  尹
全国町村会会長山 本 文 男
全国町村議会議長会会長中 川 圭 一

議事:

1.開 会

2.地方六団体「国庫補助負担金等に関する改革案」について

3.意見交換

4.閉 会



(内閣官房長官) それでは、時間でございますので始めさせていただきます。
 本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
 まず、私から本日の趣旨を申し上げたいと思います。基本方針2004を踏まえまして、地方六団体から「国庫補助負担金等に関する改革案」を提出していただき、8月24日の経済財政諮問会議において御説明いただいたところであります。その際、皆様が御承知のとおり、総理より官房長官を中心にして協議機関を設置する旨、指示がありました。
 これを踏まえまして、本日、第1回目の「国と地方の協議の場」を開催することとさせていただきました。
 まず、政府としての取り組みを簡単に紹介させていただきます。
 お手元の資料にありますように、9月3日の閣議後の閣僚懇談会におきまして、総理から「三位一体の改革については、内閣官房長官を中心として、総務大臣、財務大臣、経済財政政策担当大臣を始め、関係各大臣が互いに協力し、政府一丸となって11月半ばを目途に全体像のとりまとめに当たってもらいたい。改革の検討に当たっては、地方からの改革案を真摯に受け止め、関係各大臣は、改革案の実現に向けて率先して、責任を持って、全力で取り組み、平成17年度予算に最大限活かしてもらいたい。」との指示があったところであります。
 また、総理指示を踏まえ、お手元の資料にありますように、9月7日に三位一体の改革に関する大臣会合を開催し、私から関係各大臣に、政府一丸となって、地方からの改革案の実現に向けて全力で取り組んでいく旨申し上げたところであります。
 それでは、まず、地方六団体から今般提出していただいた「国庫補助金等に関する改革案」の基本的な考え方について、説明をお願い申し上げます。
 簡潔にお願いいたします。

(全国知事会会長) 全国知事会の梶原でございます。私から簡単に御説明いたします。
 お手元に改革案の概要という資料がございまして、その3ページに経過がございます。
 昨年の三位一体改革で深刻な打撃を受けまして、各自治体が5月25日、日本武道館で総決起大会を開催いたしました。
 知事、市町村長、それぞれの議長さん本人が、これだけ集まった大会は有史以来でございます。それだけ、深刻な打撃を受けたということでございます。
 その後、骨太の方針が出まして、税源移譲はおおむね3兆円規模を目指すと。それに見合う国庫補助金負担金の改革の具体案ですね。6月9日、内閣より御要請がございまして、地方団体もこれを契機に一つ積極的に取り組もうということでお受けをしました。
 それからが苦難の始まりでございまして、実に紆余曲折を経まして、8月19日、下の方にございますけれども、地方六団体が最終合意をいたしまして、8月24日、内閣総理大臣へ改革案を提出いたしました。そういうことでございます。
 1ページに戻っていただきまして「1 改革案を提示するに当たっての前提の条件」。勝手に国の方でいいとこ取り、つまみ食いされては困るということで、六団体共通の意見で、国と地方の協議機関の設置が大前提であると。
 そして、個々の事項についても確実に実行することが前提条件であると、こういうことで、この前提条件を満たさなければ、我々の改革案は提出しないということが決まっておりました。
 そこで8月24日、総理にお会いしたときに、この2つの前提条件について、いい御返事をいただきましたので、その場で正式の改革案を提出したと、こういう経緯でございます。 
 2に「『三位一体の改革』の全体像」というのがございますが、我々の考えでは、18年度まででは中途半端であって、やはり第2期を想定しないと全体像が明らかにならないということで、8兆円程度とか、そういうような目安を打ち出しております。
 3にございます「平成17年度及び18年度における国庫補助負担金等の改革」では、移譲対象補助金として3.2 兆円と、税源移譲額は3兆円程度と、こういうようにいたしております。
 2ページにまいりまして「(2)移譲対象補助金の内容(内訳)」、これは例示でございますが、既に御承知のとおりで、いちいち説明はいたしません。
 税源移譲は、個人住民税の10%比例税率化によって、所得税から住民税へ3兆円程度移譲すると、こういうことでございます。
 (4)は交付税措置、これは特に市町村長さん方、あるいは市町村議会から非常に強い要望がございまして、交付税による財源措置は絶対にやらなければいけないと、こういうことでございます。
 国の直轄事業負担金は廃止すべきであると、当面、維持管理費の直轄事業負担金は早急に廃止すべきだと、こういうことでございます。
 (6)にございますが、地方側も一生懸命行財政改革をやるけれども、国側も行財政改革を同時にやってくれと、こういうことでございます。
 4ですが、金の方だけではなくて、非常に国による統制が厳しいものですから、過剰な関与・規制の見直しをすべきだと、こういうことになっております。
 4ページにまいりまして、共同声明がございます。
 我々が政府からの要請を真摯に受け止めて、そして一生懸命改革案をまとめました。いろいろ意見がありましたけれども、小異を捨て大同につくという観点から、共同案を提示いたしました。
 これは、真の地方分権改革を推進しようという、損得勘定ではなくて、そういう姿勢でとりまとめをしてまいったと、こういうことでございます。
 国におかれましても、既に地方分権推進の国会決議とか、地方分権一括法の経緯がございまして、そういう精神で我々の案を真摯に受け止めるべきであると。誠意を持って、これから協議を進めながら、改革の全体像を速やかに提示して、当面、平成17、18年度の改革を着実に推進すると。それだけにとどまらずに、平成19年度以降も更に、地方分権改革の本旨にかなった改革を行うよう、強く求める。
 こういうことで、六団体一致して、これは歴史上かつてないことですが、共同声明を出すと、こういう運びになったということでございます。
 お手元に今、お配りをしたと思いますが、こういう改革案をまとめた背景、我々の気持ちですが、これを「協議に当たっての基本姿勢」ということで、地方六団体がまとめたわけでございますが、このたび、地方六団体が結束して立ち上がったというのは、従来型の陳情・要望団体から脱却して、三位一体改革を契機に地方から日本を変える、その同志として結集したということでございまして、これなかりせば、共通の改革案はまとめ切れなかったと、お互いに、2にございますように、損得勘定で話し合いをしておればまとまらなかったと。そういう基本精神だからこそ、国のためだからこそ、小異を捨てて大同につくという精神で、一本化が図られたと、この経緯を十分御理解を賜わりたいと。
 今回、いろいろ異論もありますけれども、とにかく全国3,152 、現在、若干合併で減っておりますが、その都道府県、市区町村が結束したということ。これは自治体の集合体がイコール日本だというふうに考えますと、これは経済財政諮問会議でもお話ししたんですが、日本そのものであると言ってもいいと思うんです。日本そのものが立ち上がったというふうにお考えをしていただきたい。
 我々がそのように立ち上がった地方分権改革の目的、理念というものは、まず、余りにも中央に集中している権限、財源を住民に近いところで、今、情報公開、住民参加を地方自治体はやっておりますが、そういうところに移して、有権者、市民にとって透明で明朗な政治・行政に変えるということです。余りに中央にいろんなものが集まってしまうと、闇の世界が出てくる。いろいろ不祥事が起こる。こういうことがあっては相ならない。権限・財源の独占というのはよくないんで、これを共有する方向に持っていく。
 既に国連で世界地方自治憲章の案がまとまっておりまして、たまたま中国・アメリカの反対で日の目を見ておりませんが、そういうものが既にあるわけです。これがグローバル・スタンダードの地方自治だということでございまして、そういう方向に日本ももっていかなければいけない。
 それから、2にございますように、地域は余りにも拘束されている。ここに自由を与える。市民がどんどん政治・行政に参画できるかというと、中央に権限・財源が集っていて、いろいろ言ってみたって声が届かない。そういうことではなくて、本当の意味の市民の権利を拡大していく。そうすれば、地域、あるいは個人の潜在能力がどんどん顕在化して生き生きとした日本列島になっていく。
 2ページにございますが、現状は中央官庁による画一、縦割り、過剰干渉の現体制でございます。それではまずいので、地域ニーズに応じ、生活者の立場に立って、多様で水平的、機動的な住民サービスを提供できる体制に変えていくということでございまして、縦割りが、生活の現場まで貫徹されているということで、多機能な小規模施設をつくっていこうと思っても、国から金は出ない。勝手にやれという状況でございまして、無理して国の基準に合わせてやろうとする。ここに大きな無駄が出ておりますし、地域の住民ニーズには決して合わない。これが現状でございます。
 (4)にございますように、現行の「護送船団体制」、地方も国に甘えているという面がまだ残っておるわけですが、そういう体制を変えて、日本全体を自己責任体制に持っていく。自治体も甘えの構造の中で安住していない、お互いに競争して、しっかりやらないと、次の選挙で落ちるという競争原理が働くように持っていく。
 そうすると、全体として公的部門のスリム化が図られていく。これこそ究極の財政再建だと。経済財政諮問会議でもお話をいたしました。
 大きく産業構造の変革ということを考えると、工業社会は確かに集権型がよかったんですが、今や情報社会に移行しております。これは明らかに分権型の方が生産性が高い。これは経済原理、あるいは情報社会における生産性を考えると当然のことでございまして、我々はこのような次元で日本を改革しようということで結束して立ち上がったと。そのことをよく御理解をいただきたいと思います。
 5にございますように、自民党のこの間の部会でも、何か地方に任せるとろくなことはないとおっしゃることがございますが、我々も国会議員と同じ共通の有権者から選挙を受けて出ているんです。何ら変わるところはないんです。我々を馬鹿にするということは有権者を馬鹿にすることではないか、こういうことだと思うんです。
 そういうことで「国を想い、国を創る」、自民党のポスターにもありましたけれども、その気持ちは共通でございます。
 したがって、官僚ペース、官僚というのは選挙の洗礼も受けていない。国民に直接の責任を負わないという立場なんです。そういう官僚ペースではなくて、国民に直接責任を負う政治家として、共通の基盤に立って議論をしてまいりたいということでございます。
 あくまでも地方だから、自治体だからということで馬鹿にしないようにしてもらいたいということです。
 6にございますが、私どもも、国家財政に重大な関心を持っております。中で議論しておりましても、国家財政大変だなと。何とか協力したいという気持ちは皆持っているんです。しかし、協力しようにも、国と地方にお互いの信頼関係がなければ、協力のしようもないんです。その信頼関係を確保するということが大前提だというふうに思っておりまして、この協議の場を設けていただきました。この場こそがお互いの信頼を築く場であると私どもは考えておりまして、そういうことはないと思いますが、万一、背信行為があれば、我々はすべてから撤退するという考え方でおります。
 3ページ、政府与党において、地方の行財政に対する不信の念があると聞いております。地方は怠けておって、無駄をしているということも聞きますけれども、今、自治体は一生懸命改革努力を進めております。人員を削減したり、一生懸命やっているんです。この一方的なデータとか情報で宣伝合戦をやらないようにしたらどうかと思うんです。これは感情的にはよくない結果を招くと思いますので、もしよろしければ、客観的、公平的な方法で共同調査をしてもよいと考えております。
 それから、国はどうだ、地方はどうだ、公的部門を分けて国民に向けて発表していったらどうか。今年度は公的部門、国は1.9 %の増で、地方は1.8 %の減だとか、そういうことは国民に分けて発表してもらった方がいいのではないかと思うんです。それぞれが競争して、改革をして、行政のコストダウンをやっていく。その成果につき国民の判断を仰ぐということが望ましいのではないかと考えております。
 個々の事務・事業が必要かどうか。後から話も出るかと思いますが、随分と関係官庁のお役人から嫌がらせ、脅しが頻発しておりまして、みんな困っているんです。そんなことを言っていたら金なくなるぞ、仕事がなくなるぞということで、各個撃破でどんどん今、各官庁のお役人が動いている。その情報はまとめて官房長官に提出したいと思っております。
 官僚がそんなことをやっていいのかと思います。この自治体自身の合理化はどんどんやらなければいけません。財源カットがあれば、何とか自分の内部でやりくりして、住民に影響がないようにしたいというのは、みんな知事も市町村長も議会議員も同じ気持ちなんですけれども、限界を超えたら住民サービスをカットせざるを得ないです。ですから、仕事がなくなるぞ、財源がなくなるぞ、そんなことを官僚がとやかく言うことではない。そういうことになれば、住民サービスをカットするわけなんだから、政治の問題なんです。
 そういうことをおやりになるのであれば、国政選挙でそういうことになるけれども、辛抱してくれということを選挙民に明らかにして、選挙で審判を仰いでいただきたい。行政の問題ではなくて政治の問題ですから、是非その点も御理解をいただきたい。
 以上いろいろ申し上げましたけれども、とにかく我々地方六団体はいろんな意見がある。いろんな立場がある。そういう中で、多くの困難を乗り越えて、やはり日本をよくしたいという気持ちで改革案をまとめたわけでございます。
 先ほど官房長官もおっしゃいました。先般、総理もおっしゃいましたが、政府におかれましては、真摯に受け止めていただいて、是非、我々も苦労して地方六団体案をまとめたんですから、政府側も今度は御苦労いただいて、改革案をおまとめなさって、この場に御提案をいただきたいと思います。
 したがって、今までもいろいろな各省庁、あるいは党の部会等で御意見がございましたけれども、一切個別に私どもと議論をするということはしないというルールにしてまいりました。
 そういうことで、是非我々の一生懸命つくった改革案というものを真摯に取り組んでいただきたい。そのことを重ねて御要望申し上げて、今日の説明にさせていただきます。よろしくお願い申し上げたいと思います。

(内閣官房長官) ありがとうございました。ただいま基本的なお考えについて御説明がありましたが、誠にそのとおりであり、我々の目標は一致していると思っております。
 次に、今日は関係大臣すべて出ておられますので、補助事業等を所管している各大臣からそれぞれのお話、お考えを簡潔に説明するようお願い申し上げます。始めに文部科学大臣お願いします。

(文部科学大臣) 今、梶原会長さんから基本的なお話を伺いまして、大変御努力をいただいたことに敬意を表したいと思います。
 ただ、この問題については、文部科学省として特に義務教育の問題がありますので、これは国家の基本に関することですから、どうしても申し上げておかなければいけないと思っているところです。その前に官房長官に、これは協議の場でこういうことを言うとあれですけれども、この議論はこれからどういうふうになっていくのか確認させていただきたい。今日意見を聞いて、しっかり受けとめよと総理からも言われておりますが、しかし、義務教育のような大きな問題でありますから、そもそも論も入れていかなければなりません。
 新聞によっては、総理は丸投げしたんだから、丸のみすればいいんだという乱暴な記事も見かけました。そういうことではないですね。これは最終的に国会が決めなければいけない。例えば義務教育のことであれば、義務教育費国庫負担法の改正を国会にかけなければいけない。これは所管大臣として責任を持ってこれに対応しなければいけない課題になってまいります。これまでも三大臣が、教育は大事な問題だということで積み重ねたものがございます。その場を設けてもらいたいということをこれまでたびたび申し上げてきておりますが、そういう手順を踏んで、今、我々の方から内閣の方から球が行った、それを今投げ返していただいた。今度は、我々がきちっと決めなければいけないことでありますから、その議論をきちっと踏まえたものでなければいけないと思っているわけですが、その点は官房長官きちっと対応しながら進めていただけるわけですね。

(内閣官房長官) そうですね。テーマごと、あるいは各省の問題ごとに、さまざまな経緯や問題点がございます。例えば、今言われた教育の問題については、三大臣の経緯もございます。また、官房長官の下で議論を尽くすということも必要であると思いますし、この会議の場でそれぞれ意見交換をすることも必要でございます。
 精力的にあらゆる問題を議論していきたいと思います。

(文部科学大臣) 特に文教関係は15項目の御指摘をいただいております。この中でも一番大きいのは義務教育費の国庫負担金及び公立養護学校の問題。特に中学校の教職員8,500 億となっております。この問題だけでも、実は知事会でもこの問題については、徹夜してまでおやりになったことでありますから、これを考えてみても、今日、3分や5分や1時間でやれと言ったって、とても無理な話でありまして、このことを踏まえて対応していただきたいと思います。せっかくの機会ですから、私が改めて申し上げることではないかもしれませんが、義務教育の問題については、十分踏まえた上での御議論だと聞いておりますけれども、もう一度ここで申し上げますと、やはり義務教育というのは、どう考えてみても、これは国家の土台になっている。ここが中心になって、国家の将来を左右する。国家百年の大計はここにあるということになると、国の責任というのは非常に私は大きいと思っております。しかも、日本の義務教育制度、人材確保法というのは世界の国でどこも持っておりません。教育大臣会議などに出ていますと、必ず我々に対して日本はどうやっているんだと。これを真似ていきたいと言っております。
 確かに国家公務員でやっているところもある。しかし、梶原さんも新聞などで御指摘になっているが、イギリス型のように地方公務員でやっているところもある。しかし、これもイギリスのサッチャーのときに、そうは言って地方に任したんだけれども、地方がなかなか財政がうまくいかない。だから、今やイギリスだって75%は、身分は地方公務員ですが、国が財政措置をしている。特定財源でやっております。
 そういうことから考えると、この義務教育の根幹を崩すことがあってはならない。国の土台を揺るがすことになる。義務教育はどうやったらいいか。国の役割、地方の役割、私はこの義務教育国庫負担制度というのは、確かに補助金というのがあるけれども、国が負担すべきお金であって、この制度を廃止して仕組みを変えたからといって、教育は自由にやれるかというと、そういうものでもない。
 文部科学省も、これまでどちらかというと、箸の上げおろしまで言うんだと言われる。これではいかぬということで総額裁量制というのは、お金の心配がないようにしながら、できるだけ地方の自由な取組を可能にした。学校設置は地方の事務だという話が出たそうでありますが、もともとこれは地方の事務なんです。学校を設置し、これをやっていただくのは地方でやっていく。地方のやり方を文部科学省はしっかり支援をしていく立場だと思っておりますから、私はしっかりこれでやっていただければ、この制度を変えなくても十分今の教育はやっていただける。これが残っていると、まだしっぽが残ってとおっしゃるけれども、むしろ心配なのは、これだけの教育の問題をやるときに、財政の心配があってはならないと思うんです。それで国家戦略として教育はどうあるかという議論を我々もしないと、これは国の責任において、私も所管大臣としてこの問題は決めさせていただかないと、私も地方議会の出身ですから、いちいち国にお百度を踏まなければ物が進まないというのはおかしいということは絶えず言ってまいりました。そのことと、教育の制度をきちっと維持していく、義務教育の根幹を守っていくということは、私はちょっと違うと思うんです。これは憲法の要請もありますし、無償制の問題を始め、水準を維持していくという問題。これは地方がしっかりやっていただくのは当たり前なんです。しかし、教育のレベルは国がどういうふうに維持するかというのは、国が考えていかなければ。しかし、地方でそれぞれのレベルを決めてもらってばらばらというのは国の一体性からいっても、いかがなものか。国の役割というのはそこに私はあると思います。
 したがって、知事のみなさんの熱意というのはよくわかる。梶原知事が岐阜県で進んだ教育をやっていることは私も承知しております。だから、信じないというのではありませんが、梶原知事と違う知事が梶原知事と同じようにやるかどうか、これは保証の限りではない。そんなことを言うと切りがありませんが、国会議員だってそうだと言われればそうかもしれませんが、こと義務教育の影響の大きさを考えると、この根幹をいかに守っていくかということがこれから非常に大事になってまいります。貴重な提案をいただいたわけですから、義務教育はどうあるべきかというそもそも論は三大臣、官房長官も入っていただいて、どうこれを受け止めたらいいかときちっと議論をさせていただきたい。今、梶原知事も皆さんもおっしゃったように、これは確かに税源移譲をするかどうかわからない。財務大臣もここにおられますが、本当に財務省はきちっと3兆円移譲するとはまだおっしゃっておりません。どうなるかわからない。これは保証がないんでありまして、しかも、足らない分は今のままでいったら、交付税に依存することは明らかであります。
 交付税が来るということは、これ現ナマではありませんから、地方債の発行もあって、借金はたまるばかりの現状となります。これでかつてだまされたと言われるけれども、今、また同じことがされる可能性があります。義務教育国庫負担制度というのは現ナマがきちっと教育費として行く制度ですから、これほど安定したお金はないと思うんです。
 これを地方分権の名においてそういうふうにおっしゃるけれども、教育というのは地方分権の最たるものだと思っていますから、このことについて私は非常に不可解に思っておるんです。
 日本は教育をこれまで非常に大事にしてきた。梶原知事が私の部屋に最初にお見えになったときにこれをいただいた。私、この前、総理にもお見せしました。総理も眼鏡を外して、このころからこんなすごいことを言っていたのかと感心されておりました。
 「地方分権丈夫なものよ、ひとりあるきて発展す」「中央集権は不自由なものよ、足をやせさし杖もちふ」と。これは中央集権をやり過ぎるとだめになるよと。これは立派なことです。
 「国民諸君はいずれの姿を望むや」というんですから、これは普選の第1回の総選挙でやったことです。
 私もこれをいただいて、なるほど昭和3年からこういうことでやってきた。この考え方は今まさに本格的に我々取り組もうとしている。しかし、これをずっと読んでみると「地租を市町村に移せば恒久財源を得て、市町村民の負担が軽くなり、従って地方は発展す」と書いてある。
 「地域狭き町村については、例外を設け、教員の俸給を補助す」と書いてあるんです。教育については、この当時から大事だということ。このことは「補助す」と書いてありますから、これを今に当てはめれば、財源の少ない地方の、県を挙げては怒られるかもしれませんが、島根、鳥取、高知というのは財源が少ないですから、補助しなければいけない。
 そういう考え方に立ったとき、この義務教育国庫負担制度というのは、重要です。戦後、いろいろ考えて、一回やめたけれども、しかし、今の国庫負担制度は議員立法でやっておりますから、国会が責任を負っておるわけであります。これだけの重大な問題であることは、是非御理解をいただいて、我々でしっかり議論をさせていただいて、国の義務教育の方向を誤らないようにしたい、このように思っております。
 知事のみなさんの熱意、これは私は高く評価するものでありますが、こういう大きな問題であるということは、改めて御認識賜りたいと思うわけであります。

(内閣官房長官) ありがとうございました。厚生労働大臣お願いします。

(厚生労働大臣) それでは御指名でございますので、私の方から少しだけ意見を言わさせていただきたいと思います。
 いずれにしましても、地方六団体、これをおまとめになったのは大変なことだと思うんです。それぞれのお立場があるわけでありますから、県と市と町村と、それぞれまた違うわけです。そこをおまとめになったことに敬意を表しております。
 率直に申しまして、厚生労働省の方も、かなり額が多いものですから、一体今後どうしていくかということでございます。
 その前に、これは全体に関わる話でございますが、国がどの部分を持ち、また地方がどの部分を持ってもらうかというあらあらの基準と申しますか、あらあらの線引きと申しますか、歴史があることですから、縦に線を引いたようにはなかなかいかない。少し幅のある話だと思うんです。少し幅があって、多少は歴史も踏まえていくということはあるにしましても、一応、国は何を持ち、地方は何を持つかということの、一遍、線引き、基準だけは少しつくって、それで議論を進めないと、なかなか私は議論が前に進んでいかないと思うんです。これは厚生労働省の立場で見ておるわけではなくて、全体としての私の意見でございます。
 そこをここで議論をしていただいて、それで省庁の問題をどうしていくかということをやっていくという、私はその順序を間違うと、なかなか話はまとまらないというふうに思っております。
 厚生労働省の関係のことは、ペーパーにしてあるのは後で見ていただければよろしいわけで、これは私が書いたものじゃありませんけれども、厚生労働省としてつくったものでございます。
 先般、皆さん方がお決めいただきましたものを私も拝見をさせていただいて、感じますのは、どちらかと言いますと、若年者の問題は地方がやります。高齢者の問題は国がやってくださいと、大くくりで見ると、そんな感じがするわけです。
 例えば障害者の問題でも、十八歳までは地方で見ます、十八歳を超えたら国で見てくださいということになる。障害者の問題を年齢で分けていいか。障害者の問題だったら、地方が全部最後まで見ましょうとか、国が見てくださいというのだったら、話がわかるんですけれども。年齢で若いところは地方が見ましょう、年を取ったら国で見てください、というような分け方は、分け方として具合が悪い。これがいいとか悪いとか言っているわけではなくて、分け方としてもう少し考える必要がありはしないか。
 それから、特養施設を、つくる方は地方に任せてください、その後のランニングコストは国でやってください、ということになっている。これもつくるのはどんどん地方でやって、ランニングコストは国でというのも、少し具合が悪い。特養なら特養の問題、ランニングコストも含めて地方がやりますとか、国がやりましょうとかいう分け方が必要ではないか。 
 もう一つは、医療の問題も大きいわけでございますが、生活習慣病などを含めた予防の問題は地方がやる、しかし、その後の治療の問題は国がやってくださいという割り振りになっている。これも予防がどれだけできたかということによって治療費が抑えられるわけでありまして、ここも私はセットでやっていかなければならない話。生活習慣病をやるとおっしゃるんだったら、国保の問題も是非お願いしたいと言いたいわけで、この割り振りの仕方をどうしていくかという、私はどれがいい、どれが悪いということを申し上げているわけではなく、割り振りの仕方を議論をしていただくのが大事じゃないか。
 気づきました二、三の問題点を申し上げたところでございます。

(内閣官房長官) ありがとうございました。農林水産大臣お願いします。

(農林水産大臣) 農林水産行政、これは食糧の安定供給の確保と食糧の自給率、国土の保全、これを実現するためには、特定の地域の視点からではなく、全国的、国民的な視点に立って、行政を進めることが不可欠だと、これは御理解いただくことであるわけでありまして、例えば生産県で農地を整備する。それはまた消費者のためにもなるわけでありますし、川上で森林を保全する、これは川下のためにもなるわけでありますし、更には農山漁村の環境や景観を守っていくことは、訪れる都市の住民のためにもなるわけでありまして、そういう面で施策を実施するかどうか。これは施策を実施する地域の視点だけでなく、効果や影響が及ぶ地域の視点も含めた判断が必要なわけであります。
 このように国民全体の暮らし、安全・安心、これを支える食糧の自給率の向上、あるいは国土の保全という面から、全国的に見て、必要な水準を確保するということが必要でありまして、どこで、どれだけの施策を実施する必要があるのか。それを判断するのは個別の地方団体の役割を超えてまさに国の役割であるわけであります。
 例えば食糧自給率につきまして申し上げれば、北海道の自給率は190 %であるわけであります。北海道だけで考えれば、農業振興という面では100 %程度の水準でよいという考え方になるわけでありますが、国全体のことを考えますと、自給率の向上を図るためには、食糧基地たる北海道におきましては、今以上の自給率が求められるというわけでありまして、国全体の自給率の向上を図るためにも、国として必要なところで、必要な施策の実施を確保する必要があるわけであります。
 このことは具体的に申し上げれば、生産性向上、あるいは農業構造改革、圃場整備が必要不可欠である。
 例えば新潟、宮城は主要な米どころであるにもかかわらず、水田の整備水準が全国水準を大きく下回っている。こうした地域におきます施策のてこ入れ、これを行っていく必要があるわけでありますし、また、国土の保全で申し上げれば、山地災害が発生すれば、その影響は下流地域の都市住民にも影響を与えるわけでありますし、災害が起きた地域の問題だけにとどまらず、広域的な問題となるわけであります。
 加えて、山地災害の発生、年度間や地域間のばらつきが大きいわけでありまして、突発的な災害に機動的に対応する必要があるわけでありまして、こういう面でも山地災害については、全国的な視点からの対応が必要なわけであります。
 お手元に農水省の提出資料をお示しをしてございます。これは後ほどごらんいただきたいと思いますが、農水省としては、農林水産業、あるいは農山漁村が今後ともその役割を十分に発揮していけるように、これまでも米政策改革に取り組んできているところでありますし、更にはWTOを含めて、基本計画の見直しを行い、農政の抜本改革に取り組んでいるところでありまして、こうした改革は国全体の視点を持って、全国的に展開をしていく必要があるわけであります。
 したがって、この三位一体改革におきましても、補助金削減ありきという改革ではなく、農林水産業、農山漁村の役割の重大性を、あるいは広域性にかんがみて、国として必要な施策の実施を確保しつつ、その実施に当たっては、地域にとって使い勝手のよい仕組みの改革を行う必要があると考えております。
 お手元の資料の中にも17年度概算要求におきましては、補助金の大胆な統合、交付金化、177 あるものを7つに統合するということをいたしまして、交付金化や、あるいは省庁間の連携という面で地域の自主性、裁量性の大幅な拡大に努める考えでありますので、是非御理解をいただきたいと思います。

(内閣官房長官) ありがとうございました。経済産業大臣お願いします。

(経済産業大臣) 今、坂口大臣がおっしゃったことと多分、趣旨は一緒なんだろうと思うんですけれども、権限移譲をして、地方でやるべきものはやっていきたい。それは勿論大いに結構だと思います。うちの中小企業関係予算は約一千三百億なんですけれども、我々、全国の中小企業、商工会議所、商工会に対しての支援をさせていただいているわけですが、例えばこの問題は全国どこへ行っても地元の市長さん、町村長さん、あるいは商工会議所、商工会から話を承って、大事な話だと。国ももっとしっかりやってくれという話があるわけですが、他方、権限移譲のところには、これについては地方に移してくれという要望が出ていて、一体どっちが本当なのという感じがするものですから、例えば私の地元などで聞くと、それは知らなかった。そんなことは私は知らなかったと市町村の代表の方がおっしゃるんですが、さっき梶原知事さんから、国も真剣にやれというお話がありましたけれども、地方も真剣にやってもらいたい。ぎりぎりの大事な話ですから、どっちが本当なの。これは国がやる仕事なの。あるいは市町村に権限移譲する話なの、都道府県、市町村に権限を移譲する話なんですかと。
 我々としては、勿論国として中小企業、あるいは中心市街地、商工会議所、商工会活性化のためにお手伝いを一生懸命やっていきたいと思いますので、そういう意味で連携をよく取っていくために、これからもまた一生懸命やりたいと思います。
 よろしくお願いします。

(内閣官房長官) ありがとうございました。国土交通大臣お願いします。

(国土交通大臣) 地方六団体の皆様方が今日お配りいただいた基本姿勢の中にありますように、小異を捨てて大同につく精神でこの案をとりまとめられたということは、文脈から私も十分感じることができます。
 私も昨年大臣に就任させていただいて、公共事業関係の国庫補助負担金の削減というものは1週間でやれと言われて、そんな中で必要じゃないものを積み重ねていかなければいけないんです。そんな中で3,200 億出して、改革の展望の期間で8,500 億円積み上げてまいりました。これからも必要がない、むだであるというものは切っていかなければいけませんし、地方の皆さん方の裁量性というものを高めるような改革というものをやらせていただきたいと思っております。
 しかし、率直に申しまして、基本的な疑問点があります。紙に書かせていただきましたので、簡単に話させていただきたいんですが、公共事業関係の補助金というのは、梶原知事に私が言うと釈迦に説法ですけれども、建設国債です。これが本当に財源移譲の対象になるのかと。どんな専門家に聞いても、100 人中90人くらいは、それは違うんじゃないのという答えが返ってきます。
 それと、大同につくということで、都道府県のみが事業主体の事業を一律的に選定されておりますと、その結果、河川とか砂防とか住宅とか、そういうものに集中しているわけです。 そこで私考えましたのは、集中豪雨のときに新潟に行って来たんですけれども、氾濫した河川は信濃川の本流じゃなくて支流、五十嵐川とか3つくらいあったんですけれども、これは県が管理している補助河川で、平山知事さんとも話したら、県の治水の予算というのはすごい少ないんだそうです。新潟という潟が付くような県であっても、河川の改修費というのはなかなか回らないのが現状ですというお話でした。
 まだまだ支流などを見ますと、素人が見ても、あそこは危ないなみたいなところがあるわけです。それを住民税の税額ごとの機械的な配分みたいなことをすると、新潟県で見ても、4.数%と1.7 〜1.8 %、倍くらいの差が出てしまう。
 何が申したいかというと、本当に必要な事業が本当に必要なところでできなくなる恐れがあるようなことは、こと防災ということは、現場に行った人間として、これはまずいなと直感しました。
 それと、そもそも論で恐縮なんですけれども、このとりまとめの中に国庫補助負担金廃止の前提となる地方交付税による財源措置ということが謳われているんですけれども、これは先ほど来、河村大臣、中川大臣も言われたように、本当に必要な事業は何なのかというマクロの政策論、あるいは国土交通省的に言いますと、資源配分論というものは、やはり押さえておかないといけないと思うんです。
 その議論を経た上で補助金の使い勝手が悪いならやめて交付金にするとかいったような手法論を私は議論すべきで、地方の皆さんが使いやすいようにやっていくというのは、これからも絶対にやっていかなくちゃいけない。まちづくり交付金で大変皆さん方から好評を得ているのも、ああしろ、こうしろというのを取ったからだと思うんです。
 その場合、私は本来必要とされるところで必要な事業を実施するという補助金としての機能というものがあるものを、外形的、客観的な配分の地方交付税に転換するということは、論理として無理があるんじゃないか。
 今、3点くらい私の素朴な疑問点に対して、自分で納得したものをやらなければ行政の責任者としていけないんじゃないかという率直な感想を持っております。
 必要な事業ができなくなるという危惧、問い合わせが結構来ておりますので、そこのところをやはり説明していく責任を保ち続けたい。こんな感想を持っております。

(内閣官房長官) ありがとうございました。環境大臣お願いします。

(環境大臣) こういう議題の場合は、お互いにそれぞれの立場から見るだけでなくて、代わりに立場が変わったときにどうかというふうな見方も時には必要ではないかなと思っております。
 環境ということで、環境省は一番後発部隊ですし、もともと予算、人員が一番少ないというところで皆さんの御協力も得て何とか頑張ってきたつもりでありますけれども、決して予算が大きいから、人員がたくさんいるからいい役所であるかどうかというのは別問題だとは思います。
 それぐらいの自負を持っているわけですけれども、21世紀、環境の時代と言われている中でどうやって一番国民に近い分野の環境をうまく連携を取りながらやっていくのか。これまでの公衆衛生という概念から、今大きく循環型社会の構築に変えていこうということで、これは皆さんの御意見と逆行するかもしれませんけれども、むしろ環境問題というような観点は、私ども補助率が低い分、それでうまくいかないところもあるわけで、この場をお借りして、上げていただいて、そして皆さんと一緒に環境という今、抱えている問題を一気にやっていきたいくらいの気持ちでいるところであります。
 ごみの問題、それから浄化槽の問題もそうでございますけれども、今回、特に下水道、農業集落、この2点は別にして、浄化槽の方だけ外れているというのも、多分補助率の問題ではないかと考えるわけですが、これから湖沼の水質改善なども特に求められているところでありますし、そういった意味で環境という、大きな地球環境問題もそうですけれども、身近な部分でダイオキシン対策もそうでありますけれども、むしろそれぞれの現場と、そしてまた広域的な部分との連携が更に必要になってくると思っています。
 私どもお手元に配らせていただいている資料のように、補助金の中の9割、全体の予算からも5割マイナスということになるわけでして、これからの環境政策をどのようにして推進していくのか。勿論、環境保全をどのように確保していくのか。この辺り、しっかりと政策の議論をまずきっちりとやっていかないと、特に環境の問題は取り返しがつかないと申しましょうか、取り返すために更にエネルギーがかかるということも訴えていきたいと思っております。
 たくさん申し上げたいところがありますけれども、今日は時間がないということでこの辺にとどめておきます。

(内閣官房長官) ありがとうございました。沖縄及び北方対策担当大臣お願いします。

(沖縄及び北方対策大臣) 今、梶原会長の先ほどの協議に当たっての基本姿勢の御説明の中で、集権型の工業社会から分権型の情報社会への移行という表現が出てまいりましたけれども、表現を変えますと、画一型の社会から多様化された社会への変化ということだと思います。そこで、この三位一体の改革を推進するに当たっては、きめ細かな対応が必要になると考えております。
 地方六団体でおまとめいただきました案の中でも、特定地域において講じられている補助金制度に関わる特例措置については、その趣旨を踏まえ、必要な措置を講じるべきであるという御指摘をいただいております。まさにこの御指摘のように、沖縄始め特殊事情に基づいて国としてさまざまな特別の措置を講じている地域もありますので、今後、補助金の削減、廃止を行う上では、こういった地域の特殊事情に対する配慮も必要だと考えておりまして、今後も地方の皆さんと協議をさせていただきたいと思います。

(内閣官房長官) ありがとうございました。財務大臣お願いします。

(財務大臣) 大変難しいおまとめをしていただいたこと、心から敬意を表しております。 私の考え方、前回お目にかかりしたときに紙に出させていただきました。時間の関係もございますので、ポイントだけ申し上げます。
 1つは、今の各大臣の御意見にもありましたように、個々の補助金をどうするかについては、地方でできることは地方でということでありますが、同時に国のなすべきことは何だという政策論を詰めていただかないと、なかなか判断ができないなと。
 それに加えまして、財務省としましては、やはりその中で本当に引き続きやる必要があるのかどうか、つまり納税者の観点と言いますか、スリム化という観点がそこに加えられるべきだと思っております。
 先ほど河村大臣から、谷垣はまだ3兆円出すなんて言っていないということでございましたけれども、私は引き続き地方でやっていただくべき補助事業だということになれば、お出しすることは当然のことだと思っているわけです。
 ただ、経常経費について、その世代の方々からいただいた税金で賄うべき経常事業については、私はそう思います。
 先ほど石原大臣もおっしゃいましたけれども、建設国債に関しては、受益が長い間にわたるということで、将来の世代から返していただこうということでやっているものについては、これは私は税源移譲はなじまないのではないかと考えております。
 あと一点、補助金改革を進めていくためには、どうしても交付税改革ということを同時に進めなければいけないと思っておりまして、これは11月までのこれからの工程をまとめに当たりましては、是非、六団体からもそのような御意見をおまとめいただいて、御一緒に議論をさせていただきたいと思っております。

(内閣官房長官) ありがとうございました。経済財政政策担当大臣お願いします。

(経済財政政策担当大臣) 経済財政諮問会議の運営を担当する大臣として、まず先般、諮問会議においでをいただきまして、御報告をいただきまして、ありがとうございました。前回も申し上げましたが、このようなおとりまとめをいただいたことに関しては、心より敬意を表しておりますし、この改革案を真摯に受け止めて実現に向けて努力していくということが我々の務めであると思っております。
 骨太の方針の中では、地方の意見に十分耳を傾けて、改革の全体像をとりまとめるということを我々も宣言しておりますので、是非しっかりとしたお話し合いをしていきたいと思います。諮問会議でも場がございますし、また、この地方との協議の場、更には大臣会合等々ございますので、私としては、その間の連絡をしっかりと密にとって前向きに努力をしていきたいと思っております。
 以上です。

(内閣官房長官) ありがとうございました。総務大臣お願いします。

(総務大臣) いろいろ御意見があったんだと思いますが、これは政府としては閣議決定を行った上で、その上で地方に改革案を要請したということをまず忘れないでいただかないといかぬところだと思っております。
 その結果、いろいろあったにもかかわらず、県と市町村とそれぞれ御意見も立場も違うところだと思いますので、その上でこの改革案をとりまとめていただいたという経緯、これは極めて重みがあるものだと思っております。これが1点です。
 誤解があってはいけないのは、地方もその事業の重要性というのも十分理解をした上で、地方の自己の責任と判断で実施するということを言っておられるんであって、少なくとも事業の廃止ということを求めておられるわけではない。これが2つ目の大事なところだと思っております。
 最後ですけれども、総理の出されたこの間の指示というものは、この改革案の実現を目指せということを言っておられるんであって、いかに問題点を克服して、3兆円の税源移譲というものを実現するかというスタンスで取り組んでいかなければいけないところだと思っておりますので、基本的には今後とも今申し上げたところをきちんと踏まえて対応してまいりたいと思っております。

(内閣官房長官) ありがとうございました。全大臣から御意見をいただき、各省の考えは、配布もしておりますので、後ほど詳細にお読みいただくこととしたいと思います。
 六団体の皆様に訴えられた方もおられますし、政府内の議論として訴えられた方もおられるわけでございます。いずれにしても、各省においても、各団体においても非常に大変な問題でありますので、これから議論を進めてまいりたいと思います。今日のところで何かお気づきの点でこれだけはおっしゃりたいということがあればどうぞお願いします。

(全国都道府県議会議長会会長) ここに来る前に議長会の役員の皆さん方と若干話をさせていただきました。この三位一体の改革を提案されて以来、いろいろな方面からいろいろなお話があるということでございます。
 一番懸念されることは、地方がしっかりやられるのか。やれなくなるんじゃないか。では、補助金は流れなくなる。仕事はできなくなるよという話がどんどん走っているものですから、これはどうなっているんだと。ボールを投げられてお返しをして、どうぞそちらで御検討くださいという、批判だけがあちこちから出てまいるものですから、非常に皆さん議長さん方も大変心外に思っているし、また、地方議員として、地域のために一生懸命働こうと思っているのに、それまで信用ないかなと。地方というのはそんなに信用がないのか。しかも、首長と議会が力を合わせつつやろうという意気込みでやろうとしているのに、そんなに信用がないのかなという意見もございました。
 また、地方議員というのは、地域をよくするために一生懸命汗を流していかなければいけない。そして、地域はそのことによって活性化して住民参加の政治ができるという流れがあって、地方は元気が出るんじゃないか。あれもだめ、これもだめと言ったら、地方は、ではお国に任せします。我々は見ておりましょうということになったら、地域がよくならないんじゃないか。もっと地域住民が参画できるような地域づくりのために、今この地方分権でやってもらわないと、これが水の泡になってしまうと何もできなくなって、やはり俺たちの言うことは聞いてもらえないのかということになりはしないかという議長さん方の声があったと。このことを申し添えていただいて、我々は中身についてはいろいろ議論があることも当然だと思っておりますし、また、我々議長会におきまして、いろいろ反対の意見もございました。しかし、小異を捨てて大同につこうという気持ちでこの提案をさせていただいたんでございますから、中身についてよく御検討願って、いい日本の国、いい地域づくりために我々も奔走してまいりたいと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

(全国知事会会長) 一言だけ付け加えさせていただきますと、厚生労働大臣から子どもは地方だ、年寄りは国だと、こういうような話がございましたが、我々は1期、2期というふうに考えて、トータルでどうすると。1期目は結果はそうなっていますけれども、その辺は1期、2期を通じてお考えいただかなければいけない。例えば中学校だけなんだというのもありますが、そういう事の当否は別にして、1期、2期トータルで我々は考えているということで、1期はそうなっているということは誤解のないようにお願いしたい。
 それから、業界とか団体のお話がありましたが、所管官庁に聞かれたときに言われることと、我々に言われることと全く違うんです。そこらのところを御理解いただきたい。
 それから、お役人が脅し、いやがらせあちこちでやっていまして、廃止だよ、お前らいいのかということをどんどんやったり、それから私のところの職員が要望書を持って行ったら、要望書をたたきつけぬばかりの態度でした。それは上司にすぐ言いまして、そういう役人がおるから、君たちに権限、財源を留保させないんだと。自殺行為だろうというふうに、私も言葉が悪いものだから言っておきました。
 そういうふうに、今のお役人がいろんなことを全国的に展開しているということ。これは官房長官にいずれまとめて渡したいと思います。
 それから、建設国債、財源云々というお話がありました。これはもっともな話で、我々も問題意識を持っています。
 さっき冒頭に申し上げたように、地方分権をするんだという基本精神でどうするかという議論があっていいと思います。技術論だけではなくてですね。国がどこまでやるか、地方がどこまでやるか、財務大臣からお話がありましたように、こういうこともお互いに点検作業をやってもいいと思うんです。
 私たち有志の県では事務・事業を総点検いたしました。これは国、これは県、これは市町村、これは民間という、構想日本と一緒にそういう作業もやりました。
 ですから、そういうことをなるべくこれから共同作業というか、そういうことでやっていった方が信頼関係がお互いにできると思うんです。そのことを交付税問題も、結局は事務・事業をどうするかということですから、あるいは引き続きやるべき事務・事業なのかどうかも、一方的にお役人が決めることではなくて、信頼関係に基づいて作業をしていくべきことではないかなと思います。
 交付税問題も我々改革すべきだと思っています。だけれども、一方的にやってもらっては困るんです。信頼関係の中でやれば、我々も一生国にも協力したいと思っておりますから、その点をよろしく御理解をいただきたいと思っております。

(内閣官房長官) よろしゅうございますか。それでは、今日はここまでにいたしますが、個々に各省間と詰める必要があるものもございますし、また、それを皆様方にもお伝えしながら意見交換をする場も必要だとも思います。出席者、あるいはテーマの選び方等については、また、それぞれに必要に応じて考えてまいりたいと思います。
 本日の会合の内容につきましては、杉浦副長官からブリーフィングを行うとともに、後日議事録を公表させていただきたいと思います。
 それでは、これをもちまして、本日の会合を終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。



三位一体の改革の推進について(案)

平成十六年九月三日(金)閣僚懇発言
 内  閣  総  理  大  臣
 三位一体の改革については、内閣官房長官を中心として、総務大臣、財務大臣、経済財政政策担当大臣をはじめ、関係各大臣が互いに協力し、政府一丸となって、十一月半ばを目途に全体像の取りまとめに当たってもらいたい。
 改革の検討に当たっては、地方からの改革案を真摯に受け止め、関係各大臣は、改革案の実現に向けて率先して、責任を持って、全力で取り組み、平成十七年度予算に最大限、活かしてもらいたい。   


三位一体の改革に関する大臣会合における官房長官ご発言(案)

平成十六年九月七日(火)
内 閣 官 房 長 官
 九月三日の総理のご指示に従い、三位一体の改革に関する大臣会合の第一回を開催する。この大臣会合では、総理指示にもあったように、政府一丸となって、十一月半ばを目途に全体像を取りまとめたいので、ご協力をお願いしたい。
 また、国と地方の協議の場を設けることとし、第一回会合を九月十四日に開催するとともに、十月中にテーマ毎の会合を開催することとしたい。その際、協議の実があがるよう積極的に、各論、具体論を議論していただきたい。テーマに応じ、出席者については適宜調整したい。
 検討に当たっては、地方からの改革案を真摯に受け止め、補助事業等の所管府省が地方の改革案を実現することを原則として検討をおこなってもらいたい。
 地方からの国庫補助負担金改革及び国の関与・規制の見直し等の改革案について、平成十七年度改革分、平成十八年度改革分の仕分けを含めて補助事業等の所管府省において検討を進め、十月下旬を目途にその結果を提出していただくことを予定しているので、関係各大臣は地方からの改革案の実現に向け、率先して、責任を持って、全力で取り組み、平成十七年度予算に最大限、活かしてもらいたい。
 なお、仮に地方からの改革案に意見がある場合であっても、その理由を明らかにするとともに、「基本方針二〇〇四」等の政府方針及び地方からの改革案の考え方に沿って、提案されている廃止額に見合う国庫補助負担金改革の代替案を提出していただきたい。
 また、今後予定されている地方六団体との協議も踏まえ、関係府省において、事務レベルでも三位一体の改革の実現に向けて、良く協力し、検討を進めるよう各大臣から事務方にご指示いただくようお願いいたします。


(参考)

協議に当たっての基本姿勢

H16.9.14
地 方 六 団 体


 このたび、地方六団体が結束し、立ち上がったのは、従来型の陳情・要望団体から脱却し、三位一体改革を契機に「地方から日本を変える」同志として結集したものである。
 今回、我々が提案している改革案は、それぞれの立場における損得勘定をこえて、国のため「小異を捨てて大同につく」精神で、一本化を図ったものである。
 全国3,152の都道府県・市区町村の結束は、自治体の集合体イコール日本そのものが立ち上がったと同義である。
 我々が意図する地方分権改革は、
(1) 過度に中央に集中している権限・財源を、住民に近接し、情報公開・住民参加を進めている地方自治体に移し、有権者・市民にとって透明で明朗な政治・行政に変えること(権限・財源の「独占」から「共有」へ)(地方自治のグローバル・スタンダード 国連「世界地方自治憲章」案)
(2) 「地域に自由を、市民に権利」を拡大し、地域・個人の潜在能力を顕在化し、生き生きとした日本列島にしていくこと
(3) 画一、タテ割り、過剰干渉の現体制から、地域ニーズに応じ、生活者の立場に立って、多様で水平的、機動的な住民サービスを提供できる体制に変えていくこと
(4) 現行の「護送船団体制」から日本全体を「自己責任体制」に変え、自治体間も相互に善政競争をしていくこと。そして、全体として公的部門のスリム化を図っていくこと
(5) 産業構造の変革に伴い、集権型の工業社会から分権型の情報社会に移行すること
 このような高い次元から日本を改革していこうとするものである。
 我々、自治体首長・議員は、国会議員と同じ地盤の有権者から負託を受け、「国を想い、国を創る」気持ちは共通である。官僚ペースではなく、国民に直接責任を負う政治家として共通の基盤に立って、議論をしていきたい。
 我々も、国家財政に重大な関心を持ち、その再建に協力することにやぶさかではない。しかし、国と地方がお互いの信頼関係を確保することが前提となる。そして、この協議の場がお互いの信頼を築く場であると考えている。万一、背信行為があれば、すべて水の泡となる。
 政府・政党において、地方の行財政に対する不信の念があるやに聞くが、地方も懸命に改革努力を進めている。一方的なデータ・情報でお互いに争うことがないよう、必要があれば客観的、公平な方法で共同調査をしてもよいと考えている。
 国と地方の財政は、地方自治の精神からも区分して考え、相互に改革の努力を競い、その成果につき、国民の判断を仰ぐことがのぞましい。
 個々の事務・事業が必要かどうかは、究極は有権者・国民が判断すべきことで、官僚が決めることではない。自治体自身の合理化の限界をこえた財源のカットは、すなわち住民サービスのカットにつながる。国がそのような財源カットをするとすれば、国政選挙において国民の審判を仰が なければならない。(「行政」の課題ではなく「政治」の課題である。)
10 我々地方六団体は、多くの困難を乗りこえて改革案をまとめた。政府においても真摯に受け止め、国側の改革案をまとめ、この協議の場に提案されるべきである。我々は、個別に各省庁等と議論するつもりはない。


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