(資料2)

新たな人事評価システムにおける個別の仕組みの標準的な方法の例        

 新たな人事評価システムに関する制度所管官庁及び各省庁等における具体的な検討に資るため、新たな人事評価システムにおける個別の仕組みの標準的な方法の例示をここにまとめたので、本文と併せて活用されたい。


1 評価者訓練の例(本文17ページ関係)
     
  (1)  評価者訓練の対象者
     評価者訓練は、原則として、昇進等の節目における管理職研修等の場を活用して、全評価者が少なくとも1度は受けることとする。
       
  (2)  主な訓練内容
     組織における人事管理の基本的考え方
     人事評価の必要性及び考え方
     人事評価のシステムと手法
     人事評価の際の視点やルール
     評価者が陥りやすいエラー(ジェンダー・バイアス等社会・文化的に形成された偏見等の影響の防止を含む。)の理解と自分自身の評価傾向の認識
       
2 業績評価(目標管理的手法)の例(本文21ページ関係)
       
  (1)  手法
     評価期間開始時に、被評価者が評価者と相談して3〜5項目程度の業務目標を設定し、評価期間終了時にその達成度について評価する仕組みを基本とする。
       
  (2)  評価の主体
     被評価者の自主的・自発的な取組みを促進するため、目標の設定は、評価者と被評価者が相談しつつ行う。
 当該目標の達成度については、被評価者本人が自己評価を行った上で評価者である上司と話合い、その結果を踏まえて上司が絶対評価を行い、さらに上位の者がその調整、確認を行う。
  なお、この場合、調整又は確認の段階では、相対評価を行うことも可能である。
       
  (3)  評価時期
     目標の設定に係る期間は、原則1年間とし、その間に業務の変化があった場合には、被評価者が評価者と相談しつつ、目標を弾力的に見直すこととする。ただし、目標の設定に係る期間の始期(終期)は、各職場の実情に合わせ、業務サイクルの節目に合わせることができる。なお、業務の性質等によっては、評価期間の中途において中間的な評価を行うこととすることも可能である。
       
  (4)  評価項目
     目標は、被評価者の所属する組織が評価期間に担当する主要な業務に係る業務目標を、被評価者個人にブレイクダウンすることによって定めることとし、公務部門の組織としてのミッションに対応したものとする。
 また、各省庁等の業務や被評価者の特性等によっては、上記の業務目標以外に、「既存業務の改善目標」、「部下の育成・指導目標」について定めることも可能である。
       
  (5)  評価基準、評価方法
     成果の達成度については、以下のような3〜5段階程度で絶対評価をする。
 また、成果の達成度の評価が困難な目標の場合には、結果に至るまでに必要な手続等を実施したかどうか等によって、具体的・絶対的な目標の設定が困難な場合には、評価期間内に割り当てられた主要な業務に基づいて、その量・質等が役職段階に要求される水準を超えていたか等によって、それぞれ絶対評価を行う等、業務特性等に応じた評価を行うこととする。
 なお、不可抗力による業務の阻害、困難な仕事へのチャレンジ等の場合には、評価結果について必要な調整をすることが可能である。 
      (成果の達成度に関する評価段階の例)
      ・目標を大幅に超えた ・目標を達成できなかった
      ・目標を超えた ・目標を大幅に下回った
      ・目標を達成した  
       
3 能力評価の例(本文22ページ関係)
       
  (1)  評価主体
     評価者である上司が評価を行い、さらにその上位の者が調整、確認を行うこととする。その際、評価者が行う評価に先立って、その部下である被評価者本人が自己評価を行うこととすることが望ましい。
       
  (2)  評価時期
     能力評価は、年1回行うこととし、評価時点における能力・行動特性の状況を評価対象とする。
       
  (3)  評価項目
     職員の能力を評価するため、業務知識、業務技能、判断力(理解・判断・決断)、企画力(創意工夫・企画・推進)、折衝力(表現・折衝)、指導力(育成・統率)等の各部局共通評価項目と、個別部局の特性から求められる能力による特別評価項目を整備する。その際、上位官職では、判断、企画、推進、折衝、育成、統率等の項目に、下位官職では、業務知識、業務技能、理解、創意工夫、表現等の項目にウェイトを置いた評価を行う。
  また、職員の行動特性を評価するため、被評価者がその業務遂行を通じて発揮した責任性(業務・役割の自覚、業務の完遂等)、積極性(能動性、業務の拡充・改善、挑戦意欲、自己啓発、提案等)、協調性(チームワーク発揮、他人・他部門協力、部内外の意思疎通等)、規律性(上司の指示・命令及び服務規律の遵守、職場秩序の維持向上等)等の項目について評価を行う。
 なお、具体的な評価項目は、各省庁等の人事当局が、個別の部局の意見を聴取した上で定めることとする。また、その際、国民が求める国家公務員像を反映するとの観点から、外部有識者の意見を聴取し、これを参考とすることも効果的である。
       
  (4)  評価基準・評価手法
     能力の評価では、上記の評価項目に基づき、役職段階別の能力基準書を作成し、この能力基準書に基づき、以下のような基準で絶対評価を行う。ただし、能力養成期や能力拡充期に該当する役職段階にある職員については、あらかじめ能力開発目標を定め、その達成度を評価する目標管理的手法を導入することが効果的である。
 また、行動特性の評価においては、上記の評価項目に沿って、各特性が外部に表れる頻度によって絶対評価を行う。
       
      (能力の評価に係る評価段階の例)
      ・期待する水準をはるかに上回る ・期待する水準を下回っている
      ・期待する水準を上回る ・期待する水準にはるかに及ばない
      ・期待する水準と合致している  
       
      (行動特性の評価段階の例)
      ・常に…した ・あまり…しなかった
      ・大抵…した ・ほとんど…しなかった
      ・ある程度…した  
       
4 多面評価の例(本文26ページ関係)
       
  (1)  評価の主体
     多面評価では、被評価者について、その所属部局等の申出に基づき人事当局が指定する同僚、部下、関係部門の管理職等5〜10人程度(被評価者の職務行動を詳しく知る者に限る。)及び本人とその直属の上司が評価者となって評価を行う。
    (例)
   
課内で同程度の役職段階にある者3人、課内の直属の部下3人、関連部門の管理職2人、本人、直属の上司(計10人)
   
課内で同程度の役職段階にある者2人、課内の直属の部下2人、課内で直近下位の役職段階にある者1人、関連部門の管理職2人、関連部門で同程度の役職段階にある者1人、本人、直属の上司(計10人)
       
  (2)  評価の時期
     過去1年間の日常の職務行動を評価する。
       
  (3)  評価項目
     評価項目は、被評価者に関し、課題設定、課題遂行、対外対応、人材活用の各面について、評価主体の特性とその評価能力に応じたものを整備する。
       
  (4)  評価基準・評価手法
     多面評価では、評価項目に沿って絶対評価が行われることとなるが、その際、各評価者の評価結果を集約して特定の評価段階への格付けを行う必要はなく、各評価者の評価結果を、単に表やグラフに整理することで足りる。
 また、特に、同僚、部下等からの評価については、二段階評価のような簡素な仕組みとすることも適当である。

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