内閣官房内閣人事局は、国家公務員の人事制度に関する戦略的中枢機能を担う内閣総理大臣に直結する組織として、2014年5月に発足した。複雑・高度化する行政課題に向き合う、高い資質と使命感を持つ人材をどのように確保し、育成していくか、そして一人ひとりが活躍できる環境をどうつくるか。「日本の未来のために、国民一人ひとりのために」を理念とする国家公務員のあるべき姿を模索しながら、一人ひとりが輝ける豊かな社会の実現を目指す、内閣人事局で働く職員たちの想いとは。
(2016年9月14日 取材)

  • 2004年総務省に入省し、その後も他省や自治体への出向・留学など幅広い経験を積む。育休から復帰し、2016年4月内閣人事局へ。重要政策を支える人材を育成するための研修制度を企画・実施する。
  • 2008年に文部科学省へ入省。産休・育休を経て2016年4月に復帰し、現在は内閣人事局で国家公務員の採用広報活動や任用制度の運用に携わる。ワークライフバランスを実践する、二児の母。
  • 2010年総務省入省。現在は内閣人事局で、人材に関わる様々な政策を推し進めるための進捗管理など、局全体の取りまとめ役を担っている。ともに働く同僚にとって力になれる人となることがやりがい。
  • 2011年に農林水産省へ入省し、2015年に内閣人事局へ。女性活躍促進・ダイバーシティ担当として、女性をはじめとする全ての国家公務員が生き生きと働くことのできる環境づくりやワークライフバランスの実現に力を注いでいる。

内閣官房 内閣人事局 参事官補佐(研修担当) 2004年総務省に入省し、その後も他省や自治体への出向・留学など幅広い経験を積む。育休から復帰し、2016年4月内閣人事局へ。重要政策を支える人材を育成するための研修制度を企画・実施する。

内閣官房 内閣人事局 参事官補佐(任用第一担当) 2008年に文部科学省へ入省。産休・育休を経て2016年4月に復帰し、現在は内閣人事局で国家公務員の採用広報活動や任用制度の運用に携わる。ワークライフバランスを実践する、二児の母。

内閣官房 内閣人事局 総括係長 2010年総務省入省。現在は内閣人事局で、人材に関わる様々な政策を推し進めるための進捗管理など、局全体の取りまとめ役を担っている。ともに働く同僚にとって力になれる人となることがやりがい。

内閣官房 内閣人事局 女性活躍促進・ダイバーシティ係長 2011年に農林水産省へ入省し、2015年に内閣人事局へ。女性活躍促進・ダイバーシティ担当として、女性をはじめとする全ての国家公務員が生き生きと働くことのできる環境づくりやワークライフバランスの実現に力を注いでいる。

  • 内閣人事局は、内閣官房という政府全体を見渡す組織の中で、全ての国家公務員が持てる力を最大限に発揮し、活躍できるための人事制度を企画・立案するミッションを担っていることが非常に大きいなと思いますね。政府が一丸となって国の抱える課題に取り組むためには、組織の体制整備や人材育成は、とても重要なことですから。
    内閣総理大臣に直結組織として内閣人事局が設置されたことで、政策を実行に移しやすくなりましたよね。
    女性活躍推進も、これまでもやらなければいけないと誰もが頭の中では思っていたけれど、中々進めることができていなかった。それが今や、女性の採用数を増やす取組も、かけ声だけじゃなくて実際に目標を達成していますし、女性職員の幹部登用も増えてきています。みんながずっと必要だと思っていたこと、やりたかったことが実現しはじめているのではないでしょうか。
  • また、内閣人事局では霞が関の「働き方改革」も行っていますが、一人ひとりの持てる力を最大限に発揮するためには、とても重要なことだと思います。私も妊娠出産を経るまでは、毎日遅くまで仕事することは当たり前のような意識がありました。でもそれは間違っていたと気づかされました。疲弊している人の姿も見て、この状態では、良い政策が打ち出せないのではないか、人も辞めてしまうのではないかという危機感もありました。今、内閣人事局が主体的に動くことで、この環境を変えていけると確信しています。
    国家公務員が最大限に自分の力を発揮して活躍できるように、ワークライフバランスの推進や働き方改革を実現させることが、私たちのミッションですもんね。
    結婚や育児、介護、いろんなライフステージの中で一人ひとりが自分らしく働けるように、内閣人事局が自ら率先して行動を起こしていくことが重要です。モデルケースをどんどんつくっていきたいと思っています。
  • 最近の大きな出来事としては、2016年1月に国家公務員のフレックスタイム制を全職員対象に拡充するなどを内容とする法案を提出し、成立できたことですね。局内の担当者が苦労しながら生み出した法案ですから、微力ながら成立に向けて携われたことはやはり嬉しいです。
    「霞が関の働き方改革を加速するための懇談会」も立ち上がり、提言が出されました。民間企業の有識者と中堅・若手の国家公務員が集まって、まずは霞が関から働き方を変えていかなければならないという認識の下、働き方を見直す具体的な解決策について議論がなされましたね。
    懇談会の中で、リモートアクセスやテレワークの促進も議題にあがっていましたね。2016年7月には懇談会の提言を踏まえた重点取組方針も決まって、本格的に進みはじめます。内閣人事局としても、方針を出すだけではなく、全省庁の幹部の方に同じように意識していただけるよう、働きかけていきたいと思います。
  • 意識改革は必要ですよね。どれだけいい制度をつくっても、組織のトップの意識が変わらないとうまく機能していきませんから。また、働き方を見直すことで、国家公務員として「働く人」「組織」が元気になれば、社会からの期待に応えたより良い施策を打ち出せ、豊かな社会の実現にもつながります。
    重点取組方針の中では、「働き方改革」を更に加速するため、各府省等中堅若手職員からなる推進チームをつくることも決まりましたし、トップとボトムの両方からアプローチをしながら、実現していけるんじゃないかと期待しています。
    その他にも、実際に組織をマネジメントする管理職を対象として、女性活躍推進やワークライフバランスについて理解を深め、実際に行動に移してもらうためのセミナーも開催しています。少しずつではありますが、これまでの価値観の中で凝り固まっていた部分を変えていけるようにしていきたいです。
  • 国家公務員として働く職員にも、個々人のライフステージに応じて、様々な「イベント」が存在します。内閣人事局において、仕事やプライベートを通じ、一人ひとりがその人らしい人生を送れるよう、これからもワークライフバランスの推進や働き方改革に取組んでいきたいですね。
    内閣人事局がはじめたものの中では「今日は定時退庁します」「朝型勤務実施中」など、その日の予定を宣言する取組は一番反響がありましたよね。
    パソコンの上部にクリップを挟んで、宣言カードを提示するアレですね。勤務予定時間を過ぎて在庁していると、上司から声かけがあり、周囲の人とのコミュニケーションもとりやすくなっています。
    「ただいま集中タイム、用件は後ほど伺います」っていう宣言もいいですよね。若い職員こそ、集中して作業をするために夜に残業をせざるを得ないということが多いので。メリハリのある働き方の意識づけにもなると思います。
    テレビでも紹介されましたし、他の省庁からもいいねっていう声をいただきました。
    厚生労働省がはじめた、育休から復帰した人のための「育児シート」という取組も、内閣人事局から各省に紹介し、今では多くの省庁で導入されています。今は保育園の送迎のために何時までには帰らないといけないとか、2・3年経てば時間に余裕ができるからもう少し負荷のある仕事もしたいとか、働き方の希望を書いて人事担当や上司と共有するんですよ。
  • 内閣人事局でも取り入れることになって、私も活用したんですよ。お互いのコミュニケーションのために、すごく良いツールです。
    また、「イクメンパスポート」もありますね。育児休業を取得した男性職員の声や両立支援制度の概要などをまとめたものなんですが、これを読んで男性職員が積極的に育児に参加できるようになったらいいなと思います。
    まだまだ少ないですが、育休を取得する男性職員は毎年増えていますよ。
    産休や育休を取ることによって、キャリアに空白が生じてしまうようなイメージがありますが、実際はプラスな面も多いと思うんです。たとえば、ベビーカーを押すお母さんはこんな小さな段差でも大変なんだとか、駅のエレベーターが使いにくい場所にあると、車椅子の方も生活しにくいだろうなということに気がつけたりしますよね。日常生活を守るのが公務員でもありますから、そういうことを見つめる時間もすごく大切だなって思うんですよ。
    まずは国が率先して取り組むことで、社会にもつなげていきたいですね。逆に、民間企業から学ばせてもらうことも多いですし、うまく双方向で生かしていけたらいいなと思います。
  • 今のワークライフバランスの取組は、ワークに偏らずにバランスをとっていこうよというのが主流ですが、もっとワークの楽しさも追求できないかなと思うんです。
    私もそれ、すごく大事だなと思います。
    主体的にキャリアパスを選べるとか、自己実現ができるような環境づくりもしていきたいですね。
    私も、いろんなキャリアパスがあっていいと思います。若いうちにいろいろ経験して管理職になっていくという人が今は多いと思いますが、若い頃からひとつの分野に集中して専門性を身につけてもらうとか、管理職志向の人には今以上にいろんな経験をさせるとか。希望と適性に合わせたキャリア形成ができたらいいですよね。それは職員にとっての仕事のやりがいにもつながりますし、政府全体としてもパフォーマンスは上がるはずです。
    農水省で勤務していたときは、部署の取りまとめや法令の改正などがメイン業務だったのですが、内閣人事局に出向して事業の企画立案や予算要求作業など新たな経験をさせてもらったことで、今後自分がどのような分野で活躍したいかを考えるに当たってのヒントを多く得ました。色々経験していく中で、自分の道を見つけていけたらなって思います。
  • また、内閣人事局では、若手女性職員を対象として、自身のキャリアを考えるセミナーも実施しています。受講した方からも、普段は日々の仕事に追われてしまいがちだけれど、今後の自分のキャリアパスについてちゃんと考える機会が得られてよかったという声をいただくことも多いです。
    私の場合、自分より上の世代の女性職員があまり多くなかったこともあって、目指す姿が見えないという不安はありましたね。キャリアセミナーもそうですし、活躍する女性職員の事例集などは、そういう女性の力になれると思います。
    こうして各省庁を横断したプロジェクトをパンフレットとして形にできるのも、内閣人事局ができたからこそですよね。
    今まで、採用活動の現場で私の出身省である総務省の魅力を話すことはたくさんありましたが、内閣人事局に来てからは国家公務員としてのやりがいを話す機会が増えました。それは、私自身にとっても、国家公務員として働くことの意義、やりがいを見つめ直すとても良い機会になっています。
    国家公務員の職員一人ひとりが、「自分で決める」「自分ならではのキャリアパス」を歩めるよう、これからもミッションの実現に向けて取り組んでいきたいと思います。

公務員制度改革の必要性が具体化するのは、橋本内閣時代(1996~1998年)。2001年に中央省庁再編という大改革を実現しましたが、役所のエンジンである国家公務員制度の改革は次の課題として残りました。その後、第一次安倍内閣で能力実績主義の導入と天下りの禁止を柱とする国家公務員法改正があり、2008年に国家公務員制度改革基本法が成立。その時、内閣人事局の設置方針が決まりましたが、政権交代もあり、関連法案は3度廃案となりました。その後、日本では、復興支援やTPP(環太平洋パートナーシップ協定)など、省庁の垣根を超えて一丸となって取り組むべき政策課題が急増しました。そこで、国益の観点から政府の人事管理を担う戦略的中枢組織として、2014年に内閣人事局が誕生したのです。局の発足後、女性活躍や働き方改革が最重要政策として動きはじめたことは、とても大きな変化と成果ですね。これからも、前例のない課題に挑み、一人ひとりの職員が能力と個性を存分に発揮できる国家公務員制度へと変革していきたいと思います。