日本は、地理的・地形的・気象条件からも自然災害が発生しやすい特徴をもつ、災害大国である。近年では、阪神・淡路大震災や東日本大震災をはじめとした地震災害のほか、火山の噴火や豪雨等による土砂災害・洪水被害が頻発。いつ、どんな災害が起きるのかわからない状況の中で、国民の生命・安全をどう守るのか。関係省庁・自治体が連携して、日本の防災体制をより一層強化させている。

  • 「国民の生命・身体・財産を災害から保護する」という消防庁の役割・任務に共感し、2005年総務省消防庁に入庁。最初の配属は防災情報室で情報通信分野を担当。その後、横浜市にて消防訓練や実際の消火活動を経験する。事業者の消防法違反を指摘する査察業務や、火災予防に関する業務・制度改正に携わった後、2014年4月から現職。地震や噴火などの大規模な自然災害に対し、日本全国から駆け付けて消火・救助をおこなう「緊急消防援助隊」を派遣する調整役を担っている。
  • 住まい、道路、まちづくり、公共交通など、国民一人ひとりの生活基盤を支えるというミッションに共感し、2007年国土交通省へ入省。公営住宅の供給や、高齢者や子育て世帯が安心して暮らせる住宅の供給等に取り組む住宅総合整備課のほか、住宅政策全般の企画・立案等を担当する住宅政策課など、住宅分野での業務に従事。その後、新規採用や官民人事交流などの業務をおこなう大臣官房人事課を経て、2014年4月から内閣府の防災担当に。全国各地で発生する自然災害の迅速な初動対応に備え、常にアンテナを張っている。

消防庁 国民保護・防災部防災課広域応援室 課長補佐 「国民の生命・身体・財産を災害から保護する」という消防庁の役割・任務に共感し、2005年総務省消防庁に入庁。最初の配属は防災情報室で情報通信分野を担当。その後、横浜市にて消防訓練や実際の消火活動を経験する。事業者の消防法違反を指摘する査察業務や、火災予防に関する業務・制度改正に携わった後、2014年4月から現職。地震や噴火などの大規模な自然災害に対し、日本全国から駆け付けて消火・救助をおこなう「緊急消防援助隊」を派遣する調整役を担っている。

内閣府 政策統括官(防災担当)付
参事官(災害緊急事態対処担当)付 主査
住まい、道路、まちづくり、公共交通など、国民一人ひとりの生活基盤を支えるというミッションに共感し、2007年国土交通省へ入省。公営住宅の供給や、高齢者や子育て世帯が安心して暮らせる住宅の供給等に取り組む住宅総合整備課のほか、住宅政策全般の企画・立案等を担当する住宅政策課など、住宅分野での業務に従事。その後、新規採用や官民人事交流などの業務をおこなう大臣官房人事課を経て、2014年4月から内閣府の防災担当に。全国各地で発生する自然災害の迅速な初動対応に備え、常にアンテナを張っている。

  • ここ最近、大きな自然災害が非常に多いなという印象がありますよね。
    本当ですね。着任してから、地震や火山の噴火、豪雨による土砂崩れや洪水など、実にいろんな種別の災害を経験しているような気がします。
    私はこれまで、消防庁の中でも火災予防に関する業務を長く続けていたんですが、現在は自然災害に対する防災業務を担当しています。大規模災害が起きた時に、被災地へ全国から応援部隊を派遣する「緊急消防援助隊」の調整などが主な役割ですね。
    阪神・淡路大震災がきっかけになって創設された部隊ですよね。
    そうです。実際に起こった様々な災害での経験や、訓練から得た教訓をもとに、運用体制やシステムを随時強化しています。定期的に全国の部隊と合同訓練も実施していますし、実災害時には、緊急消防援助隊の派遣対応をおこなっています。
    私が担当する内閣府防災の仕事は、災害が発生したらとにかく早く登庁して、すぐに被害状況や各省庁の対応などの情報を収集し、迅速な事態把握に努めることです。関係者への状況報告や関係機関との情報共有も初動対応業務を遂行する上で重要な役割になります。
    内閣府には消防庁の情報だけではなく、警察庁や防衛省など多方面からの情報が集まるので、その内容をフィードバックしてもらうことはとても重要ですよ。お互いに共通していえることは、やはり迅速な初動対応が重要だということですね。
  • そうですね。これまでに起きた様々な災害から、経験して学ぶことも非常に多いです。初期段階での的確な情報提供のために、どの情報がどんな場面で必要になるのか、という各府省庁の所掌に応じた役割や考え方も学んでいかなくてはと思います。
    災害の種別によって、状況は全然違いますからね。大きな災害になると、非常災害対策本部が設置されて、各府省庁が集まって定期的に会議が開かれるじゃないですか。たとえば気象庁からは、これから天候が崩れるので捜索活動注意してください、という情報が提供される。その情報をもとに、我々も判断して動いていく。各府省庁の専門性を生かして連携することが非常に大事だと感じます。
    今はとにかく、どんなに小さく思えるような災害情報でも、「もしかしたら大規模な被害につながるかもしれない」という意識を持って、気が付いたら早めに出勤して、情報収集などの対応に取りかかるようにしています。たとえば内閣府では、地震なら震度5弱以上で参集というような基準もあるんですが、最近は先手先手で動くようになりました。
    消防もそうですね。初動対応は人命に関わることですから。救える命を救いたい、私の気持ちはそこだけですね。初動対応の遅れは、すべての対応の遅れを生み出してしまいます。早く判断して、早く「緊急消防援助隊」を投入する。それが私の役割です。
  • たとえば、2014年9月に起こった御嶽山の噴火災害もすごく印象に残っています。発生の翌日、派遣した緊急消防援助隊が山頂で生存者を次々と救出したという情報が入った時は、日頃の訓練や準備が報われたなという気持ちになりました。
    私も覚えています。あの時も、一報を受けてすぐに出勤し、情報収集の対応にあたりました。火山ガスが噴出し、気象条件がめまぐるしく変化する中、現地では、最新の気象情報にも注意しつつ、各部隊が連携して救助活動にあたっていました。
    あの時、現地に派遣された消防庁職員を通じて、警察や自衛隊との調整をおこなっていました。そこで、自衛隊のヘリを使って隊員を山頂に輸送することができたんです。あの協力がなければ、隊員の安全を確保しながらスムーズな救助活動をおこなうことはできなかったと思います。
    それぞれの特性を生かした連携の重要性を改めて感じますね。
    もちろん、もっとできたこともあったはずです。今後の災害対応に向けて、振り返りや見直しにも力をいれていかなければいけませんね。
    これからは「攻めの防災」が必要なんです。仮に状況がしっかりとわからなくても先手の対策を打つ。早め早めの対応をとることが重要で、結果として大きな災害にいたらなくても、空振りでもいい、という意識で対応にあたっています。
  • 本当にそう思います。私が担当している「緊急消防援助隊」の調整は、被災地の他県から部隊を派遣するので、遠距離移動や長期活動の準備などで到着まで時間がかかるんです。だからこそ、早い段階でとりあえず準備だけでもさせるようになりました。先ほど「攻めの防災」っていう言葉もありましたけど、空振りを恐れるな、ということは繰り返し言っています。
    「空振りをしたから、次回は慎重になろう」という風潮が一番怖いですもんね。
    そうなんです。実際に空振りをしたこともありますよ。地震発生の知らせを受けて、すぐに被災地に部隊を向かわせたんですけど、朝になって被害状況が思ったよりも大きくないことがわかって、帰ってきました。でも、庁内では「それでいいんだ、先手の対策を続けていこう」という評価になっていますよ。各都道府県の消防局に対しても、状況がわからなくても空振りを恐れずに早めに緊急消防援助隊を要請してもらえるように促しています。
    すばらしいですね。今日も、内閣府では太平洋上に発生した台風が日本付近へ接近・上陸するおそれがあるとの情報を受けて、すぐに関係省庁災害警戒会議を開きました。場合によっては、現地に内閣府の職員を派遣して、被災地の情報収集にあたることも想定しています。
    現地での活動は私も大事だと思っています。なるべく早く被災地に職員を派遣して、情報を収集しながら関係機関と連携する。私はそのための現地派遣要員でもあるんです。御嶽山の噴火災害でも実績があるように、現地で緊急消防援助隊の調整をおこなうことは、迅速な救助活動につながりますから。
  • 日本は災害の多い国ですから、世界からもその対策が注目されていますよね。
    消防に関しては、アジアを中心とした開発途上国へ研修や技術支援をおこなったりしていますよ。国の危機管理体制という視点でいうと、アメリカではFEMA(連邦緊急事態管理庁)が強力な調整権限があるので、日本も同じような組織を導入した方がいいんじゃないかっていう話も時折論点として挙がりますよね。
    2014年夏から2015年の3月にかけて「政府の危機管理組織の在り方に係る関係副大臣会合」が開かれて、それについて議論されましたね。
    結果として日本では、内閣府の総合調整の下、各府省庁がそれぞれの所掌に基づき、専門性を発揮して対応するという仕組みが機能しているので、そういった組織までは必要ないという判断になったんですよね。ただ、それまで以上に災害対応のスピードを早めるために、さらに各府省庁の関係を強化していこうという動きも出ています。
  • あきらかに、関係府省庁の距離は縮まったという感覚はありますよね。
    事前の計画づくりや調整、実際の災害時の場面でもやり取りすることが増えましたね。もちろん意見が合わないこともあるんですが、どの府省庁の職員も「人の命を救う」という一つの目的のために仕事をしている。考えていることは一緒なんだなと思うことがいっぱいありますよね。
    防災という仕事に、ゴールは絶対にありません。これを準備したら100点というのはありえないんですよね。だからこそ、今まで以上に関係府省庁間の連携を強化して、政府一丸となって取り組んでいきたいですね。


警視庁警備局 警備企画課 課長補佐 警視

東日本大震災の直後、私は広島県警への出向から、のちに復興庁となる内閣官房の被災地復興に関する法案等準備室に配属されました。着任当時はまだ、何をやるべきかを一から考える状態。被災地の方々にとって、必要なものは何か。どんな復興を目指すのか。時には現地に足を運んで、要望を汲み取りながら、復興交付金等の制度の立案と運用に携わりました。その後も、警察庁の中で災害対策の中心的役割を担う警備局へ。大規模災害発生時には、迅速に初動態勢を立ち上げ、関係機関と連携を図るための連絡調整や各都道府県警への指示調整をおこないます。度々発生する自然災害での教訓を踏まえて、これからの災害対策に必要な装備、施設や体制づくりへの予算要求や訓練の指導により、いざという時の万全な対応を図っています。現場の警察官は、日々の生活の中でも、地元の方々にとって困った時の拠りどころです。緊迫した被災現場においても、人々の心強い存在となれるよう、企画立案に携わっていきたいと思っています。