今も未来もその先も。
いつも美味しくて安全な「食」がある社会を
実現したい。

大学では雑草学を専攻していたことから、農地の雑草管理や植物を活用した地力維持などの技術開発に携わりたいと考えていました。研究室の先輩に、農林水産省の試験場(現:国立研究開発法人)で雑草の研究をしている方がいたこともあり、試験場を見学させてもらったところ、その研究内容がすごく興味深かったんです。その時の経験が農林水産省を志望するようになったきっかけのひとつです。官庁訪問の際には霞ヶ関にも研究職の人がいること、また研究だけでなくその研究成果を普及する仕事があることを知り、それまで研究職を強く志望していましたが、霞ヶ関での仕事にも興味がわきました。最終的には「君は行政職が向いていると思う」という面接官のなにげない一言に背中を押され、自分の進む道を決めました。
現在は生産局園芸作物課に籍をおき、美味しくて安全な野菜等を供給するための環境づくりと支援をおこなっています。農業従事者の減少は、日本が抱える大きな課題のひとつです。現在だけでなく未来の世代へも美味しく安全な農作物を安定供給していくには、日本の農業を強くすることは必要不可欠。そのためには、農作物を生産するための人(農業従事者)、場(農地、施設等)、そして技術を確保していかなければなりません。たとえば、生産性向上のための技術普及や、温室の低コスト化などにも取り組んでいます。意欲を持って農業に向き合う方々が、きちんと儲かる仕組みを実現したい。その思いを原動力に、売り上げ1億円プレーヤーの農業従事者を全国各地で輩出することを目指して、日々の業務にあたっています。

入省後18年間で15のポストを経験してきました。いずれも印象深くやりがいがある仕事ばかりです。たとえば食品等の品質規格(JAS規格)や食品表示に係る制度の見直しを行ったこと、野菜産地が度重なる台風被害を受けて価格が高騰したことを踏まえ、野菜の安定供給に向けた支援策を検討したことは、特に強く印象に残っています。しかし、最も深く記憶に焼きついているのは、やはり東日本大震災による原発事故の後、福島県の一部地域における稲作の制限とその再開に向けた取組です。原発事故で被害を受けた地域では、しっかりと除染をおこない安全な農作物を供給できるようにするまでの間、稲の作付を制限する必要がありました。地域農業の主力である稲作を休んでいただいたことは、政府としても苦渋の決断でした。稲作を制限するとともに、その再開に向けた支援をおこなうにあたり、私自身、多いときは週に3~4日は県や市町村に出向いて対応を議論したことを覚えています。県や市町村の担当の皆さんが、自らも被災者であるにもかかわらず、現場の最前線で地域のために体を張って働いておられる姿に心を打たれました。国と自治体が風通しのよい関係を築き、現場の課題をしっかり把握した上で、自治体の皆さんが施策を進めていくための力になっていきたいと強く感じたプロジェクトです。いつも心にあるのは、子供や子孫の世代になっても安心して美味しいものを食べられる世の中を作るということ。これからも毎日の仕事がその一助となればと思っています。

清水 治弥

SHIMIZU Haruya

農林水産省
生産局園芸作物課
平成11年入省【Ⅰ種農学区分】
平成28年12月1日時点

仕事をする上で大切にしているのは「まず正論を言うこと」。物事を進めていくには様々な事情や制約はつきものだが、本来あるべき姿を見据えて公平な着地点を見出すことが、公に仕える国家公務員の大切な役目だと語る。日本の農林水産業を元気にするため、また将来にわたって食料の安定供給を確保できるようにするため、その正論を実現していく。