VI  補論

 既に述べたとおり、本研究会では、職員個人の能力、業績等を的確に把握することが可能で、組織としての信頼感を確保することのできる人事評価システムの検討をその任務としている。
 このため、以下に掲げる事項は、本来、本研究会における主たる検討対象ではないが、新たな人事評価システムを実効あるものとするとの観点から、任用、処遇等の国家公務員制度に携わる関係者に対する要望として掲げた。今後の国家公務員制度の改革に当たって、検討材料として活用していただくことを期待する。

1 能力・業績を重視する人事管理システムの必要性
   
   本研究会が提案した新たな人事評価システムは、能力と業績を重視するシステムであるため、その活用という観点を踏まえつつ改革が進められることとなる任用、処遇等の人事管理システムについても、能力と業績を重視するシステムとして設計されることを強く期待する。
 ただし、そのような方向で新たな人事評価システムを活用するとしても、活用の仕方を間違えると、現場の不満が募る等により志気の低下を引き起こしかねないので、以下の点に留意していただきたい。
   
2 人事評価システムと人事管理システムの関連性
   
   新たな人事評価システムを活用し、能力・業績を重視した人事管理を行う場合は、あらかじめ、人事管理上のルールを職員に対してできるだけ明らかにすることが必要であり、例えば、人事評価の結果を職員の処遇に反映する仕組みを整備する場合は、評価結果のどの部分を、どのような処遇に反映していくのかを明らかにすることが必要である。
 また、民間企業においては、俸給表中の上位の級への昇格については、能力等の長期のストックの人事評価の結果を反映し、賞与については、業績等の短期のフローの人事評価の結果を反映するというのが一般的であるが、国家公務員についてもこのような考え方が妥当かどうか、妥当であるとすれば、それが適切に運用できるかどうかについて検討し、適切な仕組みを整備することが必要である。
 さらに、個別の人事評価の結果の活用方法については、評価結果をどの程度まで任用、処遇等に反映させるべきかという問題を念頭に置きつつ検討する必要があることに留意すべきである。特に、新たな人事評価システムの導入の当初の段階においては、その公平性、客観性、透明性、納得性等の程度を見極め、それに配慮した活用方法とすることが必要である。
   
3 II・III種試験採用職員、女性職員等の能力開発・発揮のための環境整備
   
   新たな人事評価システムにおいては、採用試験の区分、専門分野の区分、性別等による不適正な取扱いが起こらないことを重視している。このため、同システムの導入を踏まえつつ、II・III種試験採用職員や女性職員等の育成・登用を阻害している環境等を点検するとともに、育成・登用を促進するための方策が立案され、これらの職員についても、配置、在任期間、登用等の取扱いを含めた人事運用の弾力化が進められることを期待する。
   
4 適正な人事評価を担保するための在任期間上の配慮
   
   幹部職員等については、部下職員に対する適正な人事評価を確保し、適切な人事管理を行うとの観点をも踏まえ、過度に短期の在任期間となることを避け、適切な在任期間とするような配慮が必要である。
   

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