おわりに


 今後、政治や民間部門と行政との関係の変化に応じ、公務員の在り方も変化していくと考えられる。しかし、そのことは決して公務員の職責が軽くなっていくことを意味するものではない。むしろ、今後の公務員は、より少数精鋭の体制の下で、複雑化する社会における公共の利益の実現に貢献するという従来にも増して困難で重い責務を担うこととなる。
 公務員が誇りを持って十分にその能力を発揮しうるよう、政府においては、本答申を踏まえ、公務員制度及びその運用の改革に直ちに着手することを強く期待する

 公務員制度及びその運用の改革に当たっては、総合的観点に立った取組みが不可欠であることから、政府において、人事院と緊密な連携を取りつつ、(1)改革に関する計画を策定し、その推進状況を随時フォローアップしながら改革を着実に実行に移していくこと、(2)制度とその運用を一体的に改革していくため、制度官庁のみならず実際の人事管理を担う各省庁を含めた政府全体としての具体的改革方策の検討・推進体制を整備することの2点を特に要請しておきたい。さらに、各省庁においても、人材活用の多様化・柔軟化等を始めとする人事運用の改革について、計画的に取り組み、着実に進めることを期待する。

 当調査会は、平成13年度末までの残された設置期間において、労使関係の在り方等の諸問題について引き続き検討を行うとともに、必要に応じ、行政改革の進捗に応じた公務員制度・運用面での検討課題等に取り組んでいくこととしたい。また本答申で提言した改革方策の政府における進捗状況については、今後とも注視していくこととする

 公務員制度改革に当たっては、国民の理解を得つつ進めることが必要不可欠である。また、公務員に対する昨今の批判の一部には、公務員制度等に関する説明の不足に起因するものもあると考えられる。公務員制度改革を円滑に進め、行政と公務員に対する信頼を再構築していくためには、政府が、公務員制度の現状や改革の進捗状況について、国民に対して積極的に分かりやすく説明を行っていくことが極めて重要であることを最後に付言しておきたい。


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