11 職務・職責に応じた人事システム


【基本的考え方】

 一般職国家公務員については、現業職員、検察官等個別の法律等に基づき任免等の例外が定められているものを除き、国家公務員法により統一的な公務員制度が設けられている。
 しかし、国家公務員の職務・職責は多種多様なものであり、それぞれの特性に応じた的確な人事管理を実現するためには、人事システムの多様化を図り、各任命権者が、きめ細かな人事管理を行い得る仕組みを構築することが必要である。
 なお、人事システムの多様化については、ライン職とスタッフ職の違いに着目した複線型人事管理のほか、幹部職員と一般職員の違い、企画立案機能と実施機能の特性、職種の特性に着目して検討することが必要である。
 (「5 行政の専門性の向上と個人の適性・志向に配慮した多様なキャリア・ パス」参照)  

【具体的改革方策】

(幹部職員に対応した人事管理)
 幹部職員については、政策の企画立案や適正な執行について重い職責を有すること、予算・組織管理業務や部下の統率などの管理業務を行っていること、その廉潔性についての信頼が行政の信頼に直結するといった特性が挙げられる。
 そうした特性に見合うべく、能力・実績主義の徹底、総合性の涵養、服務規律の確保等を図っていくことが一般職員に比しても極めて重要であり、これらの一層の強化を図る観点からの人事システムの構築が求められている。
 具体的には、例えば、以下のような方策について検討すべきである。
 勤続年功的要素を縮小したより職務重視の給与の実現
 より厳格かつ的確な評価に基づく年次にとらわれない昇進管理
 内閣の重点政策等に関する研修の実施
 職務・職責に応じたより厳格な服務規律の確保 (以上再掲)

(企画立案機能と実施機能の差異に着目した人事管理)
 中央省庁等改革において、政策の企画立案に関する機能と実施に関する機能の分離が行われることになっており、具体的には、主として政策の実施に関する機能を担う組織として、新たに外局の一類型である実施庁や独立行政法人が設置されることとされている。
 両機能の分離に応じた人事システムの構築については、それらに関する組織面での検討を踏まえる必要があり、現時点においては、新たな府省(外局を含む。)における人事システムの検討に当たって、留意すべき諸点を以下に示すこととする。(※)
 企画立案機能では総合性、戦略性、機動性が、実施機能では継続・安定性、効率性がより重視されるという相対的な特性を踏まえ、それに対応した適切な人事システムを整えるべきこと。
 例えば、企画立案機能を担う部門においては、より弾力的で多様な人材確保や人事運用、総合的な能力開発等、また、実施機能を担う部門においては、長期的な専門的人材の育成、組織としての目標にリンクした目標管理的手法による評価等の検討が考えられる。
 政策の実施の実態を踏まえた質の高い政策の企画立案や総合的視点に立った業務の実施の観点から、両機能を担う部門間相互における円滑かつ適正な人事交流が必要であること。
 主として政策の実施機能を担う実施庁については、人事管理における独立性の確保に配慮すべきであり、本府省等(新たな府省の内部部局等及び実施庁以外の外局)の人事システムとの一定の整合性を確保しつつ、その長がそれぞれの組織に適した人事管理を権限と責任を持って行えるようにすべきこと。
 独立行政法人の人事システムに関しては、その制度の基本となる共通の事項を定める法令の検討結果を踏まえ、今後、必要に応じて別途当調査会で検討することとする。

(職種の特性)
 現在の人事システムは、基本的には一般行政事務部門の職員を対象として組み立てられているが、今後、研究職などについて、民間部門における同様の職種の人事システムの動向を踏まえつつ、職種の特性に応じたよりきめ細かな人事システムの在り方を検討していくべきである。


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