10 男女共同参画の推進


【基本的考え方】

(男女共同参画の理念)
 男女共同参画の推進は、我が国社会全体の重要課題であり、現在、男女共同参画2000年プラン(平成8年12月13日男女共同参画推進本部決定)に基づき各省庁において各種施策が進められているところである。公務部門においても、国家公務員法の定める平等取扱と成績主義の原則に基づき、男女共同参画の推進に向けて各種のポジティブアクションを推進し、性別によらない開放的な人事運用の一層の促進を図っていくことが必要である。
 そのような観点からは、国家公務員に関する制度・運用の中で、特に性別による区別を設けていなくとも、いわゆるジェンダー・バイアス(※)の影響等により、結果的に女性にとって不利な扱いとなっている可能性があると考えられるものについても検討・見直しが必要である。
※ 社会的・文化的に形成された性別に基づくゆがみ・偏見

(政策・方針決定過程への女性の参画)
 特に、政策・方針決定過程への女性の参画は、民主主義の要請であるだけでなく、優秀な人材としての女性の能力の発揮の観点から重要であり、男女共同参画2000年プランにおいてもその促進が求められている。
 このため、国の政策・方針決定に携わる女性国家公務員について、その採用、登用等の一層の促進を図ることが必要である。

(職場環境の整備)
 男女共同参画の推進に当たっては、各職場の意識改革等を進めるとともに、職員が、その職業上の責任と家族的責任を両立することができるような働き方を可能とするなど男女双方が働きやすい職場環境の整備を図っていくことが必要である。  

【具体的改革方策】

(採用方法の検討等)
 ジェンダー・バイアスが採用の際に影響を及ぼすことのないよう、面接における評価項目の客観化等について専門的に検討するとともに、運用上、面接官等に男性、女性双方を充てることを検討すべきである。
 採用担当者等に対しては、定期的にジェンダー・バイアスの克服について注意を喚起し、意識を高めるための措置を講ずるべきである。

(女性国家公務員の意向把握及び適切な評価等)
 職員の異動希望等に関する申告・調査の充実、部内公募制の導入等を通じて、女性国家公務員の勤務に関する意向等をより的確に把握すべきである。
 勤務評定等の人事評価の在り方の見直しに際しては、ジェンダー・バイアスの影響の防止の観点にも十分配慮すべきである。
 幹部職員については、部下の管理に当たってジェンダー・バイアスの影響を受けることがないよう、幹部昇進の際等の機会をとらえて意識啓発を図るべきである。

(女性国家公務員の採用、登用拡大のための基本方針等)
 女性国家公務員の採用、登用を促進していくための基本方針を作成し、各省庁の政策・方針決定に携わる部門について積極的な採用、登用に向けた中長期的な努力目標を設定するとともに、採用、登用の状況に関する情報開示を行うことにより推進すべきである。

(職場の意識改革)
 男女共同参画について、例えば、各省庁における責任体制の整備、研修の活用、男女共同参画に関するキャンペーン等職場における意識改革を図るため必要な措置を検討すべきである。

(セクシュアル・ハラスメント対策)
 セクシュアル・ハラスメント防止のため、人事院規則10ー10(平成10年11月13日制定。11年4月1日施行予定。)に基づき、苦情・相談体制の整備、防止のための研修等を行うほか、(1)各省庁内における責任体制の整備、(2)セクシュアル・ハラスメントとなる行為の明確化、(3)女性による相談窓口の設置、(4)各省庁相互間等の情報連絡等を進めるべきである。
 また、教育現場等公務員以外の者との接触の多い職場においては、公務員以外の者に対するセクシュアル・ハラスメントの防止のための取組も進めるべきである。

(超過勤務の縮減、勤務時間の弾力化等)
 職員の家族的責任を重視する観点から、超過勤務の縮減に努めるとともに、勤務時間の割振りを家族的責任と公務の適切な運営の両面に配慮しつつ弾力的に行うことについても検討すべきである。
 民間部門における努力義務(※)にかんがみ、就学前の子を養育する職員についての部分休業の拡充についても公務の適切な運営に配慮しつつ検討すべきである。
 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」第20条第1項は、「事業主は、その雇用する労働者のうち、その一歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関して、育児休業の制度又は前条第一項に定める措置(=勤務時間の短縮その他の養育を容易にするための措置)に準じて、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」としており、平成11年4月1日施行予定。

(育児、介護等を行う職員が働きやすい環境整備)
 育児、介護等のための休業・休暇が取得しやすいよう、代替要員、職場復帰時の職場適応、職業能力維持のための支援措置等について検討すべきである。

(単身赴任の縮減方策等の検討)
 職員の家族的責任を重視する観点から、配偶者が転勤をしている期間中、同居が可能な職場に配転するなどの人事管理上の配慮を検討するとともに、当該職員を休業等にできる新たな休業等制度の創設の是非について、民間部門の動向等を踏まえながら、専門的に研究すべきである。 介護等の家族的責任を有する職員について、その希望に基づき、住居の移転を伴う転勤を制限することに関し、民間部門の動向等を踏まえつつ、専門的に検討すべきである。

(推進状況の公表等)
 女性国家公務員の採用、登用等の状況、男女共同参画の促進のための制度整備、勤務環境の整備等の推進状況を定期的に調査し、公表することを含め、積極的な情報開示を行うべきである。

(男女共同参画推進本部等との連携等)
 政府全体として男女共同参画を推進するため、内閣に置かれている男女共同参画推進本部と十分な連携を図り、各種施策を進めるとともに、男女共同参画社会基本法が制定された場合には、それに基づく関連諸施策と一体的かつ総合的に公務部門における男女共同参画を推進すべきである。
 各省庁における男女共同参画の推進を円滑に進めるため人事管理官会議等の場を活用して、公務部門における男女共同参画の全政府的推進体制を整備し、男女共同参画推進本部等との連携を図りつつ進めるべきである。


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