7 労働時間の短縮と弾力的な勤務形態等の導入


【基本的考え方】

(労働時間の短縮)
 国家公務員の労働時間については、特に本省庁内部部局等において国会関係業務、法令協議、予算折衝等に携わる職員について、恒常的に過剰なものとなっている。これらの職員の長時間に及ぶ超過勤務は職員の活力を低下させ、公務運営の効率を阻害するほか、個人の健康や生活にも深刻な影響を及ぼしていると考えられる。また、今後の社会においては、個人にとって、経済的余裕に比べて時間的余裕の持つ意味が一層大きくなっていくと考えられる。我が国全体として年間総労働時間1,800 時間の達成が目標とされていることを踏まえ、労働時間の短縮に向けて着実な取組みを進めて行く必要がある。

(弾力的な勤務形態等の導入)
 公務運営の効率化を図るためには、職員の職務・職責に合わせた合理的な勤務時間の設定を行うとともに、民間部門で活用されている弾力的な勤務形態についても、公務部門の職務の性格を踏まえつつその導入や対象範囲の拡大について検討する必要がある。
 さらに、職員の自己啓発や社会貢献の促進、職業上の責任と家族的責任との両立を図ることを目的とする休業等の仕組みについても検討すべきである。  

【具体的改革方策】

(超過勤務縮減に向けた取組み)
 国会関係業務、法令協議、予算折衝等を原因とする長時間に及ぶ超過勤務については、人事院による「超過勤務の縮減に関する指針」も踏まえつつ、政府全体として、「国家公務員の労働時間短縮対策について」(平成4年12月9日人事管理運営協議会決定)の改定等により、以下のような業務改善を含む実効ある超過勤務縮減方策に取り組むべきである。その際、国会等関係機関に政府として協力要請を行うことも検討すべきである。
 政府及び各省庁における情報化も踏まえた業務手法の見直し
 内閣機能の強化や新たな府省間政策調整システムの導入に合わせた各省庁間協議等の円滑化
 国会関係業務の合理化

 また、勤務時間を厳正に管理し、必要な超過勤務について超過勤務手当を適正に支給するための予算を確保するとともに、管理職員に対する超過勤務に関するコスト意識を徹底させることも超過勤務の増大を防止するために有益であると考えられる。

(新たな長期休暇制度の導入等)
 夏期や公務員生活の節目における年次休暇のまとめ取りを更に推進するとともに、一定の勤続期間ごとのリフレッシュ休暇制度の導入等についても民間部門の動向を踏まえつつ検討すべきである。

(勤務時間の割振りの弾力化)
 職員に対する勤務時間の割振りについては、官庁執務時間(8:30〜17:00 )に基づく勤務時間を原則としているが、国会関係業務等定常的に業務が深夜、早朝に及ぶ業務については、業務の種類ごとに政府全体としての早出・遅出の活用方針を示すことなどを通じて勤務時間の弾力化を進めるべきである。

(フレックスタイム制の拡大等)
 フレックスタイム制の対象範囲(※1)の拡大については、国民の信頼の確保に十分留意しつつ、研究部門における活用状況と効果、民間部門における普及状況、職員の意識等を見極めた上で、導入することがふさわしい部門について検討すべきである。
 裁量労働制の対象範囲(※2)の拡大については、国民の信頼の確保に十分留意しつつ、民間部門における普及状況、職員の意識等を見極めた上で、導入することがふさわしい部門があるかについて検討すべきである。
 なお、在宅勤務等情報化の進展等を踏まえた新たな勤務形態についても、今後、幅広く研究すべきである。
 フレックスタイム制については、現在、研究職員に対して認められている。
 裁量労働制については、現在、一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律に基づき、高い研究実績を持ち、自己管理ができると考えられる招へい型研究員に限って特例が認められている。

(自己啓発や社会貢献を目的とする休業等の制度)
 職員が自ら希望して大学院等へ進学すること、自ら希望して民間の研究機関等で研究を行うこと、青年海外協力隊や中長期のボランティア活動に従事すること等自己啓発や社会貢献を目的とする長期の休業等の制度の創設を図るべきである。
 また、職業上の責任と家族的責任との両立の観点から、配偶者の転勤に伴う長期の休業等の制度の創設の是非についても、民間部門の動向等を踏まえつつ、研究すべきである。


ページのトップへ戻る