6 的確な服務規律の確立


【基本的考え方】

 国家公務員について、国民全体の奉仕者にふさわしい厳正な服務規律を確保することは、国民の行政及び公務員に対する信頼の基礎であり、国家公務員の不祥事を防止し、信頼の再構築を図る観点から、厳正な服務規律の確保に向けた取組は一層重要なものとなっている。
 その際、職員の自覚を高めることはもとより、(1)服務規律の具体的内容や懲戒処分の基準・手続の明確化による透明性の確保、(2)職務・職責に応じた的確な服務規律の確立といった観点が重要である。
 現在国会に提出されている国家公務員倫理に関する法案(※)については、制定後の十全な運用が図られる必要がある。
 なお、国家公務員の多様な職務・職責に照らせば、兼業規制について、公共の利益の増進等に向けて十分な必要性・合理性がある場合には、公務員の全体の奉仕者性との整合性や国民の意識に留意しつつ、一律的な運用の在り方を見直していくことも必要である。
一定職位以上の国家公務員についての贈与・資産等の報告・公開等についての規定等が置かれている。

【具体的改革方策】

(倫理研修の効果的実施等)
 厳正な服務規律の確保については、職員の自覚に待つべき部分が大きいところから、日常の業務における管理者の職員に対する指導を充実すること及び服務規律や公務員倫理に関する研修を効果的に実施することにより、職員の全体の奉仕者としての自覚を一層高めていく必要がある。

(信用失墜行為の明確化等)
 職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為(信用失墜行為)を行うことが禁止されているが、どのような行為が信用失墜行為に当たるかについては、職務・職責に応じてより明確化して職員に徹底すべきである。
 なお、国家公務員倫理に関する法律の制定後、同法に基づき国家公務員倫理規程を制定する際には、国家公務員と事業を行う個人又は法人との間の関係に関する禁止、制限事項について、できる限り明確化すべきである。

(服務規律違反に対する厳正な対処と懲戒基準の明確化等)
 服務規律違反については、迅速かつ厳正に懲戒処分等を行うべきである。その際、同種の行為について、懲戒権者間で処分の重さに偏りが生じることは好ましくないため、これまで積み重ねられてきた各省庁の処分実績に加え、人事院における不服申立の判定例などを基に、処分基準の明確化を図ることについて検討すべきである。
 また、処分の客観性を担保するため懲戒処分を行う場合の事案調査から量定に至る処分手続の明確化についても検討すべきである。

(幹部職員の服務規律の徹底)
 幹部職員については、その行為が公務の信用に与える影響が大きく、特に高い廉潔性が求められることから、各省庁においてその職務の実態も踏まえたより厳格な服務規律の徹底方策を講ずるとともに、現在、採用時のみ行われている服務の宣誓について、幹部職員に就任する段階においても改めて行うことについて検討すべきである。
 また、幹部職員には、職務上、特に国会議員、政党等政治との接触が多いことから、幹部職員の行為について、どのような行為が政治的中立に反することとなるのかについて、できる限り明確にすべきである。

(兼業規制の見直し)
 研究開発等質的に一般行政とは大きく異なる分野において、例えば、国立大学教官等が特許権等の民間事業者への移転を行う技術移転会社へ参画する場合などについては、広い意味での公共の利益の増進に寄与すると考えられることから、一定の条件の下、兼業が可能となるような弾力的な運用を検討すべきである。
 また、営利企業の役員以外の兼業についても、私立大学における研究、教育に従事する場合等公務の活性化、職員の能力開発等が期待される場合には、許可基準を見直し、勤務時間内兼業を認める等弾力的な運用が可能となるようにすべきである。
 なお、短時間勤務等勤務形態の多様化を踏まえた運用の在り方についても検討すべきである。

 この他、職務・職責に応じた服務規律を確立する等の観点から、服務、分限、懲戒について総合的な検討が必要であるとの意見もあった。


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