[ 総 論 ]

1 公務員制度の基本的性格


 行政は、政治による政策決定を支えるための高度に専門的な政策の企画立案機能及び法律を公平・公正に執行し公権力の行使やサービスの給付等に当たる政策の実施機能を担い、国民生活の安全・安定の確保と福祉の増進を図っていくことをその基本的な責務としている。
 そのような行政を支える国家公務員は、国民に奉仕し国家に貢献する高い使命感とその職務にふさわしい高い能力をもって公正に職務を遂行する「国民全体の奉仕者」でなければならない。
 このため、国家公務員については、雇用関係が基本的に私的自治にゆだねられている民間企業の従業員とは異なり、その身分、規律、処遇などについて法令により基準を定めることによって行政の適切な運営を確保することとしており、公務員制度は国家公務員法を始めとする法体系として構築されている。
 現行の公務員制度においては、行政に常に求められる専門性、中立性、能率性、継続・安定性を確保するため、その基本的な枠組みとして、能力の実証に基づく任用、職務への専念と政治的中立を基本とする服務規律、適切な勤務条件の保障等を定めている。
 これらは、我が国のみならず、先進諸国において職業公務員に関する基本的な枠組みとして歴史的に確立してきたものであり、民主主義の下における公務員の職務の特性に由来するものとして今後とも維持されるべきものである。


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